珍珠茶日記

中国・台湾への旅行記など。

<カフェ三昧(1)>

2009年05月31日 17時40分13秒 | 台湾
台湾では、故宮などの名所は一切行かずに、カフェばかり周っていた。カフェといっても、猫好きな僕の行くのは、猫のいるカフェばかりで、ほとんどは「旅々台北」で紹介されていたところ。
どの店にいっても、やはり最後は親切な台湾の人々の思い出が残った。

台湾人はあまりセコくない。カフェへ行っても、お店の人が笑顔で「台北でお勧めの他のカフェ」のことを教えてくれる。
(このことは、台湾のベテラン、青木由香さんも話していた。)
「極簡」などは、台湾のお洒落なカフェオーナーたちが勧めるお店みたいだし。
以前日本で猫カフェに行ったら、「是非うちの店だけに来てくださいね」みたいな事を言われたことがあるが、えらい違いじゃないか。

さておき、僕自信が好きになった、台北のお店の事をメモしておく。




(1)ZABU居酒食堂

名前は食堂だが、お茶だけでもOK。
前から行きたかったお店だが、営業が夕方からで、遅い時間に行ってみると店は満席で入れず、といった感じだった。
営業開始直後は空いてるらしいので、夕方5時ごろ、師範大学すぐ横のこの店まで足を運んだ。

薄暗い店内。自分の他にお客は一組だけ。
店は家族経営なのか、仲の良さそうな若いおにいさんおねえさん、それにお母さんと思しき女性が店を切り盛りしている。
オーダーを取りに来た大学生くらいの女の子は、英語ができるみたい。僕が日本人とわかると、英語で話してくれた。
どことなく、前にちょっと人気が出た日本のバンド、スーパーカーの女の子に少し雰囲気が似ていた。
メニューには、お茶漬け、コロッケなど、日本人におなじみのものが書かれていた。
まだお腹は空いていなかったので、烏龍茶だけを注文すると、ポットで運ばれてきた。


店には、だるま、ワンカップ大関の空き瓶など、日本をモチーフにした小物が色々と飾られている。
他の客が居なくなり、おばさんの手の開いたところで、ジャスチャーを交えて、質問してみたところ、
「そうそう、日本に行ったことがあるのよ。その辺の家具は日本からのものよ」
と、笑顔で教えてくれた。


【写真】Zabu居酒食堂の店内は、どことなく学校の教室を思わせる雰囲気。
    ポストカードなども販売されている。
    アーティストの集うカフェ、といったところか。


店内に猫発見。よし、猫の写真を撮るぞ、と言いたいところだが、店の照明はかなり暗い上に、猫がすばしっこく動きまわるので、思う様にはいかない。
四つんばいになり、猫を追っかけていると、先程メニューを取りに来た子が僕に近寄ってきて、「これ、お店からあなたへの贈り物です。よかったら。」
と言って、小さな袋をくれた。
なんだろう、と思って出してみると、イラストの描かれた2枚のポストカードが入っていた。店のオリジナルらしい。そう言えば、この店では若手アーティストの作品なども売っているみたいだ。
通りすがりの旅行者に「贈りもの」なんか渡しても、店にいいことはないのに。日本からの旅行者にいい思い出をプレゼントしてくれたのだろう。

烏龍茶を飲み干し、店を出るとき、先程のおばさんと共に、ポストカードをくれた女の子が、少し恥ずかしそうに会釈をしてくれた。


次に台湾に来るときも必ず立ち寄りたいお店だ。



【写真】お店の人が「贈り物」といって僕にくれたポストカード。

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ZABU 居酒食堂
猫のいるお店。
住所:台北市浦城街9-4号
電話番号:(02)2369-6686
MRT古亭駅から徒歩7分ほど。師範大学のすぐ横。夕方5時くらいからの営業の模様。





<麺探求(3)麻醤湯麺?>

2009年05月31日 15時04分42秒 | 台湾
遅めの朝ごはんを食べに雙城美食街へ。


いろんな店があり、いつも迷うが、麺が食べたかったので、麺の店にする。
お店の傍には、大きな犬が寝転んでおり、のんびりムードが漂う。

さて、頼んだ麺は、暖かいスープのかかったもので、自信があまりないが
麻醤湯麺だったはず。やや濁ったスープには、胡麻、肉汁、野菜などが溶け込んでいて、
いろんな味がする。

美味い。
屋台で食べるもの、特に麺類は、意外と薄味なのが多いが、これはハッキリと味がある。


犬のうろつく屋外の店。衛生面がやや気になるが、不思議と台湾で食あたりになった事はない。
今のところ、ない。
清潔とは言えないまでも、比較的に水が綺麗な台湾だからだろうか。火の通ったものを食べる限り、
あまり神経質になる事はないのだろう。
スープの底の方から現われた、蚊みたいな虫を箸でよけつつ、その様な事を考えていた。



【写真】雙城美食街は、昼と夜で店が入れ替わる模様。この時はお昼でした。


【写真】辛くないスープで、食べやすい。

<麺探求(2)福州乾拌麺>

2009年05月28日 21時29分49秒 | 台湾
青木由香さんネタだが、「ニイハオノート」に美味しい麺の店が紹介されていたので、行ってみることにした。
場所はMTR古亭站から徒歩で2-3分(迷わなかったら1分かも)。
問題の麺は福州乾拌麺といって、スープの無い麺。

通りを入った住宅地の、何の変哲も無い店には1-2人しか客がいない。席に着き、福州乾拌麺の(小)を注文すると、店のおばさんがスープなども一緒にどうか、と勧めて来たが、とりあえず止めておく。台湾では食べたいものが一杯あり、今日も色々食べ歩く予定なので、ここで腹いっぱいになるワケにはいかない。

待つこと2分。テーブルに麺が運ばれ、おばさんが、机の上に並べられたソースを指差す。
「これをかけてけて食べるのよ。辛いのが好きなら、こっちのもかけたら良いよ」
中国語の通じなさそうな僕に対しても、一生懸命説明してくれるところは、さすがに親切な台湾人。

麺の味は、何処となく「スパ王」ペペロンチーノを思わせる薄塩味だが、麺にはコシがあって美味しい。
辛い方のソースを掛けると、なお良い。

量も多すぎず。これで一杯30元ほどだったか。
代金を払うと、おばさんが英語で「Thanks!」と笑顔で手を振ってくれた。


【写真】薄塩味のソースにネギが掛かっているだけのシンプルな麺だが、飽きの来ない「毎日食べたくなる味」。

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福州乾拌麺
住所:羅斯福路2段35巷11號


台湾で美味しかったもの -院子のカスタード・プリンとオレンジ・ティー

2009年05月24日 20時30分34秒 | 台湾
僕は一度好きになったら、何度でもその場所を訪れる。
GWの台湾旅行の間、極簡と院子に3回ずつ通った。
院子へ行く目的は色々あったのだが、それはまた今度書くとして、このカフェで美味しかったのがカスタード・プリン。猫カフェはしご、という事もあって、直前に極簡でワッフルを食べたところ。だから、本当は甘いものなんて頼むつもりはなかったのだが、店の女の子が、しきりに「よかったら食べ物も」と勧めてくるので、「さっき食べたところだから、ちっちゃなものしか食べられないよ。」答えると、彼女がメニューを見せて指差したのが、そのプリン。

弾力のあるプリンは、単に甘いだけではなく、酸味がきいていて、さわやかな味。フルーツ・ティーとよく合う。
僕はもともと甘いものなんかあまり食べないのだけど、このプリンは久々にヒットだったもの。


【写真】院子の美味しいカスタードプリン。

やっぱり台湾のカフェはレベルが高い。味もサービスも。
プリンと共に美味しかったメニューがオレンジが絞ってあるティー。お茶というよりは、絞ったオレンジをお湯で割って飲みやすくした感じ。アイスも飲んだけど、両方いい感じだった。


【写真】オレンジ・ティーはたっぷりポットで出てくる。
(注:メニューの名前は「オレンジ・ティー」ではなかったと思います。)

台湾で美味しかったもの -マンゴーかき氷

2009年05月19日 20時05分57秒 | 台湾
<士林夜市>

よくガイドブックに載ってるいかき氷。前回初めて台湾に来た時は冬だったので、食べられなかった。今回は是非、という事でチャレンジすることにした。
有名な店もあるけど、きっとどこも同じ様なもんだろう、かき氷なんだし、という事で、ふらりとやって来た士林の美食街。この中は、ほっといても客が沢山入るので、あんまり美味くないだろうな、と思いつつ、呼び込みのおばさんに言われるままに入った店。時間帯からか、客はあまり居ない。
が、食べ物だけは、実際に食べてみるまで判らないもの。出てきたでっかいかき氷は、ふわふわで、練乳が掛かっていて甘く美味しい。僕は練乳の味って結構好きなんだ。

大満足で値段も90元也。


【写真】器に溢れんばかりのかき氷。




<冰館(Ice monster)>

士林のかき氷で美味しく感じたくらいだから、老舗のはどんなだろう?と気になって数日後に来てしまったのが永康街のココ。
店はモダンなファーストフード店といった雰囲気で、カウンターには沢山の人が並んでいる。
が、よく話し声を聞くと、その多くが日本人観光客。で、注文するものはやはり、「マンゴー・シャーベット」。

大きな器に盛られたかき氷は、見た目さわやか。味も、練乳たっぷりの士林のとは一味違い、さっぱり。でっかいマンゴのアイスクリームも乗っている。
隣で食べていた日本人の若い女性二人が、「あ~幸せね~」と話しながら食べていたのが印象的だった。


【写真】並んで買う冰館のかき氷には、アイスクリームが乗ってる。

台湾で美味しかったもの -極簡のハニー・ワッフル

2009年05月18日 21時11分19秒 | 台湾
極簡は猫カフェとして有名だけども、食べるものも飲む物も、本格的でとても美味しい。
この店で嬉しいのは、店のスタッフの人たちがでとても親切な事と、一度行ったら覚えていてくれること。
僕はこの店が大好きで、何度も足を運んだが、その度に前に頼んだメニューなんかを覚えていてくれてて、「ミルクティー、今日は砂糖抜きでなくても良いです?」とか、「今日はワッフルはいいですか?」とか聞いてくれたりする。旅行で行くだけなんだけど、なんだか、顔なじみになった様な気分になる。

さて、この店ではワッフルとホームメイド・クッキーしか食べたことないのだけど、両方美味しかった。
なんでもクッキーは、師範大学の学生さんが多いらいしい、アルバイトの方々の手作りとのこと。ウェブに載ってた。
初めから砂糖入れてくるミルクティーも、水が硬水だからだろうか、とても美味しくて、それらのお菓子とよく合う。

晴れた日に店の中で猫と遊び、カフェの優しいスタッフとおしゃべりしていると、「人生幸せだなあ」という気分になってくる。


【写真】ボリュームたっぷりのハニーワッフルは、お腹が減っている時でないと手ごわいが、味は保障付き!

<麺探求(1)台湾ラーメン>

2009年05月18日 20時40分59秒 | 台湾


台湾と言えば、食べ物。そう、美味しい屋台ごはんに、牛肉麺、小籠包。とりわけ、僕は麺が大好き。屋台の食べ物って、本当はそんなに美味しいって程ではない、というか、もの凄く美味しいというものに出会うのは結構まれ。それもそのはず、有名な士林とかは別にして、屋台ごはんは台湾の人に日常に溶け込んでいて、毎日のご飯を普通に屋台で食べる人も入るのだから、味もそんなに濃くない場合が多い。
屋台で楽しいのは、色んな食べ物に出会えること。好奇心を刺激するものが沢山あって、ついつい色々頼んでしまう。

雙城街夜市で食べたもので、面白かったのは、ある屋台の台湾ラーメン。お店に「味噌烏龍麺」と書かれたものがあったので、おばちゃんに「何これ?」と訊くと、見せてくれたのはうどん。なるほど、“うーろん”と”うどん”と語呂合わせみたいな感じかな。しかし、台湾でわざわざ名古屋人みたいなうどんを食べる気にもなれないので、隣にあった別のものを質問すると、「それは、台湾ラーメン。おいしいよ」との事。珍しさに負け、たのんでみる。台湾ラーメン。


【写真】麺の他、臭豆腐なども食べられる。


おばちゃんご機嫌で、「辛いの大丈夫?」とか、「ネギ食べられる?」とか、気を使ってくれる。まあ、台湾の人たちは親切で、話好き。その人たちとお店で色々なやり取りをするのが、また楽しい。

で、おばちゃんが作ってくれたものは、ごった煮ラーメンといった感じ。キャベツにソーセージ、ちくわ、はんぺん、コーン、卵などが入っている。
スープはうどんの味に近い。「辛いのはだめ」と答えたためか、やや薄味だけど、あっさりしていて悪く無い味。というか、味の素とか、変な調味料を入れてないので後で気分が悪くならない所は、さすがに良心的だ。


【写真】色んな具がたっぷりのラーメン。

ニイハオノート・青木由香さんのおむすびやさん

2009年05月17日 17時01分11秒 | 台湾
台湾好きな人の間では、知ってる人も多いだろう、ライター、アーティスト、番組制作者の青木由香さんのビデオブログを旅行前の情報収集として見ていたら、最近野外のおむすびやさんをはじめたから、台湾に来たら寄ってみてください。
と云々という記事、ビデオ(you tube)があった。早速ブログに載っているメールアドレスから問い合わせをしたら、ご本人が「師大の近所で朝何時からやっている。GW中はいついつなら居ます。一緒にやってる友人に言ってもらったら、電話一本、直ぐに参上します。」
という感じの返事をくださった。

「るるぶ」だかで、青木嬢の、女を捨てたかの様な写真を見たときは、まさかこんな人に直接会う日が来るとは想像もできなかったが、メールを見る限り、かなり親切で、人懐っこい人の様だ。

5/1。朝ごはんは食べずに、10時頃現場に向かう。
おむすび屋さんは直ぐに見つかった。木陰に一人の若い女性が小さな台におむすびやら、ケーキに類を並べている。
女性は青木さんのルームメイトの人で、ハルコさんといった。ハルコさんは、僕が青木嬢の著書「ニイハオノート」をもって近付くと、優しそうに微笑んで、青木さんにTELしてくださった。
ちなみにハルコさんは先住民族の阿美族の方で、そこでは日本人の女の子の名前を付けるのだそうだ。だからお名前は本当の名前。


【写真】ニイハオノートの青木嬢(左)と、おむすびパートナーのハルコさん。


青木さんは直ぐに現れ、初対面ながら、親切にお勧めのお店などを教えてくださり、僕の熱い要望に答えてニイハオノートにイラスト入りでサインして下さった。
なんでも、ケーブルTVの仕事も始めたそうで、台湾の64チャンネル(だったか?)で登場されているとの事。
熱意とエネルギー、それに才能を持ち合わせた女性で、既に6年も台湾いるらしい。師範大学で習われた中国語もペラペラ。

おいしい鮭入りおむすびを食べながら、気持ちよく晴れた日に、海外で奮闘中の日本女性のお話を聞くことが出来て満足だ。
最後にお約束の記念写真を撮り、お礼を言って別れた。

なお、青木さんの本、ニイハオノートには、台湾人や、台湾人と友達になること -彼らは日本に関心があり、日本人と仲良くなる気満々というのは本当で、僕も今回の旅行で、台北にいい友達が数名できた。


【写真】サインは小籠包イラスト入り。


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青木さんのビデオブログ  
http://www.aokiyuka.com/
*もちろん、おむすびやさんの事も出ている。


台湾マッサージ・志村けんの謎

2009年05月17日 15時06分22秒 | 台湾
やや今さらながらではあるが、GWにインフルエンザの危機をもろともせず、海外旅行に行ってきた。そう、またもや台北。


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滞在していたサンルートホテルの近くの晴光市場付近に、マッサージの看板が出ていた。
屋台に昼ごはんを食べに行ったついでに、店の前まで入ってみる。古い雑居ビルの上の階にあるらしく、入らないと中の様子は判らない。肝心の価格が書かれていないので、入るのはためらわれるが、ビルに張られていた店のポスターには、怪しげな日本語とともに、気持ち良さそうに足マッサージを受ける志村けんが写っている。
台湾に仕事に来たついでに寄ったのだろうか?こんな屋台街のマッサージに?いやl意外に志村けんは庶民的な店が好きなのかもしれない。
結局その日はその店には行かず、そのままホテルに戻った。

それから大分たったある夜、ホテルに置かれておいた日本人向けフリーペーパーの記事をもとに、MRT中山駅まで出向き、マッサージ店が多いといわれる通りの付近を歩いてみた。
暗い通り路。日式やらハワイ式やら、色んなタイプのマッサージ店がある。入る店を決めかねていると、早速声が掛かる。
「ちょっと、何処行くの?いい所有るよ。ねえ。」 
ポン引きだ。しつこく僕の後をついて来る気配を感じたので、やや歩く速度を速めて追っ払う。

どの店の外観も今ひとつ。だが、折角来て何もしないで帰るのも何なので、フリーペーパーに名前の載っていた店「K」に入る事にした。ここなら、少なくともボッタクリには遭わないだろう。

店のあるビルの階段。両側にマッサージのポスターが貼られている。よく見ると、またもや、志村けんだ。体を揉まれて幸せそうにしている志村けんの写真があり、その横には番組プロデューサーと思しき人からの感謝の手紙。
「拝啓.... 先日はどうもありがとうございました。おかげで良い視聴率が取れました」云々。
階段を進むと、さらに今度は酒井のり子の写真。なんと!しかし、そう言えば、酒井のり子は台湾では人気が高かったと聞く。
彼女も、巡業の疲れをマッサージで癒していたのかも知れない。


店に入ると、年配の女性が二人、暇そうにソファーに座っておしゃべりしていた。僕が客だと判ると、コースを選ばせ、奥のマッサージ部屋へと案内した。

マッサージそのものは悪くなかった。上海で足マッサージを受けると、まず薬草入りの熱いお湯の入った桶に10分程足を浸け、その後じっくりを足裏を指圧してもらう事になるが、台湾では少々勝手が違う様で、足裏ではなく、足裏も含めて、太ももからつま先まで、足全体をマッサージしてくれる感じだ。時間も上海で60分、30-80元(1元日本円で15-6円程)くらいなのに対して、台湾では40分500元(1元3円くらい)。
当然上海の方が安く、マッサージ師も地方出身の元気な若者が多い。台湾では、年配の男女が多そうだ。僕の足を揉んでくれたおばさんも60歳はとっくに超えている様子。ただ、力は弱いが、丁寧。コリをほぐすといよりは、何か僕のからだの悪い部分を探っている様でもある。

マッサージが終わり、もとのフロアに戻る。やはり壁には志村けんと酒井のり子の写真だ。しかし、金持ちの志村けんが、こんな古い雑居ビルのマッサージに来るものだろうか。カーテンで仕切っただけの隣のベッドで、酒井のり子が太ももを揉まれていたりするのだろうか?
おばさんは、僕がそんな質問をしようとしているのを察知したのか、さきほど受けたマッサージでの診断をするから向こうへ行けと言って、僕を志村のポスターから遠ざけた。
おばさんによると、足の各つぼを触ってみたが、僕には全く問題が見当たらなかったそうだ。「ここは、腎臓、歳とって悪くなると、膀胱も悪くなるよ。あなた、大丈夫。
心臓。胃腸、器官、これもあなた大丈夫だったよ。」
たしかに、旅行が始まってからというもの、毎日歩きまわっているせいか、寝つきも良いし、食事も美味しい。幾分健康に戻った様だ。


きっと志村けんは、マッサージを受けにくる日本人の象徴の様な、軽い意味合いでポスターに使われているのだろう。
おばさんに礼を言って500元を支払い、夜の通りに戻った。