ボイシー日記

手がふさがっていては、新しいものは掴めない。

リアリズム。

2008-12-23 09:53:12 | 独り言
志賀直哉に関する本を読んでいて、
彼が文章を書くうえで、
留意していたポイントというのが書かれていた。
いちおうオイラも文章に携わっているものとして
忘れないようにメモしておこう。

第一義
1 clearness(明快・明解)
2 earnestness (まじめさ 誠実)
3 eagerness(熱意) (impressive 印象)

第二義
beauty(美しさ)

ふむふむ、たしかに、志賀直哉の文章は
潔く透明で美しく、ゆるみのない引き締まった文体。
言葉一つひとつに対する注意深い心配りが感じられる文体だ。

  * * *

さらに、志賀直哉のリアリズムについて言及している部分があった。
志賀直哉の小説には事実としてのリアリティがあり、
それに覆いかぶさるように記憶のリアリティがある。

ある描写では、事実にないことでも、
自然に感じられることであればその情景を描く。
あとから振り返って、そのことが印象深く記憶に残れば
それはいいのではないかと言っている。

事実でないことが記憶の中に吸い上げられて、
それがいかにも事実であったかごときに思える。
それによって、事実をより強く描くことができる。

いままで、さまざまな事実を詳細に淡々と写し取る「写実」が
リアリズムの本質と思っていたが、それだけではない。
それだけでは、すぐに限界がきてしまう。
詳細を描くよりも、見えないことを書くことで、
より実像を浮き彫りにする。

つまり事実以上に、記憶に響くリアリズム。
夢の中の世界や、想像力の世界にまで、
くっきりと強く痕跡を残す。
リアリズムは目の前の現実であって想像力ではない、
という見方は、ここではもう消える。

実像をいかに、さまざまな角度から描くか。
実像を後ろから照射している光を、
いかに豊かなイメージをもって書き込むか。
そこから、見えないものまでが見えてくる。
それがリアリズムといえる。

そっくり、リアル!な老人の詩♪ http://jp.youtube.com/watch?v=q3p6XS-z2b4

コメント
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