東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

南平坂

2016年10月17日 | 坂道

今回は、渋谷の道玄坂を上り、そこから南平坂などをめぐり、恵比寿方面にいたった。

道玄坂下 道玄坂中腹 道玄坂上 道玄坂上




午後渋谷駅下車。

北口から出て左手に進み駅前の交差点を渡ると、道玄坂下で、この坂の左側(南)の歩道を上る。交差点から坂下にかけてたいへんな人混みで、早足で歩こうとすると、ぶつかってしまいそうになる。しかし、坂を上るにつれてだんだんと混雑が解消していく。

宮益坂からはじまって道玄坂を上る通りは、かつての相模街道(大山街道)の始まりで、そのため江戸期の宮益坂(富士見坂)は茶店酒亭で賑わったらしいが(江戸名所図会の挿絵)、いまもこの両坂を含めた通りは、渋谷のメインストリートといってよく、にぎやかである。

坂上近くにちょっと古めの標柱が立っている(四枚目の写真)。

南平坂下 南平坂下 南平坂下 南平坂下 南平坂中腹




道玄坂上近くの標柱が立っている交番前交差点を左折し(現代地図)、しばらく歩くと、国道246号線の歩道にいたる。ここを右側に進んだところにある地下道で横断する。地下道の右側出口から地上に出て、そのまま歩道を直進し、二本目を左折する(現代地図)。ちょうどこのちょっと先で道玄坂上が国道246号線と合流する。

そのまま道なりに歩いていくと、右手に聖ヶ丘教会が見えてくるが、このあたりが南平坂の坂上である。

ちょっと下ると、中程度の勾配でまっすぐに下っている。渋谷区南平台町4番と9番の間を南へ下る(現代地図)。

道玄坂のような標柱などは立っていない。坂下から写真を並べる。

この坂下から別の坂(かめやま坂)がそのまま南へと上っているので、坂下はいわばV字谷の谷底である(四枚目の写真はかめやま坂側からこの坂を撮ったもの)。

南平坂中腹 南平坂中腹 南平坂中腹 南平坂中腹 南平坂上




この坂は、両側に邸宅のような住宅・建物が並んでいて静かで、坂に沿ってかなり高く伸びた樹木が並んでいる。よくある商店街や住宅街やビル街などの坂道に比べて静寂で落ちついた雰囲気になっている。賑やかな道玄坂から来たので、いっそう静かな感じがする。坂の両側に緑が多い点で小石川の名坂である湯立坂とちょっと似た雰囲気である。

ところが、そんな感じで坂を歩いていると、その静寂が、突如、破られる。車が何台も続いてやってきて坂を下るのである。この坂は、抜け道になっているのかもしれない。それが、信号の関係か、ぱたりと止まる。これが繰り返されるが、車がそんなに連続しないこともあり、全体としては、やはり静かで雰囲気のよい坂である。

坂名は、地名(南平台町)に由来するが、その南平台という地名の由来がよくわからない。戦前(昭和16年(1941))の昭和地図には、この地名があるので、戦前からの地名である。石川は、南平台町は、昭和三年(1928)に渋谷南平台と同豊沢の一部とを合して南平台と称した高台であるとしている。

南平坂上 南平坂上 東都青山絵図(安政四年(1857)) 御江戸大絵図(天保十四年(1843))




坂上は、道玄坂上から続く台地であるが、ここは、宮益坂上の東側に広がる赤坂・麻布台地と渋谷川を挟んで対峙している。

三枚目は、尾張屋清七板江戸切絵図の東都青山絵図(安政四年(1857))の部分図で、渋谷川の橋のそばに道玄坂と記されているが、ここがこの地図の西端で、そこから先は描かれていない。

四枚目の御江戸大絵図(天保十四年(1843))には、宮益町から渋谷川を越えて上(西)へと延びる通りが描かれている。ここが道玄坂であるが、その左側(南)には駒場にかけて山が描かれている。この坂の一帯はそんな山の南斜面であったのであろう。

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)
デジタル古地図シリーズ第二集【復刻】三都 江戸・京・大坂(人文社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「大江戸地図帳」(人文社)
「東京人 特集 東京は坂の町」④april 2007 no.238(都市出版)
「古地図・現代図で歩く戦前昭和東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く昭和三十年代東京散歩」(人文社)
「江戸名所図会(三)」(角川文庫)

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