愛煙家の多事総論

このブログは愛煙家こと私が、世の中の色々なニュースに対して、自分勝手な評論をする駄ブログでございます。

万歳!!

2009-09-20 01:17:11 | 国内情勢
仕事を終えて(4時半直帰じゃ)、家に帰ってみると、メイドさんが(無駄に広いフラットを宛がわれたので、ロシア人の同僚の娘さんを、バイトとして雇ったのだ)何やらわめいていた。

その娘さん、御年19歳になり、今は大学に通っている。
ちなみに、人の美醜にはあんまり興味のない俺であるが、彼女は・・・ロシア人はどうして18歳を超えたらゴリラ張りにごつくなってしまうのだろう・・・という人種学的なテーマを俺に投げかけてくれる、とても興味ある存在であると言える。

まあ、ありていに言えばゴリラ顔なんです。幼少時の写真を見る限りは、天使とはかくあらん、という顔してるのにねぇ。

その彼女、大学では日本学を主に習っていて、大学が終わると週に3~4回うちに来て、掃除して飯作って、俺が勉強見て、その後帰る・・・という生活を営んでいるのですが、普段から大人しく、騒ぐということがなかったので、今日家に帰ってみて大興奮しているのをみて、かなり驚いた。

理由を聞こうにも、彼女はしきりに

「万歳、万歳」

を繰り返してばかりいる。
ちなみに、彼女は「万歳」という言葉を喜びの表現としてではなく、感嘆詞、それも喜怒哀楽関係なく使うので、一体どういった感情、意味をもっていっているのか分からない。英語で言えば「OUCH!」的な感じだろう。

落ち着かせて話を聞くと、

「クレヨンしんちゃんの作者が死んだ」

と言うではないか。
はぁ?と思い、日本の同僚に電話して聞いてみると(ハル坊、夜中に掛けてすまん・・・)

「ああ、なんかマジらしいよ。ハイキング中に行方不明になってたんだけど、足でも滑らせたのか、どうも本人らしい人が遺体で見つかったって」


と、言うではないか。
実は、数日前から行方不明になっていたそうだが、自分はここ数日取材で僻地を回っていたため、全然知らなかった。
自分もクレヨンしんちゃんは好きだから、この情報にはかなりショックを受けた。

横を見ると、メイドさんは涙で顔をくしゃくしゃにしている。実は彼女、ロシアのオタク(腐女子と言うべきなのかな?)なのである。
まあ、これは言い過ぎかもしれないが、欧米で日本学を勉強している人間の多くは、オタクです。勿論、中には織田信長に憧れて~とかいう奇特な学生もいるが、まあ、オタクの方が多い。

そんな彼女だから、勿論日本の漫画には造詣が深い。
そんな彼女が子供のころから好きだったのが、クレヨンしんちゃんなのだ。

クレヨンしんちゃんは、世界中で人気がある。
中韓では海賊版や著作権侵害グッズが飛ぶように売れているし、欧米でも老若男女問わず人気がある。勿論、子供には大人気だ。

人気がある機微は、国々によってそれぞれ違うが、まあそれだけ愛されているキャラクターであることは確か。
実際、彼女のように、クレヨンしんちゃんで育った欧米人も今や少なくない。
で、そういった切り口から日本文化に興味を持って、日本学を勉強する人は、日本の漫画家を生き神様かなんぞのように捉えていることが、ままある。

かつてイギリスで、ドラゴンボールの話題になったとき、対話していたイギリス人のオタクは鳥山明先生のことを

「Living GOD」

と言ったのだ。正直、少し異様な感じがした。
まあ、それだけ向こうの人は「クリエイター」というものを大事にしているという証左だし、中でも自分たちには作り出せなかった「漫画」を作る「漫画家」というクリエイターに、天才性を見出していることは確かなようだった。

そんな人が死んだ(確報ではないらしいですが・・・むしろ、生きていて欲しいですが)とあっては、彼女が取り乱すのは当然なことのようで。

「総主教(ロシア正教の最高位)が死んだようだ」

とまで言った。去年、アレクセイ2世がなくなられた時、多くの正教徒が嘆き悲しんだというが、それと同列だという。一漫画家に対して、列聖者のような扱い。いやはやロシアのオタクは感情の振幅が激しいものだ・・・と、半ば呆然と、彼女の姿を見ていた。

しばらくすると、彼女も落ち着きを取り戻したが、日本の漫画がここまで浸透しているとは、自分は思わなかった。
しかし、考えてみれば一ロシア人をしてここまで嘆き悲しませる(極端な例であるにしても)人を亡くしたというのは、日本国家としての損失ではなかろーか。

「しんちゃん」という子供が、日本のイメージを、日本という知名を広めるためにどれだけの働きをしたのかは、自分などには計り知れない。
日本国は、それを失ってしまったのである。

勿論、ドラえもんのように作者が亡くなっても、キャラクターが独り立ちすることは大いにあるだろうけれど、それはアニメとしてであって、漫画としてはやはり未完のままである。
この場合、「主」は漫画であり、「従」はアニメである。主が立ち枯れてしまう以上、やはり従の方も影響を受け、作者が持っていた世界観や広がりがなくなることで、従もつまらないものになるかもしれない。
結果、つまらないものになればどの国だって打ち切るだろう。

そうなりゃ、日本文化の重要な発信コンテンツである一つを失うこととなる。

そう考えると、日本の漫画家は今や日本にとって重要な戦略資源なのだなぁ・・・と思ってしまった。
我ながら不敬な考えだなとは思うが、泣き沈む彼女の姿を見ては、そんな感慨を抱かずにはいられない。

ただ、自分としてもクレヨンしんちゃんが未完で終わってしまう、もう新しい漫画は読めなくなることは、非常に悲しく思う。
まだ、確報ではないとのことなので、どうか作者の臼井先生が生きてますように・・・と、彼女と二人神に祈りました。



ちなみに、彼女がやっつけ仕事で作ったボルシチは、余り美味しくなかった。



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