Presented by グレープス.com and スズキ美容室.com
and スズキ美容室・訪問サービス (長野県飯田市)
シャンプーによる、ヘアカラーの退色テスト。
前回まで、
①市販の「高級アルコール系シャンプー」と、
②当店の「両性界面活性剤(ベタイン)系シャンプー」の
色落ちの違いをみてきました。
今日は、
③「酸性石鹸系シャンプー」と、
④「アミノ酸系シャンプー」の色落ちテストをみていただきます。
上の写真
◆ 「美容室専売品」の酸性石鹸系 E タイプ (下記の <表①>を参照ください) を使用して、
毛束を5回シャンプーしました。◆
④さいごに、「アミノ酸系シャンプー」の色落ちテストをみていただきます。
◆ 「当店のオリジナルシャンプーの第2弾用のテスト・試作品」 のアミノ酸系 C タイプ シャンプー
(下記の <表①>を参照ください) を使用して、毛束を5回シャンプーしました。◆
<表①>
A 「石鹸系」 ⇒ 洗浄力強い コスト・安い 「古典的界面活性剤」
B 「高級アルコール系」 ⇒ 洗浄力非常に強い コスト・非常に安い 皮膚への刺激有り 「石鹸の後継者」
C 「アミノ酸系」 ⇒ 洗浄力 並 コスト・高い 髪の毛との相性が良い
D「両性界面活性剤系(含むベタイン系)」 ⇒ 洗浄力弱い コスト・並 皮膚にやさしい
E 「その他(含む酸性石鹸系)」
◆毛束4◆ 「美容室専売品のシャンプー」 / シャンプーEタイプ (酸性石鹸) での色落ちテスト
◆ 主洗浄成分「ラウレス-4酢酸Na」 ◆補助洗浄成分「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」
の「酸性石鹸系」のシャンプーです。 (上の分類では、Eタイプです。)
◇ シャンプー剤のみ変えて、毛束1の場合と同様に、シャンプー・ドライを5回繰り返した後の毛束4 (向かって左)
毛束2 (向かって右)は、毛染めをしたまま(シャンプー実験していない)の状態。
◇シャンプーした後の水溶液。 向かって右側から、順番に、1~5回目のシャンプーの順番。
毛束より、抜けた色の量が目でみて解ります。
◆このシャンプーは、主洗浄成分が 「ラウレス-4酢酸Na」 の酸性石鹸系。
補助洗浄成分が、 「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」 の アルファ・オレフィン系。 ※1
ですから、エンジンに例えてると、2500ccクラスでしょうか…排気量はかなり大きめのシャンプーということになります。
高級アルコール系界面活性剤の後継の界面活性剤として、位置づけられている二つの洗浄力の強い界面活性剤のブレンドによる
シャンプーです。
成分表を見ただけでは、洗浄力が、どれだけ強いのだろう?
と、ちょっとビビッてしまいそうなです。
泡立ちもよく、洗浄力もかなり強いャンプーなのですが、色の流出は…この結果です。
意外なほど、色の流出が少ないのがお分かりいただけると思います。
その要因は、シャンプーのPH が、4.7と、酸性に振られているからにほかなりません。 ※2
成分の界面活性剤自体は、洗浄力が強く、表面の汚れは、しっかり落とすけれど、
酸性の溶液のおかげで、
お湯の中でも、髪の毛の表面のキューティクルの隙間が開かないので、髪の毛の内部に入った色素の流出は、最小限に抑えられる。
そんな仕組みのシャンプーです。
シャンプー後の水溶液をご覧いただければわかりますが、
2回目以降の色落ちが極めて少なくなっていることも観察できます。 ※3
効果効能、製品の目的がはっきりとした、まさにプロ仕様のシャンプーと言える商品です。
発売時期は不明ですが、
この商品が、永年にわたって、美容室専売品のマーケットで支持を受け続けている超ロングセラーのシャンプーであることは間違いありません。
つまり、このあたりが、市販品のマーケットとプロ用商品のマーケットの決定的な違いなのです。
◆「酸性4.7ナリッシング・ヘアソープ」 (ルベルコスメティックス)
http://www.bs-suzuki.jp/item/san-400/
◆毛束5◆ 「美容室専売の試作品」 / シャンプーCタイプ (アミノ酸系) での色落ちテスト
◆ 主洗浄成分「ココイルグルタミン酸TEA」 ◆補助洗浄成分「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」
の「アミノ酸系」のシャンプーです。 (上の分類では、Cタイプです。)
◇ シャンプー剤のみ変えて、毛束1の場合と同様に、シャンプー・ドライを5回繰り返した後の毛束5 (向かって左)
毛束2 (向かって右)は、毛染めをしたまま(シャンプー実験していない)の状態。
◇シャンプーした後の水溶液。 向かって右側から、順番に、1~5回目のシャンプーの順番。
毛束より、抜けた色の量が目でみて解ります。
◆このシャンプーは、主洗浄成分が 「ココイルグルタミン酸TEA」 のアミノ酸系。
補助洗浄成分が、 「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」 の アルファ・オレフィン系。 ※1
◆もう、約3年前、美容室グレープスのオープンに併せて、オリジナルシャンプーの第2弾を計画していた頃の試作品です。
本店のオリジナルシャンプー「シャンプーマイルド」が、好評で、軌道に乗った時期でした。
お店のオリジナルシャンプーとして、どうしても、もうひとつ、「アミノ酸系のシャンプー」をつくりたいと思いました。
シャンプー用の界面活性剤としては、現在、業界で最高峰と評価されているアミノ酸系です。
そんな状況での試作品シャンプーでの色落ち実験でした。
しかし、こちらは、洗浄力が穏やかなアミノ酸を主成分に据えているにも関わららず、
びっくりするほど、色の流出が多いことがお分かりいただけると思います。
その要因は、補助的洗浄成分として配合されている「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」の洗浄力の強さによるものと思われます。
上のA表の中には記入されていませんが、
この界面活性剤自体は、「ラウレス硫酸Na」などの高級アルコール系の界面活性剤と同等の洗浄力が強さが売りものだかです。
以前、「シャンプーに含まれる 配合量が最も多い界面活性剤がそのシャンプーの性能、傾向を決める。」
などと、書かせていただきましたが、
例外があります。
それが顕著にあらわれているのが、今回のケースです。
①高級アルコール系の界面活性剤、②アルファ・オレフィン系の界面活性剤、③スルホコハク酸系の界面活性剤、など、
「高級アルコール系」一族と言えばよいのでしょうか…
洗浄力が極めて強いこの系統の界面活性剤は、
ごらんの実験結果のように、
少しでも、配合されるだけで、そのシャンプーの性能、傾向を変えてしまう(高級アルコール系に)強力な力を持っている。
ということが考察できる、退色テストの結果です。
◆さて、試作品まで造って、新たに製造販売を目指した「アミノ酸系シャンプー」ですが・・・
結局、オリジナル商品の制作は、断念する結果になりました。
その大きな理由は、ふたつ。
①「アミノ酸系シャンプー」は、すでに美容室専売品のマーケットに、多くのすばらしい製品が存在していたこと。
⇒それらのすばしい製品と同等のオリジナル製品をOEM製造しても、商品価格の低下があまり望めなかったこと。です。
②当店の最大のモットーである「コンサバティヴ(保守的 ⇒ 髪を傷めない)な美容室」のシンボルとしてのシャンプーは、
「洗髪だけでなく、髪の補修まで行う・・・アミノ酸系シャンプー」より、
「髪も肌も傷つけることがもっとも少ない・・・ベタイン系シャンプー」の「シャンプーマイルド」のほうがふさわしい、
と、改めて、判断したからです。
つづく。
※1 成分名が、「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」 の アルファ・オレフィン系の界面活性剤。
高級アルコール系界面活性剤が主流になった昭和の中期ころか発症した、高級アルコール系の洗浄剤(シャンプー・食器洗剤他)による皮膚障害に対応すべく開発・改良された、界面活性剤。 洗浄力は強いままで、皮膚刺激を抑えた。というキャッチフレーズ。
同型の界面活性剤の中で、最もポピュラーなものが、「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」。
※2 PH (ペーハー)
液体の性質が、アルカリ性か、酸性かを示す数値。
(安全地帯の範囲内で、)髪の毛の表面のキューティクルは、酸性の溶液内では閉まり、アルカリ性の溶液内では、開く。キューティクルが開くと、髪の毛の表面は、隆起がおこり、荒れ、内部の成分が流出する。
髪の毛の最も安定するPH (通称・「等電点」 / 水溶液の中性7.0とは異なる )は、4.5~5.5 程度言とわれている。これより数字が小さ.ければ、酸性側、数字が大きければ、アルカリ性側ということになる。PH7.0の水道水に濡らしただけで、髪の毛のキューティクルは開き、不安定な状態となる。
※3 「2回目以降の色落ちが、極端に減っている。」
シャンプー剤のPHが、酸性であることが、カラーの維持にとって、いかに大切であるかを物語っています。また、この結果から、カラーの施術の際の、アルカリ成分を髪から除去する後処理の大切さもご理解いただけるのではないでしょうか。 ※4
因みに、この毛束のカラーの後処理は、当店のオリジナル「酸性コンディショナー」を使用しています。
※4 「アルカリ成分を髪から除去する後処理」
ご自身で、ホームカラーをされる方にとっては、ここが最重要ポイントになるのではないでしょうか。