東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

稲荷坂

2010年12月22日 | 坂道

稲荷坂上 宿坂上の目白通りを右折し、歩道を東へしばらく歩くと、信号が見えてくる。その信号を右折すると次に行く富士見坂の坂上であるが、その信号の手前を右折しちょっと進むと、稲荷坂の坂上である。のぞき坂ほどではないが、かなりの勾配でほぼまっすぐに下がっている。

標柱や説明板はないが、豊島区のHPに次の説明がある。

「稲荷坂 富士見坂の西側にある小さな坂です。坂上東側の住宅庭先に坂名のもととなったと思われるお稲荷さまの小さな社があります。別名はあべ坂。豊島区高田1-33、34、39、40辺り。」

坂上左側の住宅の庭先に小祠があったが、これから坂名がきているらしい。石川によれば、この稲荷は通称高田稲荷大明神といわれ、もと土地の有志数家が旧高田本町一丁目303番地につくったもので、稲荷と称していたものという。

稲荷坂下 尾張屋板江戸切絵図を見ると、宿坂の東側に平行な道筋があるが、この道筋といまの稲荷坂の関係は不明である。近江屋板にも同じ道筋があり、坂マークの△印がある。直感的に切絵図の道筋がこの稲荷坂と思ったが、裏付けがない。

明治地図ではこのあたりはまだ範囲外で不明である。戦前の昭和地図でも範囲外だが、かろうじてこの坂が示されているようである。

この坂にはさらに浅間(せんげん)坂という由来不明の別名があるとのこと(岡崎)。

上記のようにこの坂はいつできたのか確証がなく、二つの別名の由来もわからない。
(続く)

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂」(中公文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く戦前昭和東京散歩」(人文社)

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