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◆ 花嫁衣裳は、振袖。
この振袖は、成人式のためにあつらえたもの。
「振袖」は、未婚女性の第一礼装と言われています。
が、
実際、いまの時代、成人式のためにあつらえた振袖を
花嫁衣裳として着用されることはほぼありません。 ※1
結婚披露宴に、招待されたとき、来客として、参加する際に、着用するケースが、
最も多いのではないでしょうか。
当店のお客様で、あつらえの振袖をお持ちの新婦様から、
花嫁衣裳のご相談をいただいた場合でも、
振袖スタイルをご提案させていただく際は、
「お色直しの衣裳」としてのご提案がほとんどです。
しかし、お父様、お母様、あるいは、おじい様、お婆さまといった、
ご家族からプレゼントされる事が多い、
家族の愛情の証のような振袖を、
花嫁衣裳(式服)として、お使いいただくことが出来るのならば、
こんなハッピーなことはないんじゃないか…
と、そんな思いを込めて、
今回 このスタイリングにチャレンジしました。
◆髪は、日本髪。 髪飾りは、古典のかんざし。
小物も、はこせこ、懐剣、末広をそろえて、
和装花嫁としての格調を表現しました。
角隠しは、今回は、着用しませんでした。 ※2
髪をカジュアルにして、メイクもカジュアルにすれば、
街着として、ちょっとしたお出かけスタイルにもコーディネイトできそうな
明るく、ポップな色調の振袖ですが、
和装花嫁の王道コーディネイトで、
こんなに凛々しい花嫁さんになりました。
つづく。
※1 お嫁入り道具としての振袖
かつて、といっても、いまのお嫁さん世代のお婆様世代にさかのぼります。
昭和の時代の前半頃のお話しになりますが、 現在のような成人式がまだおこなわれていない時代です。
女の子が、振袖をあつらえてもらう機会は、もっぱらお嫁入り衣裳としてだったようです。 ※3
⇒ このブログでも取り上げている、谷崎潤一郎原作・市川崑監督の映画「細雪」。
この映画の中の1シーンにもそんな場面がありました。
◆ 「振袖」は、実は、仕立て方により、いくつかのタイプに分類されます。
まず、袖の長さにより、大振袖、中振袖、などと分類され、
花嫁衣裳として仕立てられる振袖は、大振袖で、身丈も長く、その裾には、お引きずりができるよう、
綿が詰められています。これを本振袖などと呼ぶようです。が、正確な定義があるのかどうかは、
わかりません。
貸衣装で、お嫁さん用の振袖と言えば、この本振袖を指します。
※2 角隠し
今回のコーディネイトでは、日本髪をしっかり見ていただくために、ファッションコーディネイトとして、着用しませんでした。
「角隠し」も、その成り立ちや背景に様々なエピソードが詰まった、興味深いアイテムです。
改めて取り上げてみたい題材です。
※3 振袖の裾に綿を入れる仕立て
かつて、蚕の産地で、商業が栄え、市街地には呉服屋さんが多くあり、花街としても栄えた飯田の街。
そんな着物が多く消費されたこの地でも、
嫁入り道具として、「振袖のお引きずりや」、「打掛」(いずれも、裾に綿を入れる仕立て)が用いられ、
一般の消費者が、晴れ着の「綿入れ」仕立を注文していたのは、第二次大戦後の昭和30~40年代ぐらいまで。それも、特別なお家での話。
と、聞きました。
その後は、一気に合理的思考になったのか?、
嫁入り道具のきものとしては、家紋付きの黒留袖が、人気になっていたようです。
嫁入り衣裳として、黒の振り袖を仕立て、婚礼後には、仕立て直しをして、留袖として使用された例もお聞きしました。
◆以上は、着物歴が60~90年の 当店のお客様、関係者様から、お聞きとりをさせていただきました。
ちなみに、
◆飯田の街で、日常着としてきものを着ていらっしゃる方が見うけられたのは、昭和の終りころから、平成の初めころ。
つまり、1990年代の初め頃までではないでしょうか。