田代元検事「不起訴不当」 陸山会事件 虚偽報告
東京新聞 (2013年4月22日 夕刊)
生活の党の小沢一郎代表(70)が強制起訴され無罪となった陸山会事件に絡む虚偽捜査報告書問題で、東京第一検察審査会は二十二日、最高検が不起訴とした田代政弘・元東京地検特捜部検事(46)を「不起訴不当」と議決したことを明らかにした。議決日は十九日。
最高検が再捜査することになるが、最高検が再び不起訴とすれば、審査の手続きは終わる。「起訴相当」と異なり、強制起訴されることはなくなった。
田代元検事は二〇一〇年五月、別の検審が小沢代表を起訴相当と議決したことを受けた再捜査で、元秘書石川知裕衆院議員(39)を再聴取。石川議員が「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と発言し、小沢代表への報告・了承を認めたと報告書に記載したが、石川議員の隠し録音によって発言が架空だったことが判明した。
市民団体の告発を受け、最高検は虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで捜査。しかし昨年六月、「思い違いの可能性を否定できない」として嫌疑不十分で不起訴処分とし、田代元検事は辞職した。
市民団体は同年八月、最高検が嫌疑なしで不起訴とした当時の佐久間達哉特捜部長(56)、木村匡良主任検事(50)も共犯として審査を申し立てたが、検審は両検事についても十九日付で「不起訴相当」と判断した。
<陸山会事件> 2004年10月に民主党代表だった小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」が取得した秘書寮用地の購入費をめぐり、一連の収支報告書に虚偽記入があったとして、東京地検特捜部は10年1月、政治資金規正法違反容疑で、元秘書石川知裕衆院議員ら3人を逮捕し、その後起訴。小沢氏は嫌疑不十分で不起訴となったが、検察審査会の2度の議決を経て、11年1月に強制起訴された。東京地裁は昨年4月、小沢氏を無罪(求刑禁錮3年)と判断、昨年11月の東京高裁判決も支持して確定した。