今年の53冊目は下村敦史さんの「闇に香る嘘」。
nemuさんと競争しようなんて一度も考えたことはないんですが(笑)
第60回江戸川乱歩賞受賞作品。
数々の本格的ミステリー作家を輩出してきた江戸川乱歩賞ですが、選評が非常に辛口で厳しい事でも有名。
そんな中で選考委員である京極夏彦氏や有栖川有栖氏らに「たった一行のくだりで世界も反転する」、「絶対評価でA」、「完璧なミステリー」と言わしめたのがこの作品。
盲目の初老の主人公が孫娘に腎臓を移植しようとするも検査の結果適合しないことが判明。
遠く離れた田舎町で母と二人でつましく暮らす兄に移植の適合検査だけでも受けてくれないかと頼むが頑なに拒絶される。
兄と会話する中、まだ視力があった幼い頃に一家で中国で過ごした思い出話は全て身に覚えがあり合点もいく。
でも中国残留孤児だった兄が永住帰国した際には既に失明しており、兄の顔を確認していない。
病院に行くことを異常なまでに拒む兄の態度に違和感を覚えはじめ・・・・
27年間兄だと信じていた男は何者かのか?
兄の正体に迫るべく、全盲の弟がたった独りきりで真相を追う。
今まで何度も乱歩賞の最終選考で落とされても決して諦めることなく信念を貫き通してきた作者。
私からも拍手を送りたい。
続いて読んだ54冊目は、堂場瞬一さんの「雪虫」。
祖父・父を継いで新潟県警捜査一課の刑事となった主人公。
晩秋の湯沢で何者かに殺害された老女は、かつて新潟県内で栄えた宗教団体の元教祖だった。
調べていくうちに団体が事実上解散となった50年前にも教団内で殺人事件があったことが判明。
しかし、捜査本部が置かれた署の長である父も、当時事件を担当していたはずであろう祖父も何故か真実を覆い隠し・・・・
舞台が新潟という事で愉しみにしていたのだけれど、期待が大きすぎたか?
久し振りに「これ、ちょっと長いな・・・」と、感じた一冊。
と、いうのも。
頁をめくってすぐに、↑ これに興ざめ(--)
こっちの図書館だけかなー。
時々これに遭遇するんです。
「スピン」と呼ばれるブックマークのしおりの先を誰かが結んでる。
ほんと、これに当たると腹が立つ。
挟んだスピンが滑って抜け出ないようにしたのだろうけれど、そもそもこれは図書館の蔵書であってアンタひとりの本じゃない。
そんなに結びたければ自分の小遣いで買えと言いたい。
買ったこの本のスピンを何十個でも心行くまで好きなようにぐるんぐるん結べばいい!
結んで結んで結んで結んで、ついでも自分もぐるぐる巻かれてしまえー
そして非常に悲しいことに、わたし、この「スピン固結び」の誰かと好みの作家・ジャンルが似ているらしく、ちょいちょいこれに遭遇する。
多分この人は、「ハードボイルド(一匹狼の刑事ものやスナイパー)」、「ミステリー」、「舞台が戦後間もない頃のもの」、そして「基本、日本(外国人の登場人物が少ない。出ても中国か韓国)」がお好きなようです(涙
あの紐のことスピンって言うんですね。
確かに先端を結んである図書に何度かお目にかかりました。
古い本になるとスピンが短くなってページの下まで届かないのもありますよね。
痛々しいです。
あれって千切れて短くなるのかと思ってましたが、よく考えたら、そんなに「やわ」じゃない。
先端が解けてユルユルの糸状になることはあっても、そうそう千切れるものではありませんよね。
とすると、誰かが固結びした先端を、別の誰かが「チッ。」って舌打ちしながら鋏で切って・・・その繰り返しで短くなったのかなー。
いずれにせよ、市民の財産である大切な蔵書を「自分さえ良ければ・・」と勝手に弄るのは本当に腹が立ちます。
刑務所行きでいいと思う!