あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

公立夜間中学の校歌に寄せて

2022-01-24 22:47:55 | 日記
 先日、朝日新聞の『ひと』欄に、公立夜間中学の校歌をつくったシンガー・ソングライターの
半﨑美子さんの紹介記事が掲載されていました。
 半﨑さんのことは初めて知ったのですが、パン屋で住み込みで働きながら音楽活動を始め、商
業施設でのライブ活動を中心に、17年間歌い続け、36歳でメジャーデビューを果たし、「ショッ
ピングモールの歌姫」として知られているとのこと。
 作詞・作曲したのは、公立夜間中学として四月開校予定の札幌市立星友館中学校の校歌でした。
 学校のホームページから校歌を聴くことができるということで、さっそく聴いてみました。
 詩もメロディーも、そこに集い学ぶ人たちの願いや思いに寄せた心に残る校歌で、深い感動を
覚えました。
 校歌作成の依頼を受けてから半﨑さんは、東京の夜間中学や札幌の自主夜間中学である遠友塾を
訪れ、そこで学ぶ人たちの体験談を聞きました。また母親からは、昔 定時制高校に通い、昼間は
病院の受付、授業の後は喫茶店のウェートレスとして働きながらも、休まず4年間も通学したとい
う話も聞きました。さまざまな事情を抱えながらも学ぶことをあきらめず、夜間中学に集う人たち
の願いや思いによりそって生まれたのが、この校歌なのだと思いました。
   
  星友館中学校 校歌
         作詞・作曲 半﨑 美子    編曲 蔦谷 好位置

1 寒さに磨かれる星よ あの煌(きら)めき
  一途に励み 燃え立つ 希望の姿
 やっとめぐり逢えた友よ あの喜び
 迷いながら見つけた 遥(はる)か 故郷(ふるさと)
    いま生きよう  私の物語を
    さあ描こう 自分のページを

2 雪の中で芽吹く種よ その命は
 たゆまず明日を 夢見た 未来の光
 時を分かち合える友よ その涙は
 折れずに挑み続けた 確かな 証(あかし)
    いま拓こう  あなたと自由な道を
    さあ鳴らそう はじまりの鐘を

3 再び開かれる扉 この学び舎(や)
 世代を越え海を越え 結んだ絆
 学びの灯(ひ)はいつの時代(とき)も この心を
 ありのままにうつした 輝く 軌跡(きせき) 
      いま繋(つな)ごう 新たな物語を
   さあ歩もう 果てなき学びを

 仙台自主夜間中学のスタッフの一人として関わってきた私にとっても、この歌詞を通して改めて
夜間中学の存在価値と学ぶことの意味を考えることができました。
 さまざまな事情で、小学校や中学校で十分に学ぶことのできなかった人たちがたくさんいます。
 そういった人たちにとって、公立夜間中学や自主夜間中学は 学ぶ意志さえあれば、何歳になって
も 国籍を問わず 学ぶことのできる 貴重で自由な学びの場です。
 そして私自身、学ぶことは生きることでもあるということを、自主夜間中学で一緒に学び合う学習者
の方から教えてもらいました。
  
   学ぶということ

 杖をつき
 地下鉄の
 長い通路と階段を あなたは歩く。
 学ぶための用具が入った
 リュックを背負いながら
 月2回開かれる 学びの場を目指して。

 私よりも
 はるかに長い人生を旅して
 あなたは
 どれだけの知識と経験と苦労と喜びを
 積み重ねて来られたのでしょうか。

 それでも学ぶことが 生きがいなのだと
 笑顔で語る
 その少女のような瞳の輝きは
 どこからくるのでしょうか。

 疑問に思ったことを
 図書館や家で調べ
 ていねいにノートに書きこみながら、
 それでも解決しない疑問を書き留めては
 私に問いかけます。

 その場で
 答えることのできない私は
 次回までと応じながら時間をもらいます。
 その貴重な時間が
 私の学びの時間となります。

 学ぶことは 学び合うこと。
 学ぶことは
 共に生きて 共に時間を共有すること。

 あなたの学ぶ姿から
 私自身が
 学ぶことの意味や価値や尊さを
 教えてもらっています。

 学ぶことに 限りはないのですね。

 あなたにとって
 学ぶことは
 生きること
 そのものでもあるのでしょうか。

 その思いに
 こたえていくためにも
 学び合う仲間としての努力に
 限りはないのだと 感じています。

 校歌の歌詞にあるように、学ぶことは 私の物語を 私のページに描くことであり、学び合うことは
新たな物語を繋ぎ 共に 果てなき学びの旅に出ることなのかもしれません。
 
 




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