日々感謝

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漢方薬の不思議

2021-03-13 16:39:00 | 日記
漢方薬を最初に勉強し始めたときに、一番最初に漢方薬を考えた人は凄いと思った。

その思いは30年近く経った今でも変わりない。

現在の科学では、絶対に理解できないであろうことばかりである。

同じ生薬でも、枝を使うとき、葉の部分を使うときがあったり、根の部分だったり、花だったり、種だったり、果実を使うこともあります。

また同じミカンの皮を使うときでも「青皮(せいひ)」と言って、まだ未熟な青い皮を使うとき、「橘皮(きっぴ)」と言ってオレンジ色の皮を使うとき、「陳皮(ちんぴ)」と言って黒っぽくなった古い状態の皮を使うとき、何が違うのだろうかと思うくらい使い分けられている。

更に葛根湯に含まれている麻黄(まおう)という生薬は桂皮(けいひ)という生薬と一緒に使うと発汗作用があるが石膏(せっこう)という生薬と使うと反対の止汗作用に働きます。

麻黄+桂皮(けいひ)=発汗
麻黄+石膏(せっこう)=止汗
麻黄+桂皮・石膏=強発汗
麻黄+白朮(びゃくじゅつ)=利尿
麻黄+杏仁(きょうにん)=咳止め

と一緒に使う生薬で出てくる作用が違うという性質がある。これは麻黄に限ったことではなく、他の生薬も組み合わせによって引き出される効果が違うのである。

また桂枝湯(けいしとう)という薬があります。中には5種類の生薬が入っています。

桂枝(けいし) 4g
芍薬(しゃくやく) 4g
生姜(しょうきょう)1g
大棗(たいそう)4g
甘草(かんぞう)2g
が入っています。桂枝湯は通常、体力のない人の初期の風邪に使います。

この中の芍薬4gを6gに増やすと桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)という薬に変わります。桂枝加芍薬湯はお腹のガスや膨満感、腹痛に使う漢方薬です。芍薬をたった2g増やしただけで風邪に使う薬が腹痛、腹満の薬に変化しまうんです。

また、この桂枝湯に葛根(かっこん)と麻黄(まおう)の2種類を加えると、葛根湯になります。

更に桂枝湯に竜骨(りゅうこつ)、牡蠣(ぼれい)の2種類を加えると桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)といって不眠や動悸や不安などに使う薬にかわります。

桂枝湯に当帰(とうき)、呉茱萸(ごしゅゆ)、細辛(さいしん)、木通(もくつう)という生薬を加えると当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)と言って、しもやけや手足の冷え性に使う漢方薬になります。

更に桂枝湯に白朮(びゃくじゅつ)と附子(ぶし)という生薬を加えると桂枝加朮附(けいしかじゅつぶとう)といって坐骨神経痛やリウマチ、関節痛に使う漢方薬になります。

ということで、ほんの少しの加減で、全く働きの違う漢方薬になってしまうんてわす。

漢方薬を考え出した昔の人は、どのような考え方をして、何がわかっていたのか?

陰(月)と陽(日)という二元論。
木、火、土、金、水という五行説。
自然を基調とした考え方。

科学に偏った現代の考え方では、永遠に解明できないのではなかろうか、漢方医学は本当に奥が深い!










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