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"so-whatical" music review

ラブ・ゼネレーション~早川義夫

2011-05-23 06:01:02 | 音楽
 今回は「ロック本」について。

 ロック本と言えば、矢沢永吉の「成り上がり」っていう本をバイブルにしている人が多いそうだ。勿論、矢沢永吉の熱烈なファンが多いという点で当たり前と言えるけれど、実は、矢沢ファンではない僕も、中学時代、友人に勧められた事があって、多少読んだ事がある。で、それはそれで、バイブルとなる理由はとてもよく分かったのだけれど、ただ、僕には、まるで考え方が合わないと思った。残念ながら、勧めてくれた友人の様に、それを読んでテンションが上がる事は無かった。

 今から思えば、中学・高校位の歳でミュージシャンに憧れてるんだったら、もっと「成り上がり」的な野心なり自意識があっても良かった様な気もしてしまう。それが当時あんまり無かったのは、ある意味、とても残念な事でもあったのだけれど、じゃあ何故、「成り上がり」がピンと来なかったのかは自分でも分からない。で、僕が、初めにピンと来てしまったロック本は、実はこの「ラブ・ゼネレーション」だった。

 僕がバイブルとまでは行かないまでも、心の拠り所みたいに、時々、読み返す「ロック本」というものが、実は何冊かある。ここ2年位は、忌野清志郎の「ロックで独立する方法」っていう本が、最も読み返している本だと思う。何かに迷ったら読む本。テンションが上がらない時に読む本。

 で、「ラブ・ゼネレーション」は、ティーンエイジャーの頃にピンときて、且つ長年に亘って、僕が時々読み返す本だ。何故なら、きっと早川義夫の音楽に対する考え方が、とても僕と似ていたからだし、僕が、音楽を通して何か経験して感じ取る事も、後でこの本を読み返すと「そうやんなぁ…。」と納得する事が多かったからだろう。「ロックで独立する方法」もそうだけど、時々、読み返すロック本は、多分、現在進行形で、今、自分が音楽で演ろうとしている事や、演って感じた事がリンクする物の様に思える。

 で、今、現在、久しぶりに「ラブ・ゼネレーション」を読んでみたい機会があった。それは、僕の気の迷いとか、バンドの今後の舵取りに影響しての事だった。

 僕は、きっとバンドが好きだし、いつも何かを表現する手法としても、バンドの事を考えている。今後もそのスタイルを変えるつもりもない。けれど、表現者として「バンドスタイルで無いと自分の伝えたい事が表現が出来ないのか?」と言われると、それはとても辛くなる。

 「ラブ・ゼネレーション」は、早川義夫がジャックスからソロ活動に移行した時期に書かれていて、「表現したい事に、バンドとかソロとかスタイルは関係ない」という様な事が書いている。僕は、それもその通りだと思う。

 けれども、僕がこの「ラブ・ゼネレーション」という本全体を通して、一番感じ取る事は、実はこの本を初めて読んだ時からずっと「バンド愛」だった。特に、水橋春夫が最高のギターを弾いていた頃の4人編成のジャックスに対する「バンド愛」。

 上述した「表現したい事に…」はその通りだし、確かにそうでなければ本物と言えないかもしれない。実際、早川義夫はソロで「かっこいい事はなんてかっこ悪いんだろう」という傑作も物にしてるから、有言実行してるとも言える。けれど「表現したい事に…」というのは、あくまで僕の勝手な思いだけど、これだけは、早川義夫の持論というよりも「ソロ活動でやっていく」という、早川義夫自身の意思表示であったり、自分を奮い立たせて行こうという気持ちから出た言葉の様に思えてならない。「バンドじゃなくてもきっと俺は演れるさ!」っていう自分に暗示をかけてる様な感じ。

 だから、僕には、この本の全体像として「俺はこうだぜ!こう思うぜ!」という強気よりも、どこか自信無さげな部分だったり、不安げな部分を凄く感じる。でも、それこそが「ロックっぽい」と僕はずっと感じてきた。だから、ずっと読み続けてきた。

 で、今書いているブログも、ある意味、自分に何かの暗示をかけたい様な気持ちが手伝っているのだろうと、今、書いていて思った。


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