非天の笑み

a suraのえみ
  

月の安堵

2013年06月25日 | 近詠


  欠けてゆく月の安堵をみてしまへり 懸かる薄雲さへ去りがたく


                     




セカンドバージン歴もあまりに長くなりますと、


恋心というものを忘れ果て、比例して歌心とも疎遠になるようです。



しかし、恋心というのは異性に対してのみ持つものでもないようで、


例えば、音楽とか、芸術とか、

とにかく、「人」が精魂傾けた美に対して、こちらも精魂傾けてのめりこむ。


もはやうっすらとしか記憶にない「恋心」に、どこか似ているような気がします。




何年も作歌から遠ざかっていたのに、このところ、なんの加減か、また小声で口ずさみたくなっているみたいです。



どうやら、何者かに「恋して」いるらしい。 







連銭草

2013年06月23日 | 近詠


幸ひなる無為を生きをり連銭草摘み乾し煎りて夜半に喫せる








このように花をつけるのは4月頃。


俗名「カキドオシ」(垣通し)と言い、子供には疳の虫に効き、大人には糖尿病や胆石の予防になると言われてます。


匂いなど、さほどクセもなく、お茶代わりに飲んでいます。



健康的とは、言いにくいわが暮らしのなかの、唯一の健康法かもしれません。


浮きまよふ

2013年06月21日 | 近詠



 浮きまよふ埃のごとき放心の隙間に落つる皐雨ひと日

        


       




だれかのお歌、それも身近な歌友の

それに触れたとき、歌って口をついてでてくる。

やっぱり、唄と同じ、誰かが唱ってると、ハモりたくなるのと。

夢かなふる

2013年02月18日 | 近詠

ゆめかなふことのうれしさ・・なんて嘘。 かなふる夢のいとどさびしき





熟年の冷や水、ながら、

   「大阪府武術太極拳選手権大会」


などというものに出場し始めて四度目。



今年は激戦区を勝ち抜いて(笑)表彰台にあがることが出来ました。

毎朝、毎夕、練習場所を求めては、メダル獲得を励みに、ひとり稽古に励みました。


はる・なつ・あき・冬・・・・のうつろいだけがその巡りを過ぎていきました。


四年前からは、この大会が過ぎると、「私の春」です。

 (これは銅色です)

秋陽の糸

2012年10月07日 | 近詠

  

   女郎蜘蛛倦むにも倦みし身は空に吊りて秋陽の糸紡ぎをり






紀伊の漁村出身で、関西在住・・にも関わらず、「江戸前のダンディズム」というのにふと憧れたりする。

それが現存するものかどうか知らないが・・・。



浅田次郎の「霞町物語」に出てくる祖母、みたいな女になりたいものだ。

「したっけおばあちゃん・・」と愚痴る孫には
「そりゃあ、そ言っちまったおまいが悪い。料簡しない!」

孫を連れて鰻を食べに行き、すぐに出てきた鰻重には代金だけ払って孫の手を引きさっと店を出る。

「ありゃあ、焼いたんじゃない、温め直したもんだ」



親孝行には「バカヤロー」で返す江戸っ子の親父さんなどもいい。




彼の作品で小説、エッセイ「東京もの」はたいてい好んで読み漁った。地名に馴染みがないところや。ちょっとクサイな、と思うところは、とばしても。

「三丁目の夕陽」などと通じるところもあって好きだ。


実話と重なるエピソードも多いようだが、

十歳で捨てて行かれた実母に 高校生の時、カノジョ連れで偶然街中で出くわした。



お互い目が合っただけで無言で行きすぎ、その後電話で話した母の一声が

「おまえ、面食いだね」だったそうだ。



こんな母にもなりたい。


今日読んだ「地下鉄に乗って」の終末あたりに


親の幸せと好きな人の幸せを秤にかけてもいいか、好きな人の幸せを選んでいいか・・・と問う女の子に


「・・自分の幸せを子に望む親はいないよ・・」という、これもクサイ台詞が出てくるのだけれど



共感してつい感動してしまう自分がいるからこそ、江戸前にあこがれるのだ。



「よく、覚えとおき。いないほうがいいってんなら、いつだって親は身を引くもんだよ」

江戸弁で言っただけではダメだな。


江戸前では、どういう所作で表すんだろう。どう生きて見せるんだろう。