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スウェーデンは少ない人口にもかかわらず、世界で最も非中央集権的な基礎自治体(288のコミューン=市町村)があり、日常生活に密着した各種の責任を担っています。スウェーデンの地方分権の理念は、「行政の決定は、できるかぎりその影響を受ける人々の近くでなされるべきである」という点にあります。
この理念を支えるために、地方自治体は1974年から「課税権」と「税率の決定」、79年から「起債権」を持ち、93年からは、国からの補助金は一括して地方自治体の裁量で自由に使える「一括交付金」に変更されました。
詳しいことは難しすぎて私にはよくわかりませんが、日本でも先の小泉政権下で「地方にできることは、地方に」という理念(?)のもとに進められた「三位一体の改革」(「国から地方への補助金・負担金を廃止・縮減」「地方への税源移譲」「地方交付税の見直し」を同時に行う改革)に相当するような行政改革が30年以上前に一段落し、およそ15年前に追加措置が取られたということでしょう。
スウェーデンには環境問題のみならず、ほかの多くの問題の解決に、地方の自主的決定、独立が必要だとする確固たる認識があります。
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このような認識に基づいて、スウェーデンでは、国、地方の役割分担がはっきりしています。外交、防衛、経済、労働市場の政策など、国家レベルでの対応を求められる分野のみが国の担当分野です。
一方、社会福祉サービス、義務教育、保育、環境、文化、住宅政策など市民の身のまわりに直接関係する諸課題は、基本政策の策定を除いて、ほとんどすべて地方自治体(コミューンと呼ばれる)地方自治体の権限で行なわれます。これは地方自治体の予算の支出項目を見れば明らかです。
医療については、その技術的水準を保つことが地方自治体(市町村)の規模ではむずかしいと考えられているので、全国20のレン(日本で言えば「県」)が対応しています。
地方自治体への権限移譲は環境問題を含む多くの分野でつぎつぎに導入されてきましたが、これはスウェーデンの伝統的な「個人の民主的な権利」を確保するためのものです。
福祉問題の専門家、山井和則さん(民主党・衆議院議員)と斎藤弥生さんによる『スウェーデン発 高齢社会と地方分権――福祉の主役は市町村』(ミネルヴァ書房、1994年)に、スウェーデンの中央政府と地方自治体との関係をたいへんわかりやすく説明した、 「ダイヤモンドモデル」と「砂時計モデル」があります。
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ダイヤモンドモデルは、広域行政(州レベル)が最も大きな権限を持っています。ヨーロッパでは、スイスやドイツがこの型に当たります。スウェーデンは、砂時計モデルに最も近い国です。
スウェーデンの環境政策が変化しはじめたのは、80年代に入ってからのことです。それ以前は、環境政策の主な目標は、地域と地方に影響を及ぼす主な固定発生源からの排出をモニタリングし、汚染物質の排出量を低減することが中心でした。それであっても当時としては先進的で、いくつかのスウェーデンらしい方法はあったものの、具体的な対応策では日本の環境対策とそれほど大きな違いはありませんでした。
80年代後半になると、環境政策は交通、農業、製品、原料などの日常の経済活動から拡散された排出に対応するようにシフトしてきました。
90年代に入ると 「持続可能な開発」、さらには「緑の福祉国家の実現」をめざして、問題が起こる前に発生源で問題を解決する手段(予防原則)を見出すことにいっそうの力点を置く政策がとられるようになってきました。20世紀の国づくりでは想定外であった「環境問題への対応」が、21世紀の国づくりの大前提としてはっきり意識されるようになってきたわけです。
このような考え方の変化は国の役割を変え、地方自治体への権限の移譲をいっそう促しました。
「緑の福祉国家の実現」には、これまでの役者(国会、中央政府)から、これからの役者(地方自治体および住民、個人)に役割の重要性が移行してくるという明確な認識から、1992年1月に「新自治法」が施行され、地方自治体の権限がさらに強化され、地方自治体は必要とする「行政局や庁」を自由に設置することができるようになりました。
96年末までに、全国288のすべてのコミューン(市町村)が、持続可能な開発をめざす行動計画「ローカル・アジェンダ21」を策定しました。国の政策は地方自治体と住民の協力により、具体化されます。
地方自治体と住民の協力こそが現実的な問題解決の基本であるという考えです。まさに、環境問題に関心のある方ならご存じの「Think globally, Act locally」の標語どおりです。
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