夏休みは家族で過ごした。
旅行行って海で遊んで、
料理作ってビール飲んで、
テレビ見ながらゴロゴロしながら、
家族で過ごした。
裏山の鳥が鳴き始め、夜が明けた。
ウグイス、シジュウカラ…
コジュケイの鳴き声が一層耳に響く。
「チャチャチャっ、チャチャチャっ」っていうリズムの繰り返しが独特なのだ。
「なんか『見せてっ、見せて』って言ってるように聞こえるね。」
隣で目を覚ました妻がつぶやいた。
「いや、オレには『ディスアポイントっ、ディスアポイント』って聞こえる。」
僕はそう答えた。
妻はコジュケイの声にしばらく聞き入り、
「ほんとだ。そうも聞こえるね。」
と答えた。
「きっと、『見せてっ、見せて』って頼んでやっと見せてもらったものが思ったほどスゴくなくて失望して、『ディスアポイントっ、ディスアポイント』って嘆いてるんじゃないの。」
僕がそう答えると、
妻は楽しそうに笑ってくれた。
しばらくすると声を詰まらせて、
妻は泣いていた。
「ごめんねぇ。」
「何が、ごめん?」
「あなたいなかったら、あたしホントに悲惨な人生だったなぁ。いろいろできなくなっちゃって。」
別に謝る必要はない。
家族が支え合うのは、当たり前。
一人で生きていけないのは、みんな一緒だぞ。
こちらこそ、十分なフォローできなくてごめん。
裏山では、コジュケイが鳴いている。
『生きてっ、生きて』って、
全力でエールを贈ってくれている。