ヒカレル。モドル。アタエル。タベル。メグル。
これが、それぞれのお話のタイトル。
ある大学の学生課を訪れた学生が引き受けることになったアルバイトは、彼らにとって忘れられない体験となる、という物語が5つ納められた短篇集です。
メグル
著者:乾 ルカ
発行:東京創元社
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「あなたは行くべきよ」という強い言葉に、なかば命令されるようにして行った先にあるのは、何の変哲もないものであったり、特異なものであったりするアルバイト。
そのアルバイトが彼らに何をもたらすものは何か。
彼らをアルバイトに行かせる学生課の職員の女性は、何もかもを見通しているようです。
美女には違いないけれども、親しみやすいとは言えそうもないひんやりとした印象のその人。
いかにも秘密のありそうな…。
それが明かされるのかどうかに、それぞれの物語へのものと同等の、もしかしたらそれ以上の興味をひかれます。
彼女には何が見えているのか。
それは何によってもたらされているのか。
最後まで読んで、その秘密、理由をわかったと思うかどうかは、人それぞれかもしれませんが、非常に読みやすい物語です。
設定こそ変わっているようだけれども、人と人と出会うことや人とわかりあおうとすること、人がだれかからうけとるもの、人がだれかにうけわたすことができるだろうものが率直に描かれていて、人の気持ちのドロドロした部分も書いていながらもさらりとしていてきちんとした印象の文章とともに、ストレートに伝わります。
「ヒカレル」はホラー風味のいいお話。
「モドル」は直球にいい話。
「アタエル」は…気持ち悪いけど、「タベル」も「メグル」もいい話。
驚きは残っていた方がいいでしょうから、これくらいで。
するすると読める本です。
そして、そのままするすると気持ちの中にいれていくのがいい物語で、たぶん、ひねくれた気分で読んではいけないのです。
構えて読むものでもなく、きちんとまとまった物語をそのままに。
素直に読むって大切なことだよね、と、思いだす1冊となりました。
この作家さんの作品は初めてだったのですが、
「するすると素直に読めば良いんだな~」と
思っていたところですww
ほんとにするする読めますよね。好評なのも納得の一冊でした~。