オータムリーフの部屋

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日米合同委員会-米軍が霞ヶ関を通して日本を支配する機関

2014-12-17 | 政治
鳩山政権ができたとき、政権交代で何かが変わるんじゃないかと期待していた。ところが圧倒的な民意を得て誕生した鳩山政権があっという間に崩壊して、沖縄の基地問題も潰された。菅政権になったら完全に自民党時代と同じになった。だから、安倍政権が退場しても民主党が政権を取ってもアメリカ従属の政治は変わらない。

 第2次世界大戦後の日本は、条約や協定といった枠組みによってアメリカに支配されている。
 日米合同委員会ともっともらしい名称だが、米軍が霞ヶ関を通して日本を支配する機関だ。不公平協定である「日米地位協定」の実施に関して必要な協議を行う機関と言うのが一般の理解だが、実態は霞ヶ関にある殆どの省庁が参加し、そのトップに立つのが米軍の制服組だという。

「日米地位協定入門」によると、TPPとは、いままで安全保障の分野だけに限られていた「アメリカとの条約が国内の法体系よりも上位にある」という構造を、経済関係全体に拡大しようという試みだという。筆者の前泊さんは『私はTPPについて詳しくないが、日米合同委員会についての知識を当てはめると、TPPの未来については見えてきます。安全保障について日米間で結ばれた条約は日本の国内法よりも上位にあります。米軍の法的地位は日本政府よりも高く、事実上、行政権も司法権も持っている。それがあまりにもあからさまになってしまうと困るので、「日米合同委員会」という密室をおき、対等に協議しているふりをしている。』
 アメリカに有利な貿易システムを、公平に見せかける協定がTPPというわけだ。TPPは、管・野田内閣も唐突に言い出していた。日本の政治家はアメリカの下僕である日本の官僚の言いなりなのだ。 

 地位協定の不公平さは今まで沖縄で事件が起こる度に指摘されてきたが、戦後70年を経ても改定される兆しすらない。
例えば米軍の飛行機は日本の上空をどんな高さで飛んでもいいことになっている。日本の「航空法」は適用されず、日米地位協定の実施に伴う「航空特例法」があり、「米軍機と国連軍機については、航空法第六章の規定は政令で定めるものを除き、適用しない」とある。つまり、「最低高度」や「制限速度」「飛行禁止区域」などを定めた航空法第六章の43もの条文が米軍機には適用されないのである。米軍機は高度・制限速度・飛行区域を守らずに日本の空を飛んでいいという驚愕の事実がある。
 空だけでなく、地上もアメリカの法律が適用される。2004年に起きた沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事件の際、米軍は一方的に事故現場を封鎖してしまった。日米間には1953年に合意した「日本は所在地のいかんを問わず、合衆国の財産について捜索、差し押さえ、または検証を行なう権利を行使しない」という取り決めがある。
 アメリカ政府の財産がある場所は治外法権エリアになる。墜落したヘリの残骸や破片が「アメリカの財産」だと見なされれば、日本の警察や消防は何もできない。
 条約は一般の法律よりも強いが、憲法よりは弱いはずだ。ところが1959年に在日米軍の存在が憲法違反かどうかをめぐって争われた砂川裁判で、最高裁(田中耕太郎・最高裁長官)が「日米安保条約のような高度な政治的問題については、最高裁は憲法判断しない」という判決を出した。しかも、裁判の全プロセスが、アメリカ政府の指示と誘導に基づいて進められたことが近年、アメリカの公文書によって明らかになっている。結局、この「砂川判決」によって、日米安保条約とそれに関する日米間の取り決めが「憲法」にすら優先するという構図が法的に確定してしまった。
 安保条約の条文は全部で10ヵ条しかないが、その下には在日米軍の法的な特権について定めた日米地位協定がある。さらにその日米地位協定に基づき、在日米軍をどのように運用するかに関して、日本の官僚と米軍が60年以上にわたって、毎月会議(現在は月2回)を行なっている。これが「日米合同委員会」という名の組織。
 しかも、この日米合同委員会での合意事項は原則的に非公開で、その一部は議事録にも残らない、いわゆる「密約」になる。また、この日米合同委員会のメンバーを経験した法務官僚の多くが、その後、法務省事務次官を経て検事総長に就任している。つまり、この日米合同委員会が事実上、検事総長のポストを握っていて、その検事総長は米軍の意向に反抗する人間を攻撃し潰していくという構造がある。民主党政権時に小沢一郎氏が検察のターゲットになったり、鳩山由紀夫氏の政治資金問題が浮上したりしたのも、民主党政権が都合の悪い存在だったということかもしれない。
 この仕組みは「アメリカがつくり上げた」というより、「米軍」と「日本の官僚組織」の協調によって生まれたと言える。だから政権が代わってもアメリカの要望は引き継がれる。
 日本人はなぜ、これほど一方的な従属関係を受け入れ続けているのだろう?美しい辺野古に、自分たちの税金で外国軍の基地を造ろうとしているなんて、独立国としてとんでもない話だ。しかも沖縄の民意がノーを突きつけているのに耳を貸そうともしない。
 基地問題だけではなく、原発も同じ構図だ。日米間に「日米原子力協定」というものがあって、原子力政策については、アメリカ側の了承がないと、日本の意向だけでは絶対にやめられない。しかも、この協定、第十六条三項には、「この協定が停止、終了した後も(ほとんどの条文は)引き続き効力を有する」という信じられない条項がある。「安全保障」に関わるとして原発関連の情報が特定秘密保護法の対象になれば、もう誰も原発問題には手が出せなくなる。

 第2次世界大戦の敗戦国である日本とドイツは、国連憲章のいわゆる「敵国条項」で国際法上、最下層の地位にあった。しかし、ドイツは周辺諸国との融和を図り信頼を得ることで、事実上、敵国的な地位を脱したと見なされている。ドイツは冷戦終結後、90年に第2次世界大戦の戦勝4ヵ国(英米仏ロ)との間で講和条約(「2プラス4条約」)を結んで、東西ドイツの再統一を実現することができた。そしてその条約に基づき、94年までに国内にいた駐留軍(英米仏ロ)の軍隊を撤退させることができた。現在ドイツ内にいる米軍はNATO軍として駐留しているもので、その行動については全面的にドイツの国内法が適用されている。
 また長い間、アメリカの“軍事占領下”にあったフィリピンも、上院で憲法改正を議論して、1991年に米軍基地の完全撤退を実現した。
 日本はドイツとフィリピンというモデルがあるのだから、やる意志があれば独立国になれる。「憲法改正による外国軍撤退」という、フィリピンモデルを実施し、「周辺諸国との和解を実現した上で、新条約締結による外国軍撤退」というドイツモデルを目指せばいい。ところが現在の安倍政権は周辺諸国との緊張感を高め、地位協定も改訂する気はなく、アメリカ従属の道を邁進している。
 
 「日米安保条約」と「日米地位協定」という日本国憲法を超越する条約がある限り、日本は独立国になれない。独立国でもない日本が軍隊を持つなど絶対に賛同できない。自由に戦える軍隊を持てば主君のために軍隊を差し出す事態になるのは明白だからだ。
 

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