オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

放射能パニックから生還したと称する主婦

2012-05-12 | 原発

放射能パニックに陥っていた主婦が実名でパニックから脱出した経緯を語り、ネットで話題になっている。
情報ソースは、暗く悲惨な情報を流していることで有名になっている人ばかり。匿名の人たちから大学の先生、研究者まで色々でした。今になるとおかしな人々を信じてしまったと思いますが、当時は正しいと思っていました。そして「御用学者」とされた正確な情報を発信する人の話が間違っていたと思い込み、話を聞きませんでした。また原発事故まで原発や放射能についての知識はほとんどなく、情報の真偽を確かめられませんでした。放射能パニックはカルト宗教への依存と似たものがあったと感じています。パニックに陥った人々の世界には、不満や不安を抱いている自分を心地よく受け入れてくれる仲間がいます。同類同士が傷の舐め合うことができます。しかも現実の煩わしさの少ない、ネットでの情報のやり取りが多かったのです。さらに自分の頭で考えることを放棄できます。道を示してくれる崇拝者、つまり「恐怖情報ソース」がいるのでとても楽でした。居心地のいい場所で、現実の世界にはない絶対的安心感を抱けました。
 
自分ではどうにもできないことをあれこれ悩んでうつ状態に陥るのは確かに健康上よくない。現実逃避は一種の自己防衛だから、それはそれでよい。情報の真偽を判定できない人にとっては脱原発も原発推進もカルト宗教のようなものだ。
 
放射能が健康に影響を与えること。地震国日本では原発は安全とはいえないこと。それは確かだと思う。しかし、私が脱原発の立場をとるのは放射能パニックに陥っているのでもなければ、原発の安全運転が不可能だと言っているのでもない。トイレのないマンションといわれる原発の見切り発車をしたばかりか、54基も建設しておいて最終処分場もない原発行政そのものに強い危惧を抱くからだ。10万年先を見据えた廃棄物処理場が地下420mに建設され、100年分の放射能廃棄物を貯蔵できるフィンランドは、たった5基の原発しかない。
さらに問題なのは、原発行政が無責任行政だということだ。自分たちの指針をクリアして建設した東電の原発を「国の指針より余裕を持って建設しなければならなかったのにそれをしなかった」として、東電を批判する原子力安全委員会の委員長を目の当たりにして、国のチェック機構など存在しなかったのだと痛感した。名前を変えて規制庁にしたところで無知な官僚や他人事の学者しかいない規制庁に責任ある原発行政ができるはずがない。大体、原発交付金や廃棄物のコストを除外して原発は安価だと国民を騙し続けてきた原子力行政の詐欺行為は十分今回の事故で暴露されたじゃないですか。もうこれ以上騙される愚は犯したくない。
さらに驚いたことに原発停止でも稼働率80%と仮定して原発交付金を地方にばら撒き続ける話も浮上している。地元の顔ぶれを見るにつけ、その交付金を地場産業の勃興にあて原子力に頼らない自治体にする能力があるとは思えない。原発交付金、放射能廃棄物の処理コスト、廃炉コスト、ひとたび事故が起こったときの天文学的賠償復興費用、それを考えると原発コストは膨大なものになる。普通、有力企業を地元に誘致して雇用を拡大しようとすれば、減税や土地の提供など地元がインセンティブを提供するのが当然。それが原発では電力会社や国からボッタクリをして居るのですよ。両サイドが原発は安全じゃないと認識している証拠ではないですか?施設整備等の資金の助成、借入金の利子助成、農業後継者や担い手に対する育成資金、海外視察費用の助成、指定野菜の価格が基準以下になった場合の価格補償制度など手厚く保護されてきた農業は未だに自立できないでTPP大反対ではないか。自立の見込みもない地元に交付金をだらだらと配布するのはもう止めにするべきだ。
見込みのないもんじゅに注ぎ込む研究費用も打ち止めにすべきだ。

無責任な原子力行政しかできない日本が原発と言う未熟な技術を制御するのは危険極まりない。原発のコストを自然エネルギーの開発に向けていれば、今頃日本は世界一の自然エネルギー技術国になっていただろう。10数年前、日本の潮流発電研究は世界の最先端だったという。ところがわずか数億円の研究費用にも事欠いて研究は中断を余儀なくされ、今やイギリスなどに追い抜かれる始末。海に囲まれている日本に実験場すら建設できず、イギリスに行って研究を続ける有様だ。(NHKクローズアップ現代5/10)
多くの脱原発論者は放射能パニックに陥っている訳ではない。原発の安全運転は不可能だといっているのでもない。信頼できる原発行政が存在しない国に原発稼動を許してはならないという立場なのだ。
 
再稼動しなければ、熱中症で落命する犠牲者が多数出る。停電に依る経済損失は甚大である。電力不足を忌避する製造業の海外移転が加速する。失業者が増加する。法人税、住民税共に減る。脅して再稼動をゴリ押ししようとするのが政治家の姿だ。事故後、一年がたった。原発停止を補うための方策を考えもせず、将来エネルギーへの投資もせず、悲観論ばかり繰り返して、脅すのが日本の政治家の姿である。事故も起こらないのに脱原発を宣言したドイツは再生可能エネルギーへの転換で雇用が20万人増えたという。既に19,000トンの使用済み核燃料が存在し、再稼働すれば1,000トン/年の使用済み核燃料が積み増しされるという。再稼働後5年で貯蔵プールは満杯になる。そして各原発施設にあるこの使用済み核燃料もひとたび冷却不能になれば、メルトダウンを起こす。原子炉内の燃料棒がメルトダウンするより、はるかに深刻な事態になることは今回の事故で明白になった。一人一人が現実を見つめ、自分で判断することが迫られている。カルト宗教などに心酔している状況ではないのだ。

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