かわいい物語です。
龍のすむ家
著者:クリス・ダレーシー
訳者:三辺律子
発行:竹書房
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下宿人募集。条件は子どもとネコと龍が好きなこと。
大学生のデービットは静かな一軒家への下宿を決めます。
家主一家は陶芸家リズとその一人娘のルーシー。
子供はルーシー、猫はボニントン。
では、龍は?
いまどき、龍など好きも嫌いもないでしょうと思っていたデービットでしたが、リズは龍の置物だけをつくっている陶芸家で、家のあちこちには龍の姿がありました。
リズの特別な龍、ルーシーの特別な龍。彼女たちにとって龍の置物はそれぞれ生きているかのようです。
リズはデービットにも特別な龍をつくってくれました。
ノートを手に持ち、鉛筆をかじっている姿の龍。
リズとルーシーは、デービットに名前をつけるようにいいます。そして、決して泣かせないようにと。
龍を泣かせるな?
置物の龍を?
龍についてはわからないことだらけのデービットですが、このふたりと龍の置物たちとの賑やかな生活が始まります。
不思議な気配を漂わせる置物の龍たちと、この親子の秘密は何か。
気になることはたくさんあるのですが、お話はその点をかするようにするばかりで、本題はルーシーと彼女がコンカーと名付けたリス、そして彼らのために奔走するデービットの姿なのです。
いまどきの10歳にしてはルーシーは若干幼いような気もするのですが、それがいかにもファンタジーっぽくて良いような気もします。なんといっても龍の秘密をもつ家の子ですし。
お母さんのリズのちょっとつかみどころのない雰囲気もすてきです。
シリーズ第1作めにして、特別な龍と出会ったデービットがこれからどのようにして、彼女たちの秘密を知っていくのかが楽しみではありますが、ちょっと出し惜しみしすぎ?
鉛筆とノートを持つ龍を相棒にしたデービットがこれからどうなっていくのかに関しては、もう、全部わかっちゃったといえばわかっちゃった感じもあるのですけれども。
なんといっても、この物語の魅力はこの設定です。
自分だけの特別の龍。
秘密だらけの龍。
表紙を開いたところにある龍たちのイラストもまたかわいいのです。
私の龍はどんな龍だろう、どんな龍なら嬉しいかを考えるだけでもわくわくしてしまう。
そんな気持ちになる1冊でした。
…でも、やっぱりちょっと出し惜しみしすぎかなぁ。
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