巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

精神的なストレスで体に異変が…と、その解消方法についての一事例

2008-04-20 23:00:00 | 日記・エッセイ・コラム
2月半ばから、短期前提の新しい仕事が入った。

わたしとしてはかなりイレギュラーな性格の仕事だ。この場合のイレギュラーな仕事とは「自分の意見はいえない」とか、「自分が意思決定権を持たない」といった仕事のこと。ひたすら指示通りにやるだけ。

おまけに、自分としてはサバイバル・スキル(この記事内では「できないことはないが、あえてやりたくない。だが、『お金』とか『どうしようもないその場の状況』等の理由により、使わなければならないスキルのこと」とする)と考えていたもののみを使って、仕事をやらなければならない。この場合のサバイバル・スキルとは、ずばり語学力。

でも、長くとも1ヵ月半、早ければ1ヶ月弱で終了。これが決め手でこの仕事をうけた。1ヶ月半ぐらいなら、ストレスフルな仕事であっても何とか乗り切れるだろうと、そう考えたわけ。

ところが…

初日より早くもストレスが体に現れた。何が起こったのかというと、

  • 顔以外の体中が痒くなり、真っ赤に腫れあがった

  • 歯痛

  • センナ(あるいはその有効成分のセンノシドを含む錠剤)のお世話になったほうが良いかと思われる頑固な…(以下、略)

  • 夜中に何度も起こるひどいこむら返り


とりあえず、体中の痒みは職場の乾燥した環境に帰することもできよう。しかし痒い。とにかく痒い。お風呂上りの保湿はより完璧にしたし、職場にラナケインを常備し、頻繁に塗りなおしたが、体中が真っ赤に腫れあがった。なぜか顔だけが無事というのが救いだったが。そしてこむら返りのお陰で睡眠時間が少なくなり、寝不足に。そこでわたしは、まずは生活を見直すことにした。つまり

  1. 何が何でも睡眠時間を5時間は確保する

  2. ウィークデーのアルコールは1滴たりとも禁止

  3. ヨガとダンベル・エクササイズは何があっても続ける

  4. できる限りピアノ(正確には、ステージピアノ)の練習をする

  5. 好きな音楽をできる限り聴く

  6. 自室に生花を飾る

  7. 食事の量と種類には(いつもながらやっていることだが)気を使う

  8. 飲んでいるサプリの種類や量は変えない


を実行。

2については、睡眠の質を確保するためだ。アルコールを飲むと、眠りに落ちるのは早くなるが、眠りそのものは浅くなる。誰からか「アルコールを飲んでの睡眠は『気を失う』と同じことなので、眠りの質としては良くない」と聞いたことがある。実感として、たしかにそういう感じがしないでもない。

3のヨガとダンベルについては、朝一にやるようにしたため、6時起床。そのため、1を守ろうとすると遅くとも午前1時には寝なければならない。これはわたしにとっては結構難しいことだったりした。

4と5に関しては、一時的にモーツァルトしか受け付けなくなってしまった。ロック、ジャズ、ポップス、ソウル等は、すべてわたしをいらいらさせてしまった。J-POPは論外。演歌はもともとダメ。

わたしは昔からクラシックをよく聴くのだが、好きだったドビュッシーやラベル、ショパン、シューベルトがだめになり、ハイドンやベートーヴェンら古典派もほぼだめになった。そしてバッハ等のバロックもだめ。で、モーツァルトを癒し系とは思わないのだが、なぜかモーツァルトの音楽だけは大丈夫で、モーツァルとの曲を聴き、モーツァルトのピアノソナタの譜面に向かっていた。

屈強でないわたしにとって7と8は日常生活での注意の延長だが、自分でもびっくりしたのは6だ。わたしは普段は、自分の部屋に花を飾る習慣はない。部屋の中に精密機器が結構あって、花びんの水でもひっくり返したらえらいことになるからだ。(実際ある朝、まさに出かけようとするときに花びんをひっくり返してしまい、自ら仕事を作って遅刻しかけた。)そんなわたしが「自分の部屋に花がないと耐えられない」と思ってしまったわけ。これはかなり危ない精神状態になっていたことを意味する。

こんな努力をしながら「慣れればどうにかなる。それに短期の仕事だし」と思っていたのだけれど、はじめてから3週間近く、しかも休日にまで不調は続いた。

これがたとえば「ここで失敗したら辞表を提出だ」「ここでしくじったら二度とこの業界の仕事はこない」のような状況だとすると、もちろんストレスで眠れなくなるし、胃が痛くなるし、現場でものすごく嫌なにおいの汗をかいたりすることになるわけだけれど、それはそれでなんとか耐えられるわけ。一過性のものだから。ところが今回のような状況がずっと続くと、かえってどうしようもない。

そんな状態で3週間が過ぎた土曜日の朝早く、海の向こうの彼(か)の国からのクレームの電話でたたき起こされた。

その電話は、もうずっと前に終わった仕事に対するクレームだったのだが、実は内容を良く聞くと完全な濡れ衣だったため(「それは、わたしが請け負った部分ではないよ」)こちらは反撃モードに。こういうときだといくらでも言葉がでて来るんだよね。ダダダダダっと機関銃のように(しかも理路整然と)反論しまくり、2時間近くのやりとりの最後には、日ごろ間違いを認めようとしないアメリカ人ディレクター(真っ赤になって怒ったあの表情が浮かんでくるわ)ですら平謝りで、一件落着。

で、その電話を切ってふと気がつくと、体が痒くないし、歯も痛くない。そしてその電話を境に全ての不調の症状がウソのように急激に消えていった。

そう、つまりわたしって自分が出せる仕事をしていないとダメなんだ。

そう気づいた瞬間、週末は自分の裁量で方向を決められるような仕事を別途入れるようにして、ストレス解消。

以来、体はいつもどおりの体調に戻っている。相変わらず6時起きでダンベルとヨガをやっているし、花も飾っているし、ステージピアノで練習もしているけれどね。快腸だし、こむらがえりもなくなった。

そうそう、ストレスの元となった件の短期前提の仕事は、いまもやっていたりする。しかも結構自虐的に楽しんでいたりして。