脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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和歌山、関西リーグへ王手 -FC大阪 VS アルテリーヴォ和歌山-

2010年12月24日 | 脚で語るその他国内
 来季の関西リーグ昇格を懸け、関西2府4県の社会人リーグ代表2チームが戦う関西府県リーグ決勝大会。神戸ユニバー記念競技場では大阪府1部リーグ優勝チームのFC大阪と和歌山県1部リーグのアルテリーヴォ和歌山が準決勝で対戦。試合は和歌山が先行しながら優勢に試合を進めるものの、終了間際にFC大阪が追いつき、試合はPK戦に突入。このPK戦を4-1で制した和歌山が年明けの決勝戦に進出決定。関西リーグ昇格に王手をかけた。和歌山は1月15日(土)にこの日第1試合でヤンマー尼崎(兵庫)に2-0で勝利したOKFC(大阪)と自動昇格をかけて戦う。

 

 Aブロックを突破したFC大阪とDブロックを突破した和歌山。FC大阪はJST(奈良)と神戸FCシニアB(兵庫)に続けて3-2と辛勝でここまで漕ぎ着けた。また、和歌山もチーム立ち上げから足掛け5年目でいよいよこの府県決勝大会に挑戦。ブロックリーグ初戦は、ポルベニルカシハラ(奈良)とPK戦にもつれ込みながらこれを4-2で退けると、京都伏見蹴球会(京都)も4-2と撃破して準決勝へ辿り着いた。共に全社では関西予選にも名を連ねるJリーグ志向の本命2チームの潰し合い。試合開始からペースを握ったのは和歌山だった。
 和歌山は右サイドから重松のチャンスメイクから決定機を作る。18分に彼のクロスから西山がヘディングシュートを放つがわずかに左に逸れる。24分にはその重松自身が相手GKが飛び出しているのを見計らってシュートを放つもののわずかに決められない。26分にも芝崎がGKと1対1の場面を作りながらも決められない。早い時間帯に先制点を奪えるチャンスがありながら和歌山はなかなか試合を動かせなかった。

 
 FC大阪FW辻村が厳しいマークに遭う。
 和歌山はしっかりFC大阪を研究していた様子。

 対するFC大阪も今季は全社に出場した経歴を持つ。しかも、昨年はこの準決勝で海南FC(和歌山)にPK戦の末に敗れているのだ。これ以上大阪府リーグでプレーはできないという意気込みでこの大会に臨んでいるはずだった。11分にはエースの高橋が和歌山のエリア内でゴールに迫るがあと一歩で相手DFに潰される。その後も和歌山のボールを奪っては機を見たロングボールの配給と中盤での池松、岡本、金といった選手の展開力で和歌山陣内まで迫る。しかし、26分に辻村のシュートが和歌山GK金丸のファインセーブに遭ったのが象徴的だったが、まずはGK金丸を中心とした和歌山の集中力溢れる守備の前に沈黙を余儀なくされた。

 
 
 
 FC大阪は高橋がゴール前まで攻め込むがゴールならず。
 和歌山は集中した守備を披露。

 先制点は34分、和歌山が先取した。FC大阪陣内ペナルティエリアの左サイドで得たFKを鈴木が蹴ると、中央で船津が頭で合わせてゴールに沈める。おそらく、最もプレッシャーのかかった一戦で得た先制点。一気に選手たちの喜びが爆発した。

 
 
 
 
 和歌山の先制点の場面。
 鈴木の左からのFKを船津が気迫のヘッドで押し込む。

 前半のこの1点を守って和歌山リードで試合は後半へ折り返す。

 
 FC大阪FW塚田を和歌山DF角南が捕らえる。

 
 MF金を中心にパスをつなげていこうとするFC大阪だったが。

 後半に入ると、守りに入ることなく和歌山が仕掛けてくる。47分に泉川が左サイドの角度の無いところから狙ったシュートが右ポストに直撃し、あわやゴールかという場面。チームの雰囲気を盛り上げる積極的なトライだった。両チーム共に負けられない試合。積極的にこの辺りから選手を替えてくる。和歌山は早い時間帯に追加点を取っておきたい。そしてFC大阪は早く追いつきたい。一進一退の攻防が続く試合は66分に動く。
 FC大阪の右サイドで攻撃を牽引するDF下田が相手へのファウルで退場処分となる。1点ビハインドで思わぬロス。しかし、和歌山にとっては願ってもない数的優位を作り出せるチャンスとなった。69分には早速、和歌山MF芝崎が相手GKとの1対1のチャンスを迎える。しかし、ここは決められない。72分には先制点を決めた船津が不意を突くループシュートを放つが決まらない。和歌山の追加点が生まれる展開へ一気に試合の流れは傾いたかと思えた。

 フルタイム80分の試合、残り時間が刻一刻と迫る。74分には負傷中にも関わらずFW上赤坂が投入される和歌山。そして、その直後にFC大阪も監督を務める森岡自身がピッチへ。互いにチーム一の経験値をこの場面に費やす形振り構わぬ姿勢が冷気の吹き込むスタジアムに緊迫感をもたらす。

 
 森岡がゴール前に迫る。
 監督自身がピッチで勝負しにいった。

 アディショナルタイムは4分と出ていた。しかし、そのアディショナルタイム突入直後にFC大阪がCKを得ると、これにDF山本悟が頭で合わせて決める。劇的な同点弾で試合は44分ぶりに振り出しへ。

 
 
 
 DF山本悟が打点の高いヘッドで相手DFをかわして同点弾。
 
 80分が終わり、試合はPK戦へと突入。和歌山の先攻で始まったPK戦は和歌山が鈴木、田丸、阿部と3人連続で決めたのに対して、1本目を高橋が外し、また2本目の國田のキックを和歌山GK金丸がナイスセーブに阻まれたFC大阪。3本目は金が決めてストレート負けこそは逃れたが、和歌山は4人目の上赤坂がきっちり決めてPK戦を4-1と勝利。見事に来年1月に行われる関西リーグ自動昇格を懸けて行われる決勝戦への切符を掴んだ。
 対するFC大阪は悔恨の2年連続準決勝PK戦負け。しかも皮肉にも相手は同じ和歌山勢となってしまった。

 
 全ての明暗を懸けるPK戦へ。

 
 和歌山、FC大阪2本目の國田のキックを金丸がセーブ。

 
 
 和歌山はチームの象徴的存在・上赤坂が決めて決着をつけた。

 
 
 和歌山県リーグの戦いからの脱出が見えてきた。
 アルテリーヴォ和歌山、関西リーグまであと1勝。


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2 コメント

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Unknown ()
2010-12-25 08:02:15
ご無沙汰です。
正直FC大阪のほうがメンバーをみても有利かと思ってましたがサッカーはそれだけでは決まらないですね。
是非とも決勝で見たかったカードでしたね。
しかしこの両チームに奈良県勢が健闘できたのは嬉しいですね。
満足してはいけませんが…。
ポルベニルに関してはPK戦を制していれば…と思ってしまいます。
来年度の奈良県勢に期待しつつアルテリーウ゛ォにも注目ですね。
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Unknown (yoshi:D5)
2010-12-25 23:24:39
>☆さん
コメントありがとうございます。

和歌山とFC大阪の直接対決は予想ができなかっただけに面白い試合になりました。
試合は和歌山が優勢に進めましたが、伊達にFC大阪も2年連続でこの大会に臨んでいないという執念を感じました。
来季は大阪府1部に関大FC2008が加わると思いますから、なかなかFC大阪も苦戦するのではないでしょうか。
和歌山に関しては、関西リーグに上がってくると思います。確かにコメント通りに初戦のポルベニル戦のPK勝利が綱渡りでしたが、和歌山にとっては大きかったですね。
まずは、奈良県勢、この2チームに追いつきたいところです。
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