ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

皆川博子 【猫舌男爵】

2006-06-12 | 講談社
 
始めから読もうと思っていたわけでは全くない。
何か別のものを検索していて、偶然、書名を見つけて、読んでみようかなぁと思ったのだ。


猫舌男爵
 猫舌男爵

 著者:皆川 博子
 発行:講談社


5作品からなる短篇集。

『水葬楽』
『猫舌男爵』
『オムレツ少年の儀式』
『睡蓮』
『太陽馬』

ちなみに、『水葬楽』は『すいそうがく』で、『太陽馬』は『たいよううま』。

著者の作品は初めて読んだ。
著者のイメージからすると、自分でも意外だったのだが、間違いなく初めてだ。

1つ目の『水葬楽』は、タイトルのとおり濃厚な死の気配漂う物語。
ひっそりとした病院の中に生きる兄妹。
ひんやりとした言葉がつくる世界は、作中に出てくる立体映像のようだ。

最後の『太陽馬』。
図書館に立てこもった生き残り兵。
彼は、盲目となった少尉をイコンと崇め、自作の物語を語る。
「お前のバリトンは、耳にここちよい。オペラ座にいる気分だ」
死か投降か。
最後の一文が美しい。

『猫舌男爵』は意表を突く作品だったが、読むのが少し辛かった。
『睡蓮』というタイトルを持つ作品は書簡往来の体裁。

読み終えるまでの時間が異常に短かった。
…正直に言おう。

間の3つは読み飛ばした。
いずれは再読をと思う。




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おおお・・・ (りなっこ)
2006-06-13 09:04:04
そ、そうですか・・・。

私は「睡蓮」が、結構\好きでしたが。

「猫舌男爵」は、意表\を突かれた内容でした。 これはこれで、楽しんだような記憶があります。

そう、私は皆川さん、かなり好きかも?

とは言え、ちょっと昔の作品群には手を出し辛いので、そんなには読めていませんが。



実は今、待望の「シュンポシオン」が手元にあります。

何年ぶりかしら・・・。

重なりましたねぇ。
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はい…。 (きし)
2006-06-13 22:36:37
読み方を間違えたようで…。

1作ずつ、時間をおいて読んでいけば良かったと後から反省。

『猫舌男爵』でちょっと疲れちゃって。

好きなはずなんですけどね。いずれ再読予定です。中2作。



>実は今、待望の「シュンポシオン」が手元にあります。

あ。奇遇ですね。楽しみにしているところです。
返信する
そういえば・・・ (koharu)
2006-06-14 08:57:55
皆川博子・・・読んだことなかったです。

こういう話を書く人だったのですね。

きしさまの感想って、作中の空気が伝わってきますね。
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あっ (きし)
2006-06-14 21:07:47
責任重大?!

読んでみたら『ち・が~う!!』とか。

でも、ありがとうございます
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