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とりとめのないメモの山

Stephanolepis cirrhifer:

2010-05-14 00:00:00 | biologie*

カワハギ Stephanolepis cirrhifer (Temminck & Schlegel, 1850) の骨格標本。

脊索動物門 Chordata
 
脊椎動物亜門 Vertebrata
 顎口類 Gnathostomata
  硬骨魚類 Osteichthyes
   条鰭類 Actinopterygii 
   真骨類 Teleostei
       新鰭類 Neopterygii 
        棘鰭類 Acanthopterygii 
       フグ目 Tetraodontiformes 
      モンガラカワハギ亜目 Balistoidei
      モンガラカワハギ上科 Balistoidea
              カワハギ科 Monacanthidae 
                カワハギ属 Stephanolepis 
                  カワハギ S. cirrhifer 。

そろそろ旬ですね☆
キモが好きな方は秋冬ぐらいが旬と言うけど、俺は身の方が好きなので。

フグ目(Tetraodontiformes)は一般に真骨類(teleost)の中でも最も形態的に特殊化していると言われる。
骨格は要素の数が少なく、単純化される傾向にあり、
中でも腹鰭(ventral fin)とその担鰭骨{つまり四足動物(Tetrapod)でいう腰帯(pelvic girdle)}が極めて特徴的。
フグ科の多くは腹鰭とその担鰭骨を欠く。
カワハギなど、まだ比較的祖先的な形態を残している連中はこれらを持っているものの、
左右1対が完全に癒合して1つの強大な骨になっている上、"腹鰭"ってももう短い棘しかない。
そもそもその位置も、肩帯(pectral girdle)より前にあるのだ。
メダカさんと比べてみてほしい。
なぜか腰帯の位置は、真骨類の中でも派生的な形態ほど前へ前へ動く傾向にあるようだが…。


  
他にも、肋骨(rib)を欠く、頭頂骨(parietal)や鼻骨(nasal)なども欠く。
上顎は現生の多くの発達した真骨類と同様に、前上顎骨(premaxilla)のみで構成され、
主上顎骨(maxilla)は後退してほぼ前上顎骨に膠着している。
その口もまた啄み型で、大きく発達した歯が数個生えて、嘴状であることが多い。
などなどの特徴がフグ目だ。


骨が大きく数が少ない、また脂もすくないため、骨格標本はたいへん作りやすい。
ほとんど調理用に捌いて(上肋骨だけ注意!)、
肉を極力ホジホジして、
ポリデントしただけです。
 
カワハギの背鰭第1棘は、見てのとおり、太くて鋭い一本のトゲになっている。
通常こいつを捌く場合は真っ先にここを切り取るが、
それも納得、見た目以上に鋭い上に小さい逆棘がたくさん付いて鋸状になっており、
ちょっと手を触れただけでも切ってしまう。
釣り上げたコイツをうっかりサンダルで踏んでしまったところ、
この棘が靴底を貫通して足に深手を負った例があるとか…。
そもそも釣るには上級テクが要るそうなので(餌を咥えるのではなく削ぐように啄むので、針にかからない)、
釣り上げたら思わずテンションが上がってしまうだろうが…注意は必要だ。

のんびりした顔つきに反して意外とアクティヴで、
最近ではエチゼンクラゲを集団で襲って食べることが知られている。
なので、エチゼンクラゲが増殖した日にはカワハギも豊漁だったとか。
ところで日本のカワハギではないが、
なんと生きたタコでさえ集団で襲って食べる様子なども観察されている
  
octopus being attacked by leatherjacket

カ、カワハギのイメージが変わるね…!!

ちなみにこの個体は♂です。
背鰭の第2軟条がシューっと長く伸びておりますが、これは♂の特徴であります。


 
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<<references>>
 ・Nelson JS,
Fishes of the World (4th ed), New York, John Wiley & Sons INC, (2006) 
 ・岩槻邦男・馬渡峻輔:監修, 松井正文:編集,
『脊椎動物の多様性と系統』バイオディバーシティ・シリーズ7 , 裳華房, (2006) 


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 ・specimens: その他の収蔵標本。

 ・
vertebrata:0102 脊椎動物。
 ・Oryzias latipes:01 メダカの透明骨格標本。





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