how?

"so-whatical" music review

シングル・マン~RCサクセション

2009-05-06 05:13:05 | 音楽
A面①ファンからの贈り物②大きな春子ちゃん③やさしさ④ぼくはぼくの為に⑤レコーディング・マン(のんびりしたり結論急いだり)⑥夜の散歩をしないかね
B面①ヒッピーに捧ぐ②うわの空③冷たくした訳は④甲州街道はもう秋なのさ⑤スローバラード

清志郎がこの世に居ない、清志郎と同じ時代を生きていない日が3日も経ってしまった。何せ、清志郎が居ない時代なんて、今まで考えた事も無かったし、きっとまだ受け容れられないでいる自分がいるのも確かだ。

僕は、自分が思い入れの深いミュージシャンの訃報を聞いたりすると、追悼の意味も込めて、思わず、その人のCDやテープを持ち出して、用も無いのに車で聴きながら走るという行為をよくするのだけど、今回だけは、それすら出来なかった。死んだと思いたくない気持ちのほうがあまりにも強すぎたのかもしれないけれど、これ程、「死別」というものを信じたくない気持ちで一杯になった事は無かったかもしれない。いや。きっと「死別」なんて無い!きっと無い!絶対無い!


思えば、僕はきっと遅れてきたRCファンの一人だと思う。小学校2年生の頃だと思うけど、かなり年上の親戚(親戚は当時高校生位だったと思う)の部屋に「ラプソディ」の黒いポスターが飾ってあったのが、RCを認識した最初に違いない。

「何だか悪そうな人達」

これが最初のイメージ。その後、親からヒットスタジオの時間まで起きてTVを見ても良いという許可を得てから、彼等に対するインパクトは明確になっていった。
リアルタイムで最初に覚えているのは、「いけないルージュマジック」を除けば(一応、RCじゃないので)、間違いなく、ヒットスタジオに出演した時の「サマーツアー」。凄かった!今まで見た事のないものだった!迫力もさる事ながら、TVカメラに向かってガムを飛ばす清志郎を見て、「こんなのアリなのか?」と本気で思った。今から思えば、田舎の小学校4年生か5年生位の子供にとってみたら、規範を破るというか、反体制的な態度というか、そういうものがまだ理解出来なくて当然だった。そう。それは「ただただ凄い!」としか言い様の無いものだった。

それから、中学生になり、本気で洋楽のロックを聴くようになってから、本当の意味でRCが分かるようになってきた。「何故、日本語のロックなのに、こんなにすんなり受け容れられるのだろう?」当時は不思議でしょうがなかった。だって、清志郎がオーティスを好きだとか、そんな事もまだ知らなかったから・・・。

「ロックは英語に限るけど、RCだけは別格!」

こんなくだらない事も、当時はよく言ってたっけ。今から思えば恥ずかしい限りだな!

何故、僕がRCを好きなのか?その答えは、恐らく、日本のロックの金字塔的アルバム「シングル・マン」を初めて聴いた時(多分、高校生になった頃かなぁ・・・)に決定的な答えが分かった気がした。それは、あの時のTVで見たヒットスタジオの「サマーツアー」のイメージでは無かったのだ。

それは、当時の僕のあらゆる混在した気持ち。
それは、例えば、世の中を斜めに見た、または見てるんだぞ、と言う想いだったりしたし、自分の弱さも含めて、素直な感情を曝露している様が、まるで僕と同じ想いを共有しているかの様であったりしたからだった。そして、それは、ある意味文学的とも思える歌詞であったり、元モップスの名ギタリスト星勝の素晴しいアレンジによる繊細かつアヴァンギャルドなサウンド等、あらゆるものが昇華して熟成された作品のように思えた。

ホント、僕にとっては特別なアルバム。そして、その気持ちは、30歳半ばを過ぎた今でも変わらない。


●アルバム評●

 A③の歌詞の言葉の引っ掛かり具合というか、あまりに的当りな感じは、1st「初期のRCサクセション」所収の「言論の自由」を聴いた時の印象とダブるのだけど、ホントカッコイイ曲。RCの曲は、後にライヴで演奏される時に、よりカッコ良く感じる事も多いけど、僕は20周年の野音ライヴ「ミラクル」のヴァージョンも凄く好き。ただ、実際、バンドで演ってみると、難易度高い!(経験談です)。
 A④は否定が肯定以上の強い気持ちを表現しているように思うけど、そう思って聴いているのは、あくまで僕の感じ方。ビートルズの「ノット・ア・セカンド・タイム」も僕にはそう聴こえるけど、どうでしょうか?
 A⑥は、最近(晩年とは決して言いたくない!)まで、チャボと二人で演ってた名曲。この頃の清志郎のファルセットに近い声は、ホント好き。情感が凄いと思う。
 B①は、何度聴いて何度泣いたか分からない。20周年の時に出た本「遊びじゃないんだ」のなかで、レコーディング中「スタジオ中がヒッピーへの想いで一杯になった。」と書いてあったけど、僕は、これを聴く時は、必ずボリュームを上げる。そして、自分が居る空間をヒッピーへの想いで一杯にしたくなる。「検死官と市役所は君が死んだなんて言うのさ・・・」今、全ての清志郎ファンはこの気持ちかもしれないな。
 B④は、僕が最も好きな清志郎の作風の曲。情景を鮮やかに映し出す所から始まって、本音を爆発させるタイプの曲で、2nd「楽しい夕べに」所収の「僕の自転車の後ろに乗りなよ」もこのタイプの名曲。RC名義じゃないけど「グラッド・オール・オーバー」のライヴヴァージョンもまた名演。
 B⑤は、R&Bと言われる曲で、これ以上の曲があるのか?と言いたくなる名曲中の名曲でしょう!


<追伸>
 こんな時に、こんなブログを書くのはどうかと思ったのですが、RCファン、清志郎ファンの方で不快に思った人がいたらごめんなさい。
 ただ、僕自身も、気持ちの整理がつかなくてどうして良いのか分からないのです。こうやって文章化してみたら、自分の気持ちが分かる様な気がして書いてみたのですが、やっぱりまだ分からないようです。現実を受け止めるのには、まだ時間が掛かりそうです。