~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

重要 特発性側わん症 16年間-無治療患者のアウトカム No.1/5

2007-11-11 01:49:12 | 20年後のアウトカム
当記事のオリジナル作製は2007年11月11日です。データを整理して再公開することを計画していたのですが、なかなか作業が進みませんため、とりあえずもう一度このオリジナルのまま再公開することといたしました。

長期成績に関しても、もう一度データを整理していきたいと考えております。

2018年6月25日
august03

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(今回の情報は5回に分けて連続して記述します)

私、august03はMedical doctorではありません。側弯症患者でも、また患者の親
でもありません。そのような立場の者として、この文献を読み、どのように
皆さんにお知らせするべきか非常に悩んでいます。
この文献は11月8日にいつものようにPubMedで検索を行いabstract(概要)を引用して
ご紹介しようと思いました。一度はabstractの和訳を終えて公開したのですが
その内容がとても重大なために、いったん閉じました。
この文献をabstract(概要)だけでご紹介するのは、とても失礼であり、また中途半
端な情報で皆さんを惑わすようなことになることを避けるべきとも考えました。

急ぎ、某医科大学の医局に伺い「Spine」に掲載された全文を読んできました。
今回のお知らせは、検索から得られる概要だけではなく、文献の全てを読んだ上で
の情報をお知らせすることになります。

お知らせするにあたり、次の点について皆さんにあらためて理解していただきたい
と思います。

専門誌SPINE(脊椎)は、脊椎疾患に関する医学研究における世界でもっとも権威の
ある医学書です。この専門誌に掲載される論文は、厳格な審査によって選ばれた
ものであり、研究データの信頼性を保証するものです。
都内某整体が、外国の幽霊大学を利用して権威づけをしているのとはまったく次元
が異なり、またネットに氾濫する側わん整体、側わんヨガ等の民間療法者の営利
目的の宣伝媒体でもないことを理解して下さい。
(何度も申しますが、彼らの行っているのは医療でも治療でもありません。あれは
ビジネスなのです。原因不明の病気のために、医師も決定的な治療法を示せない
ことを利用した患者の不安なこころに入り込む新興宗教と同じレベルでのビジネス
をしているのです。)

この研究の行われているスウェーデンという国は、世界でも非常に特殊な医学研究
システムを持っており、このStep by stepのブログのなかでも何度か紹介して
いますように、20年前後という長期にわたる患者のフォローアップ結果としての
アウトカム(成績、状態)を唯一発表できる国です。
ある意味で、人体実験的な要素もあり、これは絶対に日本という国では実施でき
えない研究調査です。そして、だからこそ非常に大きな意味を持ちます。
日本では絶対に得ることのできない医学結果....患者さんの将来の姿が、この
研究結果のなかに見ることができるからです。

研究結果を知る前に、患者の皆さんは、ご自分の側弯カーブ形態の種類を知って
いるでしょうか? 今回のブログで提示した図は、側弯カーブの種類を示していま
す。これをあえてここに示したのは、種類によって患者さんの持つ「リスク」が
異なるからです。
このブログ内でご紹介した幾つかの研究と、そして今回の研究を読み、
august03の私見という形で提示させていただきますが、

1.ダブルカーブで、装具療法をせずに民間療法に頼っている方は、すぐに装具療法
をしなければ、将来手術が必要になるでしょう。
2.初潮前の患者さんで、装具療法をせずに民間療法に頼っている方は、すぐに装具療
法をしなければ、将来手術が必要になる可能性が非常に大きいです。
3.初潮前でダブルカーブで、それでも装具療法をせずに民間療法に頼っている方は、
すぐに装具療法をしなければ、2~3年以内に必ず手術が必要になります。

文献のタイトルは下記になります。
もし、皆さんのなかで 専門誌 SPINE を購入するルートのある方は、ぜひとも
オリジナルを入手して読まれることをお勧めします。
2007年9月号です。

(いま、深夜2時近くになりました。今回はこれで終わらせていただきます。
続きは、No.2にて)

 ....................................................................

専門誌 Spine. 2007 Sep 15;32(20):2198-207
タイトル A prospective study of brace treatment versus observation alone
     in adolescent idiopathic scoliosis: a follow-up mean of 16 years
     after maturity.
    思春期側弯症に対する装具療法と無治療(観察のみ)のプロスペクティブ
    比較研究 : 骨成熟後平均16年間の観察
国    Sweden.


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このブログ内の関連記事

◇ リスクファクター
  「若年性側弯症とリスクファクター」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/0b2d324c5e385e5632ab20b3b8880546
  「発見時からの進行の確率とリスク」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b573de9c4bfe8951d301c99bd5a59524
  「側わん症進行のリスクを考えるうえで」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/89e2f7329c0bae317a05096077efce5d
  「特発性側弯症の進行を予測するファクターについて」 
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/238927481bc553289c591cafb3dabe67


.....................................................................
STUDY DESIGN: The Swedish patients included in the previous SRS brace study
were invited to take part in a long-term follow-up.
OBJECTIVE: To investigate the rate of scoliosis surgery and progression of
curves from baseline as well as after maturity.
SUMMARY OF BACKGROUND DATA: Brace treatment was shown to be superior to
electrical muscle stimulation, as well as observation alone, in the
original SRS brace study. Few other studies have shown that brace treatment
is effective in the treatment of scoliosis.
METHODS: Of 106 patients, 41 in Malmö (all Boston brace treatment) and 65
in Göteborg (observation alone as the intention to treat), 87% attended the
follow-up, including radiography and chart review.
All radiographs were (re)measured for curve size (Cobb method) by an
unbiased examiner. Searching in the mandatory national database for
performed surgery identified patients who had undergone surgery after
maturity.
RESULTS: The mean follow-up time was 16 years and the mean age at follow-up
was 32 years The 2 treatment groups had equal curve size at inclusion. The
curve size of patients who were treated with a brace from the start was
reduced by 6 degrees during treatment, but the curve size returned to the
same level during the follow-up period. o patients who were primarily
braced went on to undergo surgery.
NIn patients with observation alone as the intention to treat, 20% were braced during adolescence due to progression and another 10% underwent surgery. Seventy percent were only observed and increased by 6 degrees from inclusion until now. No patients underwent surgery after maturity.
Progression was related to premenarchal status.
CONCLUSION: The curves of patients with adolescent idiopathic scoliosis with a moderate or smaller size at maturity did not deteriorate beyond their original curve size at the 16-year follow-up. No patients treated primarily with a brace went on to undergo surgery, whereas 6 patients (10%) in the observation group required surgery during adolescence compared with none after maturity. Curve progression was related to immaturity.



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