■ 帆船模型のロープ張りについて
巷には『ロープの結び方』などの参考書が多数あり、読むと、"舫(もやい)結び"など船を連想させる結び方があったり、「昔の帆船でも多用された方法です」という解説があったりと、模型にも使える気がするんですが…。 実はこれらのロープの結び方は"帆船模型"では全くと言っていいほど使用しません 理由は…、
・ スケールを勘案すると結び目がとても大きいモノになるため、野暮ったくなる。
・ 17世紀以降、大航海時代後期の船のリギングは特殊な方法や金具で固定されている。
というコトがあるためです。
結び目については、参考書の方法などを多用すると、スケールによっては結び目が大きく野暮ったくなり、質感が出にくくなる原因となります。 しかも模型に使用するロープは"糸"といっていいほど細いものなので、結ぶ行為自体が非常に困難。 通常は、目立たない簡易な方法で結び、接着剤で補強するのが、見た目にも最もスマートな方法です。
次は、実際のリギング(ロープ張り)との兼ね合い。 大航海時代の有名帆船は非常に巨大な建造物であり、マスト・ヤード・帆というのは重量級の構造物になります。 そういったものの固定は、現実には"ロープで結ぶ"という行為はしていません。 実船では、ロープ同士やロープの代わりとして強固な金具で固定していたり、末端のロープは拠り目に縫い込んだり、摩擦・強度が要る部分はタールのような接着剤でガッチリ固定してあります。
ですので、参考書の「帆船で使用します」というのは、雑用・応急的使用であったり、小型漁船、ヨットのようなものに使用しているという意味です。 このブログで紹介しているような巨大帆船には、大きさ的にも構造的にも使用しないのが普通です。 帆船模型を作るからといって、特殊なロープの結び方を習得する必要はありません。
■ ガフセイル周りの造作
では本筋の製作記。
市販の布地から帆を切り取ります。 寸法は、ゲーム中にてロングスクーナーのスクリーンショットを撮り、その比率から求めました。 船体がすでに寸詰まり状態なので、そこも考慮して印象が変わらない程度に微調整しています。
使用する布。 現実の帆には麻が使われてますが、それと同様に麻を使うと、目が粗く透け透けな帆になってしまうのでダメですね…(モノによりますが) 入手性・価格を考えるとやはり木綿です。 平織りで、糸が細く目が詰まっていて、やや透ける生地が適していますが…、この布地の選定もかなり難しい作業の1つかもしれないです。 ご用命は近所の手芸店などで
フチに細い短冊状の布を木工用接着剤で貼り付け補強。 今回は(も)、白い帆の鮮烈さを強調するため、着色・汚しはしません。 それと、1/100とスケールが非常に小さいため、継ぎ足しを再現する縫う工程も省きました。
帆を取り付けるガフ、ブームにも加工を施します。 まぁ…そもそも縦帆は横帆よりもリギングは少なめなんですが…、それも考慮してコレまでの経験上必要と思われるリギングを取り付け。 具体的には、ガフの仰角を調整するリギング(黒いローブでくくられた滑車)と、ガフセイルの張りを調整するロープ用の滑車(ベージュの糸でくくられた小さな滑車)です。
船体(マスト)側にも滑車を取り付け。 船体側は、本来なら組み立て時に付けるのが望ましいのですが、キットでも説明書が不親切な場合は、急遽取り付けとなることも多いのですよね…。 すでに張ったローブを傷つけないよう注意。
ガフ1枚完成です。 …リギングとなると詳細が乏しくなる当ブログなのですが…、やはりそこは皆さんの感性で完成させて頂きたいと思います。(ダジャレじゃないヨ) …というのも不親切なので、帆船模型の巨匠、故白井一信さんのお書きになった解説書が参考になりますヨ。
現在はここまで進んでいます。 ガフセイルを取り付けたところですね。 といっても、これは仮止め中。 次は全体を見ながら、ガフ、ブームの支持索を微調整して固定していきます。 …最後尾ガフのカタチがゲーム中のロンスクとは違う気もするので…もしかしたら調整or作り直しをするかもしれません
※ 5/4 最後尾ガフのカタチを調整し、ガフブーム(上側)も短く切り取りました。 5/20 最後尾ガフを全面作り直し。 上写真の形状とは違います。
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ロングスクーナー大航海時代Onlineバージョン製作記 vol.1