ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

心の籠もった贈り物

2013年03月21日 | 随筆・短歌
 様々なものが世の中にあふれますと、高級なものより、手作りの暖かさが有り難く、優しい心が伝わってくる思いがいたします。人間は贅沢ですから、手に入らない時は欲しい欲しいと思っていた高級バックよりも、友人の手作りの巾着などの方に心を引かれ、使う度にせっせと作って下さったその好意に感謝し、長く大切に使うようになります。
 又栞やブックカバーにしても、心を込めて選んだり手作りして下さったものは、何時も手元に置いて、その暖かさを愛しみ幸せ感に満ち足りる思いがします。
 まして手編みのアスコットタイとか、保険証や診察券などを入れるケースを、ご自分の絹の着物をほどいて、作って下さったなどは、手触りも柔らかく艶やかで、友人の好みが偲ばれて、一層温かい追憶へと誘ってくれます。
 別の友人達は、不自由な手で書いて下さる折々の絵手紙、また趣味の押し絵のハガキを下さる人もいます。私が頂いたものも、夫が頂いたものもありますが、それがハガキの場合は、大抵デスクの上の棚に、額に入れたり一寸したハガキ飾りにさして、しばらくは眺めて楽しみ、やがてファイルして想い出にします。絵画を描く人、高校時代の恩師から来る趣味の絵画のハガキ、友人からの、まだ天に向かって伸びをしている最中の、未完成のスカイツリーの写真も、その時しか写せないもので貴重です。オペラのアリアを歌う友人の絵はがき、○○に旅行したとか、○○展に行った記念の絵はがき、写真や絵画を趣味とする人の入選作品のハガキなど、皆ファイルの仲間です。
 ハガキファイルは表裏二枚綴られて、180枚も入りますから、パラパラめくるだけで往時を思い出し、慰められます。
 メールにしても、お誕生日のお祝いメールや、写真などは、コピーして、やはり個人別ファイルにしてあります。過去の往復メールなどは忘れやすいですが、記録は残りますから、アルバムと同じように、メールなども一部大切にしているのです。
 ところで私といったら、何も能がないので、心を込めて人にものを作って上げることも出来ず、かといって旅行記念に、と良い記念品を選ぶこともせず、これは私の心遣いの不足でしょうが、全く恥ずかしい限りなのです。
 人への贈り物を選ぶことは大変難しいことです。土地の名物を送るにしても、その品物は果たしてその人の好みに合って、喜んで頂けるものかどうか、等々迷い悩むことがしばしばです。
 しかし、相手の立場に立って考えて、相手を思いやる心で選べば、きっと喜んで頂けると考えて、負担に成らない程度のものを選ぶように心がけているつもりです。
 ささやかであっても、温かい心の籠もった贈り物は、忘れ得ぬ想い出をいつまでも残してくれます。何時も頂くばかりで、自分の感謝の心を伝えることが下手な私ですが、折しも入学・卒業・退職の時期でもあり、小さな贈り物に温かい心を載せて、届けてあげたいものだと思っています。

よい香り立たせてケーキ焼き上がる老いて独りの友に送らむ(某紙に掲載)


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