愛煙家の多事総論

このブログは愛煙家こと私が、世の中の色々なニュースに対して、自分勝手な評論をする駄ブログでございます。

ロシアより愛を込めて(愚痴めいた雑感)

2008-11-19 18:47:35 | 雑感
どういうわけだが、今ロシアに居ます。BRICsの一角をなし、豊富な地下資源を背景に、大国への再建を旗印にひたすら猛進してきたロシアだが、外需は元々大したことない上、内需もしぼみがちな所為か、ロシア国民にとって最も安易な娯楽である「ウォッカ」の売れ行きが半端ないというニュースが、街角で飛び交っている。つか寒い。

自分は一応経済に強みを持つと言われている通信社の人間なので、正直言ってリーマン破綻からの金融危機に対しては、割と冷静に対応できた。
というか、こうなるんじゃないかとは思っていた。

別に先見の明を誇っているわけではないですよ?
実際、自分は経済部ではなく、社会部、政治部畑の人間なので、具体的な道筋までは立っていなかった。
が、経済部の人間、特にアメリカ支局の経済部の人間なんかは、ウォーレン・バフェット氏と親交がある人が多々居るので、氏の

「短期売買はNO」

とか

「デリバティブはいつか崩れる」

といった発言に対して深く共感していたから、投資銀行の危うさに対して早くから気づいていし、その後の混乱も予測してたようだ。そもそも、うちの社員(ジャーナリスト)は大抵社内条項なんかで、株や金融商品の短期売買は禁止されているから(インサイダー防止の為)、それもあって、長期売買に対して肩入れすることもあるけれど。

まあ、そんなこんなで社員には大して金融危機の影響はなかった。誰が大損こいただとか、逆張りして大儲けしただの、そんな話は一切ない。
が、会社としては影響大有り。
別に、レイオフだ~ボーナスカットだ~、といった経営での問題はないのだが、取材対象が一気に増大した所為で、社員一同大わらわ。

そりゃそうである。経済に対して強みがある~というのがうちの通信社の特色のひとつ。こんな事態だからこそ、より早く、より正確に、情報をお届けせにゃならない。
自分も、中東に勤務していたこともあり、今回の金融危機で中東の経済がどう動いているのか、社会部から引っ張り出されて取材してたわけですが・・・。

今何故かロシア。ちなみに、古都サンクトペテルブルグに居ます。ロシア語も日常会話程度にしか扱えないのに。キリル文字なんてこれっぽっちも読めないのに。

まあ、どこの新聞社、テレビ局、通信社もそうかもしれないが、英語は当たり前として、ドイツ語、ラテン語系列、中国語、ハングル、そういったメジャーな言語を喋れる人は多いのだが、ロシア語やアラビア語、アフリカ諸国の言語、また東欧諸国の言語を喋れる人間ってのはかなり少ない。
というか、マスコミに限らず、これらの言葉ってのはマイナーな所為か、割と喋れる人が少ない。
ロシア語なんかは、国がでかいし人口も多いから、それだけビジネスチャンスにしろ人材交流にしろ接する人が多い、のだから、喋れる人間も多いんじゃないの~?と思われがちだが、キリル文字という難解な文字が勉強意欲を亡くさせるのか、不思議と少ない。
まあ、そういった時に活躍するのが、近年問題となっている「派遣社員」なのだが。通訳の派遣社員ね。

まあ、それはともかく、そんなこんなで日常会話程度にロシア語が使えるのならば、会社の使えるものは何でも使おう精神によって、俺はロシアに送り込まれたわけである。
正直、ついこの間まで中東であぢ~あぢ~言っていた俺にとっては、ロシアの秋は寒すぎる・・・。
しかも、ヨーロッパ各国や、中東、中央アジア、東南アジア、極東に関してはほとんどの国を旅したので馴染み深いし、勝手も分かるのだが、ロシアは全然分からん。民俗も風土もイマイチ分からん。

ロシア人の友人は数多く居るが、基本的にグローバルに活躍する人間って、洗練されてて「国」を感じさせないから、余り参考にならないし。

んなわけで、街角で取材するのも大変だ。何せ、豪放磊落・・・と言えば聞こえは良いが、結構な確率で法螺を吹くのである。ロシア人は。
いや、本人達からすれば、法螺を吹いているとは思っていないのかもしれないが、実情を知った上での取材を重ねると

「いやいや、あんさんそりゃ言いすぎでっしゃろ」

と突っ込みたくなること多数。
昔、MI-5のチーフの本を読んだとき、冷戦下のスパイ闘争においての下りで

「ソ連人は息を吸うように嘘をつく。当時の、いや今現在の嘘発見器ですら彼らの嘘を見抜くことは出来ないだろう。その為、彼らの逆欺瞞(逆スパイ)活動には随分苦しめられた」

とあったが、なるほどその通りだな、と思わせされた。
注意深く聞いていないと、ふわりと乗せられてしまうほど彼らは気持ちよく法螺を吹くのだ。
そう、MI-5のチーフは「嘘をつく」と書いていたが、それはあくまでスパイ活動に従事するものだから「嘘をつく」のであって、そこには悪意が介在するが、一般的なロシア人の場合「法螺を吹く」のである。
「法螺を吹く」というのは、一般的に自分を大きく見せたいという無邪気な自己顕示や、善意の景気付けの為、といった場合が多いので、悪意が介在しないのである。なので、余計に見分けにくい。

そんなこんなで四苦八苦しながら、こつこつ働いているわけです。

が、ロシア人と接していると、常々思っていることを改めて再確認させられる。
それは

「ぶっちゃけ、マスメディアっていらなくね?」

ということだ。
いやまあ、いつの時代も情報を制するものが覇権を制してきたのだから、情報を届けるものは必要だろう。
ではなく、例えば新聞とか、テレビとか、日本で言うところの代表的マスコミがいらないのではないか~?ということだ。

自分は通信社勤めなので、ジャーナリズムへの理解を

「第一次情報を多くの人に届ける」

としている。無論、他にも色々あるんだろうが、結局情報を届けることだけを仕事にし、その情報をどう判断するかは皆様次第・・・、そう思っている。
が、新聞社やテレビ局なんかはそうではない。
というか、通信社ってのは基本的に一般の人々に情報を届けるだけではとても商売が成り立たないので、新聞社やテレビ局と契約して、それらに情報を届けるのだが、その届けた先がどう扱うかは関知しない。
通信社にとっては、一般の人同様、メディアも「顧客」に過ぎないからだ。どう判断するかは、メディア任せである。

とはいえ、苦労して取材した情報が捻じ曲げられていることも少なくないし、また思想色の濃いメディアなんかだと、結論ありきの基に、情報を操作してミスリードすることも多い。

別に、それが一般の人々なら構わない。

例えば、良くある第一次的な経済情報として

「株価が下がった」

というのがある。
その情報を、好材料と捉えて買いに走るか、悪材料と捉えて売りに走るかは、顧客が判断することだろう。
が、それがメディアという中間業者を通して発信されると、

「株価が下がった。リセッションの兆しだ。政府の対応が悪い」

となる。
メディアが我々が掴んだ情報をどう判断するのかは勝手なのだが、「メディア」という大衆に対して影響力を持つ機関である以上、そこに批判めいた情報操作を行うことはご法度なのではないだろうか。
かつて

「メディアは政治を批判監視するためにある」

と、誰とは言わないが言った馬鹿が居るが(テレビに出ている有名なコメンテーター)、そりゃジャーナリズムじゃないだろう、と言いたい。
ジャーナリズムの根幹は、

1、誰よりも早く情報を掴む

2、正確さを期する為に、しっかりと裏づけを取る

3、出来るだけ多くの人にその情報を届ける

だけであって、くどいようだがその情報の善悪を判断するのは情報を受け取った人々だ。
が、テレビ局や新聞なんかを見ていると、

「とりあえず官僚叩いとけ」

「とりあえず偽装問題叩いとけ」

「でも、スポンサーには遠慮しようね」

といった感じで、まず結論ありき、その情報を補強するために、通信社からの情報なんかを使っている。

これって、一般の人々が望むことなんでせうかねぇ?
少なくとも、俺は大衆を愚民とバカにしきったメディアの傲慢にしか思えない。

ロシア人なんかが法螺を好むのにも、そこらへんに理由があるらしい。
現地スタッフの一人が、

「ロシアは昔から良い情報というのがなかったし、あったとしてもそれはクレムリン発表(大本営発表みたいなもの。帝政ロシア時代にしろ、ソ連時代にしろ、今のロシアにしろ)ばかりだった。自然、メディアに対しての懐疑心が誰の心にも芽生えたし、悪材料ばかりなら、自分たちで景気の良い法螺を吹いて、好材料として捉えようとしているんじゃないかな」

と言っていたが、まさにその通りで、彼らは基本的にメディアを信じず、メディアが隠そうとする、もしくは押し込めてしまった

「第一次的情報」

を捉え、そこから良いように解釈しているらしい。
つまり、第一次情報だけを届ければ、メディアが行うような批判寸評は一切いらない、と言っているわけだ。

そんなこんなで、今の日本でも言えることだが

「メディアっていらなくね?」

となってしまうわけだ。
実際、ネットが好まれるのも、その情報の精度はともかくとして、例えば社員の暴露コメントがあったり、通信社が届けている味も素っ気もない記事があったりするからじゃないかなぁ。
興味ある人は、ある一つの情報に対して、各新聞社やテレビ局の記事と、通信社(時事とか共同)の記事を読み比べてください。大抵通信社のは事実だけを素っ気無く書き、新聞社はその新聞社の意向に沿った書き方(誘導とか操作)をしているので。

とはいえ、メディアがなくなることは有り得ないだろう。
デジタルディバイドの観点からも、人々は一定以上には「コメンテーター」としてのメディアの存在を求める。
さっきの例を出せば

「株価が下がった」

という情報一つにしても、それが良いことなのか悪いことなのか判断できない人居るだろうし、また自分の手には負えない情報にさらされることもある。
そういったときに一つの指針として

「コメンテーター」

としてのメディアは確実に求められる。
が、かといって、そのコメントが事実を捻じ曲げたり、ミスリードするものであってはならない。あくまで個人の考えてあることを表明した上で

「私はこれこれこのよーに思います。こんな考え方もありますよ?」

としなければならない。が、現状ではそうではないし、このままメディアが突っ走れば、誰もメディアを信じなくなる。

結局、メディア自身が生まれ変わるしかないんじゃなかろーか。

昔の形態としては

新聞社→大衆

だったのだが、今ではただの中間機構として

通信社→新聞社・テレビ局→大衆

となってしまっている。
実際、新聞社にしろテレビ局にしろ、驚くほど取材しない連中が多い。裏づけもとっていないことなんかざらにある。

別に通信社勤めの特派員である自分が偉いとは言わないが、仮にもジャーナリストを名乗るなら、まず現地に行き、情報を拾い、裏づけを取るのは当たり前じゃなかろーか
それすらまともに行わず、通信社頼みの情報収集、結論ありきの情報操作、裏づけなしのでっち上げ情報・・・そりゃ、メディア嫌いが加速するわ。マスゴミと揶揄されるわ。

自分としては

第一次情報(事実)だけの通信社
情報の詳細(背後関係)を伝える新聞社
その情報に対しての中立的な立場を前提としたコメント

          ↓
         大衆

となることが理想形じゃないかと思われる。
事実だけを知りたい人、その背後関係を知りたい人、その情報をどう捉えるべきか知りたい人・・・それぞれが取捨選択できるように、メディアの形態も変化すべきじゃなかろーか。

とにかく、今のメディアは情報操作することが多すぎる。
まあ企業である以上仕方ないが、メディアは「社会の公器」と言われるものであって、営利企業であってはならないし、思想の走狗であってはならない。
スポンサーの意向を気にしすぎても、朝日や毎日のように中国や朝鮮にゴマをすりすぎてもいけない。産経のようにやたらと愛国チックでもダメだ。

どうにかならないもんかねぇ・・・。

と、そんなことを暖炉の前でつらつら考えていました。

久しぶりの更新が、とりとめのない駄文ですいまそん。

つーか、この暖炉煙突詰まってんのか妙に息苦しいっす。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
無題 (ちょびっと不精髭)
2008-11-20 00:20:31
何はともあれ、生存を確認できて安堵でございまする。

ロシア人 触ってわかる 毛の多さ

くれぐれも、病気にはお気を付けになって今後も無事お勤めを全うされます事を陰ながらお祈りしておりまする。
Unknown (巫女)
2008-11-21 21:36:40
愛煙家氏へ


 寒い国からの近況報告、拝読仕った。
 そちらへむけて、わらわが予言などに用いておる渡り鳥が帰っていきおった。
 時間のある折には、鳥の姿を愛でられたく候。
生存確認終了 (傘地蔵)
2008-11-23 01:37:03
いやはや、生きているのがわかって、安心しました。
ち ん ち んは不景気知らず (パイ乙)
2009-01-19 06:04:22

世間は不況で騒がしいけど、はっきり言って俺には無縁だねw
ち ん こ触らせてあげて顔にぶっかけてあげるだけで5万貰えるしw
いやー世の中チョロイっすわwwwwwww

http://ARcT7KF.abaoa.net/

コメントを投稿