脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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九州王者の矜持 -Shizuoka.藤枝vsHOYO-

2011年12月04日 | 脚で語る地域リーグ
 大阪・長居第2陸上競技場にて行われている第35回全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンドは2日目を迎え、第1試合では東海リーグ王者のShizuoka.藤枝MYFCと九州リーグ王者のHOYO AC ELAN 大分が対戦。互いに譲らぬ攻防戦はスコアレスのままPK戦に突入。その結果7-6でHOYOが勝利し、勝点2ポイントを獲得。決勝ラウンドでの3位以内に望みを繋いだ。JFAによるテクニカル映像はこちら

 

 前日の試合では明暗が分かれた2チーム。S.C.相模原を1-0と僅差で下した藤枝は、攻撃の核であるアランと石田が警告累積のため出場停止。その代役として、昨日は出番のなかった元川崎、仙台の西山、そして皆川が先発に名を連ねた。
 対するHOYOは、初日は0-4とY.S.C.C.に完敗。そのメンバーから宮田、原、生口が外れ、中島、渡邊、古賀を先発で起用。シュート数わずか3本に終わった昨日のような試合はもうできないとばかりにこの試合に向けた意気込みは強かったはず。試合が始まると、前日とは違う彼らの勢いが伝わってきた。

 序盤に攻撃のリズムを作ったのは藤枝。アラン、石田を欠くものの、地力とその構成力はお見事。石井、納谷が中盤でボールをしっかり捌くと、前線で西山が積極的にドリブルで勝負に出る場面も見られた。加えてサイドから効果的にクロスを放り込むが、ゴールにはあと一歩届かない。
 すると、藤枝の攻撃を乗り切って、次第にHOYOがペースを掴んできた。藤枝の攻撃の芽を摘むと徐々に相手陣内へボールを運ぶようになる。16分には堀のFKから攻撃を作る。一度弾かれながらも再度堀から放り込んだクロスに長身のDF田中がヘッドでゴールに迫るが得点には至らず。19分には藤枝のルーズなクリアからボールを拾いパスをテンポよく繋ぐと、最後は駆け上がった安藤のクロスをエリア内で中嶋がジャンピングボレーでシュートを試みる。25分には、堀がGKの軽率なクリアボールをそのままシュートするが、相手GKが飛び出したままの無人のゴールを捉えることはできない。しかしながら、前日と打って変ってHOYOの攻撃が快活で、特に堀がボールを持つ場面、また、FKから効果的なボールを入れる場面が目立った。

 
 晴れ間ものぞいた前半の立ち上がり。
 藤枝は橋本を中心に攻め込む。

 
 
 16分のHOYOの田中のヘッド。
 これはGk正面だったが、改めて堀のキックの能力を実感。

 
 中嶋のボレーシュートはわずかに決まらず。
 前半の途中からはHOYOの時間だった。

 
 内田を中心に失点は避けたい藤枝が粘り強く守る。

 
 藤枝の西山はドリブルで再三見せ場を作る。
 しかし、フィニッシュまでたどり着けず。

 それでも好守を見せる堅い藤枝。前半をスコアレスで乗り切ると、後半から皆川を下げてチョン・リュンポを投入。少し中盤でボールロストが目立つところを補完しておきたかったか。それでもHOYOが前半と変わらず頑張りを見せる。
 藤枝は、61分と早い時間帯で西山を下げて、昨日値千金の得点を挙げた清水を投入。もう少し西山で勝負するところを見たかったが、やはり孤立していた感は否めない。アランと石田の欠場で攻撃面で緩急がつけられなくなっていた印象だ。HOYOは昨日先発だった原、生口と投入し、ポゼッションで負けじとフレッシュな戦力を機を見て入れてくる。77分に中嶋のシュートがポストを強襲した場面は実に惜しかったが、82分には鴨川を入れて更に追い込みたいという姿勢。87分には藤枝・奈良林がこの日2枚目の警告で退場処分になる展開で、運をも味方につけたかったところだが試合は90分で決着つかず。PK戦に突入した。

 
 なかなか1点が遠い膠着戦に藤枝・斉藤監督もハラハラ。
 説明不要の元日本代表DF。守備面では抜かりない。

 
 納谷が中盤でリズムを作る藤枝。

 
 九州リーグMVPの田中が攻守両面でHOYOを支える。

 PK戦では7人目で、先攻HOYOが決めたのに対して、藤枝はホンがミス。ここで7-6と決着。HOYOがPK勝利の勝点2ポイントを獲得することになった。

 
 
 
 PK戦の末にHOYOがようやく勝利。
 しかし、得失点差では依然苦しい展開。
 3日目は90分以内の勝利が不可欠。

 
 藤枝はPK敗戦で勝点1ポイントという結果に。
 奈良林の欠場は厳しいが、Y.S.C.C.に勝ちたいところ。

 HOYOの復調に九州王者の意地を見ることができた試合だった。やはりエース・堀の存在感は間違いない。中嶋とのコンビも決定機を作るという点ではしばしば効果的だった。
 しかしながら、90分以内で勝利したかったHOYOに対してこれをPKまでしのいだ藤枝。両者ともに3日目の展開に影響する分水嶺になったかもしれない。依然2位以内という点では藤枝が俄然有利。アラン、石田が戻ってくることを考えると、奈良林の出場停止を補って余りあるか。しかし、相手は最も手強いY.S.C.C.。藤枝は今季のサッカーの集大成が問われる試合になるだろう。

 
 最終日は相模原と対戦。昨季のPK負けのリベンジなるか。
 そのためには堀の得点力は必須だ。
 


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