のだめ、メイドパロです。
※注意書き≫壱、両方とも原作のキャラとかけ離れている可能性があります。
弐、オリキャラ登場します。
参、RUIが悪役です。
ので、苦手な方はご遠慮いただいたほうが良いかと思います。
「大丈夫」と言う方のみ下へお進みください。
============================================
千秋に腕を引かれ、足を踏み入れたパーティー会場は既に沢山の人であふれていた。
そこは、まだ幸せだけを考えていられた頃に訪れた時と少しも変わっていなかった。
相も変わらず、女性は華やかなドレスに身を包みながら蝶のように美しく舞い、彼女らをエスコートする男性陣も見るからに高級そうなタキシードに身を包み、最近の市場についての冗談を交わしている。
広い会場のあちらこちらで数人ずつ固まって話している人々の間を、千秋は屋敷では見せたことのないさわやかな笑顔を振りまきながら縫っていった。
のだめは、顔に微笑を貼り付けてその後を歩いた。
ポーン
突如、会場内に澄んだピアノの音が響いた。
きょろきょろと辺りを見渡し、音の出所を探す。
すると、会場の中央に設置された特設ステージの上に白塗りの美しいピアノを見止めた。
「ラヴェル…。」
弾いているのは、長い黒髪をストレートに背中に流した綺麗な女性だった。
難しいといわれる曲を涼しい顔で、しかも完璧に弾きこなしている。
会場中が、彼女の演奏に釘付けになった。
素直に、すごい、と思った。
それと同時に、女性の正体が気になった。
千秋なら知っているかもしれない、と隣に立つ千秋を見上げた。
千秋の視線は、壇上の女性をじっと見ていた。
はっきりとした表情を浮かべているわけでもないのに、なんだか嬉しそうに見える。
なんだか声をかけ辛くて、のだめもステージに視線を戻した。
ポーン、と最後の一音が終わると、会場全体に大きな拍手がなり響いた。
壇上の女性は、それに怖じることなく、むしろ楽しそうに、観客に向かって礼をし、ステージを降りた。
「あ、あの、真一さ……くん?」
千秋を普段の癖のまま、様付けで呼びかけたのを、キロリと視線で制され、慌てて君付けで呼びなおす。
「なんだ?」
その呼び方にまあいいだろう、と納得したのか体ごとこちらに向けて、のだめの瞳を覗き込んできた。
どこまでも優雅なその動きと、慣れない彼の優しい言葉に、顔に一気に熱が集まる。
「先ホドノ…ピアノ……。」
へんな喋り方になっているのが自分でもわかった。
「ピアノ…?弾きたいのか?」
緊張のあまり意味不明な片言のニホンゴをぽそぽそと発する”婚約者”のだめに、千秋はあくまで紳士的に振舞った。
おそらく、周囲の人から「初々しく仲の良い恋人達」に見えるように。
「イ、イェ、ダカラ、ソノ……。」
頭が軽いパニックを起こして、自分が何を言おうとしていたのかさえ思い出せない。
「チアキッ!!」
え?と思う間もなく、何かがのだめの目の前を通り過ぎ、千秋に飛びついた。
―――白いチョウチョ…。
瞬間的に、ぼんやりそんなことを思った。
「チアキ、ちゃんと来たネ!」
嬉しそうな女性の声に意識を引き戻される。
「RUI…。」
飛びつかれたチアキが不機嫌な声で相手を呼んだ。
「だって、チアキがこんなパーティーに出るの久しぶりだから、すっごく楽しみだったんダヨ!」
「…わかったから、放せ。」
「相変わらず恥ずかしがり屋ネ。」
クスクス笑いながら、Ruiと呼ばれたその女性は千秋の首に絡めていた腕を放した。
そして今度は、外国の人たちがするように千秋の頬に挨拶のキスを送った。
千秋も慣れたようにそれに応えている。
それから漸く、呆気にとられて二人を見つめていたのだめに気づいたように視線を向けた。
「RUI、紹介する。こちら、婚約中の野田恵さん。」
「初メマシテ、野田恵デス。のだめって呼んでくだサイ!。」
千秋の紹介に慌てて頭を下げた。
RUIは一瞬だけ、のだめを見極めるかのような視線を向けたが、すぐに笑顔になった。
「のだめ、俺の幼馴染で今は仕事仲間の孫RUIだ。」
「コンニチハ、のだめサン。RUIって呼んでネ!」
RUIの笑顔はとても人懐っこくて、のだめも少し安心できた。
「先ほどピアノを弾いてたのはRUIデスよね?すごく、綺麗デシタ!」
「ホント!?ありがとう!二三日前に一曲弾いてくれって頼まれて、急いで練習したんだヨ。チアキは、どうだった?わたしの演奏。」
「すごく上達してて驚いた。昔みたいな硬さが取れてたし……。」
それから、RUIと千秋は仕事の話に花を咲かせ始めた。
話についていけないのだめは、千秋の側にただ笑顔でいることしか出来なかった。
(寂しい…。)
―――エスコート用に組んだ腕はそのままなのに、周囲にはあふれるほど人がいるのに。
のだめはなんとも言えない孤独感を感じていた。
無意識に、千秋の腕に絡ませていた腕にしがみつく力を強めていた。
「…なんだ、そんなにピアノ弾きたいのか?」
呆れた苦笑をもらしながら、千秋がのだめを見ていた。
のだめの寂しさを紛らわせるための行動を、催促と受け取ったらしい。
「じゃあRUI、そろそろ失礼する。のだめ、行くぞ。」
いきなり自分が話の引き合いに出され驚いたが、本当にピアノは弾きたかったし、何よりあそこで孤独感を感じるのも嫌だったので大人しく千秋に従った。
千秋にエスコートされたまま、ステージに上がる。
日本で一二を争う千秋グループの若き社長と、その彼が至極大切そうに扱う幼げな少女の登場に、会場内の視線は早くも壇上に集まりつつあった。
千秋が引いてくれた椅子に腰掛ける。
椅子を戻すと千秋はステージを降りた。
チラリと見やると、小さくうなずいてくれた。
ここで見ててやる、そう言っているように思えた。
華やかなパーティーに似合うように、明るく、楽しい曲を弾いた。
先ほどまでの孤独感や、不安感は一気に消え去った。
ピアノを弾いている間だけのだめの心は、嫌なことを忘れた。
一曲引いて終わるつもりが、アンコールにおだてられてもう五曲目だった。
ドビュッシー:喜びの島
この曲で終わりにしようと決めていた。
恋して病まないあの人が、主人ではなく、恋人として側にいてくれる幸せを思い切り詰め込んで。
―――大好き。だぁいすきデスよ。
のだめの心の中の呟きを、ピアノが音に変えて会場を埋め尽くした。
キラキラとした音に包まれながら、ふと横を見やるとステージのすぐ前で千秋が見ていた。
のだめを見つめるその顔が、あまりも優しくて。
嬉しくて。
くすぐったくて。
のだめも笑った。
←back next
==========================================
物語りも中半に差し掛かりました。
(今後、今考えているストーリーに変更がなければ↓↓)
RUI、ちょっと悪役登場させてしまいました↓↓
本当はここもオリキャラで乗り切ろうかと考えていたのですが、のだめに緊張感を与えられるのって、彩子さんかRUIしか思い浮かばなくて…。
中途半端にキャラの被ったオリキャラを出すよりは、と、RUIを採用してしまいました↓↓
しかも、本当はこんなストーリーは入ってなかったのですが、今日、パソコンの前に座ったら、こんな話になってしまいました…。
これでまた、一話ずつ後ろにずれました…。
今回のお話がこの物語に吉と出るか凶と出るか…。
吉と出てほしいです(泣)
※注意書き≫壱、両方とも原作のキャラとかけ離れている可能性があります。
弐、オリキャラ登場します。
参、RUIが悪役です。
ので、苦手な方はご遠慮いただいたほうが良いかと思います。
「大丈夫」と言う方のみ下へお進みください。
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千秋に腕を引かれ、足を踏み入れたパーティー会場は既に沢山の人であふれていた。
そこは、まだ幸せだけを考えていられた頃に訪れた時と少しも変わっていなかった。
相も変わらず、女性は華やかなドレスに身を包みながら蝶のように美しく舞い、彼女らをエスコートする男性陣も見るからに高級そうなタキシードに身を包み、最近の市場についての冗談を交わしている。
広い会場のあちらこちらで数人ずつ固まって話している人々の間を、千秋は屋敷では見せたことのないさわやかな笑顔を振りまきながら縫っていった。
のだめは、顔に微笑を貼り付けてその後を歩いた。
ポーン
突如、会場内に澄んだピアノの音が響いた。
きょろきょろと辺りを見渡し、音の出所を探す。
すると、会場の中央に設置された特設ステージの上に白塗りの美しいピアノを見止めた。
「ラヴェル…。」
弾いているのは、長い黒髪をストレートに背中に流した綺麗な女性だった。
難しいといわれる曲を涼しい顔で、しかも完璧に弾きこなしている。
会場中が、彼女の演奏に釘付けになった。
素直に、すごい、と思った。
それと同時に、女性の正体が気になった。
千秋なら知っているかもしれない、と隣に立つ千秋を見上げた。
千秋の視線は、壇上の女性をじっと見ていた。
はっきりとした表情を浮かべているわけでもないのに、なんだか嬉しそうに見える。
なんだか声をかけ辛くて、のだめもステージに視線を戻した。
ポーン、と最後の一音が終わると、会場全体に大きな拍手がなり響いた。
壇上の女性は、それに怖じることなく、むしろ楽しそうに、観客に向かって礼をし、ステージを降りた。
「あ、あの、真一さ……くん?」
千秋を普段の癖のまま、様付けで呼びかけたのを、キロリと視線で制され、慌てて君付けで呼びなおす。
「なんだ?」
その呼び方にまあいいだろう、と納得したのか体ごとこちらに向けて、のだめの瞳を覗き込んできた。
どこまでも優雅なその動きと、慣れない彼の優しい言葉に、顔に一気に熱が集まる。
「先ホドノ…ピアノ……。」
へんな喋り方になっているのが自分でもわかった。
「ピアノ…?弾きたいのか?」
緊張のあまり意味不明な片言のニホンゴをぽそぽそと発する”婚約者”のだめに、千秋はあくまで紳士的に振舞った。
おそらく、周囲の人から「初々しく仲の良い恋人達」に見えるように。
「イ、イェ、ダカラ、ソノ……。」
頭が軽いパニックを起こして、自分が何を言おうとしていたのかさえ思い出せない。
「チアキッ!!」
え?と思う間もなく、何かがのだめの目の前を通り過ぎ、千秋に飛びついた。
―――白いチョウチョ…。
瞬間的に、ぼんやりそんなことを思った。
「チアキ、ちゃんと来たネ!」
嬉しそうな女性の声に意識を引き戻される。
「RUI…。」
飛びつかれたチアキが不機嫌な声で相手を呼んだ。
「だって、チアキがこんなパーティーに出るの久しぶりだから、すっごく楽しみだったんダヨ!」
「…わかったから、放せ。」
「相変わらず恥ずかしがり屋ネ。」
クスクス笑いながら、Ruiと呼ばれたその女性は千秋の首に絡めていた腕を放した。
そして今度は、外国の人たちがするように千秋の頬に挨拶のキスを送った。
千秋も慣れたようにそれに応えている。
それから漸く、呆気にとられて二人を見つめていたのだめに気づいたように視線を向けた。
「RUI、紹介する。こちら、婚約中の野田恵さん。」
「初メマシテ、野田恵デス。のだめって呼んでくだサイ!。」
千秋の紹介に慌てて頭を下げた。
RUIは一瞬だけ、のだめを見極めるかのような視線を向けたが、すぐに笑顔になった。
「のだめ、俺の幼馴染で今は仕事仲間の孫RUIだ。」
「コンニチハ、のだめサン。RUIって呼んでネ!」
RUIの笑顔はとても人懐っこくて、のだめも少し安心できた。
「先ほどピアノを弾いてたのはRUIデスよね?すごく、綺麗デシタ!」
「ホント!?ありがとう!二三日前に一曲弾いてくれって頼まれて、急いで練習したんだヨ。チアキは、どうだった?わたしの演奏。」
「すごく上達してて驚いた。昔みたいな硬さが取れてたし……。」
それから、RUIと千秋は仕事の話に花を咲かせ始めた。
話についていけないのだめは、千秋の側にただ笑顔でいることしか出来なかった。
(寂しい…。)
―――エスコート用に組んだ腕はそのままなのに、周囲にはあふれるほど人がいるのに。
のだめはなんとも言えない孤独感を感じていた。
無意識に、千秋の腕に絡ませていた腕にしがみつく力を強めていた。
「…なんだ、そんなにピアノ弾きたいのか?」
呆れた苦笑をもらしながら、千秋がのだめを見ていた。
のだめの寂しさを紛らわせるための行動を、催促と受け取ったらしい。
「じゃあRUI、そろそろ失礼する。のだめ、行くぞ。」
いきなり自分が話の引き合いに出され驚いたが、本当にピアノは弾きたかったし、何よりあそこで孤独感を感じるのも嫌だったので大人しく千秋に従った。
千秋にエスコートされたまま、ステージに上がる。
日本で一二を争う千秋グループの若き社長と、その彼が至極大切そうに扱う幼げな少女の登場に、会場内の視線は早くも壇上に集まりつつあった。
千秋が引いてくれた椅子に腰掛ける。
椅子を戻すと千秋はステージを降りた。
チラリと見やると、小さくうなずいてくれた。
ここで見ててやる、そう言っているように思えた。
華やかなパーティーに似合うように、明るく、楽しい曲を弾いた。
先ほどまでの孤独感や、不安感は一気に消え去った。
ピアノを弾いている間だけのだめの心は、嫌なことを忘れた。
一曲引いて終わるつもりが、アンコールにおだてられてもう五曲目だった。
ドビュッシー:喜びの島
この曲で終わりにしようと決めていた。
恋して病まないあの人が、主人ではなく、恋人として側にいてくれる幸せを思い切り詰め込んで。
―――大好き。だぁいすきデスよ。
のだめの心の中の呟きを、ピアノが音に変えて会場を埋め尽くした。
キラキラとした音に包まれながら、ふと横を見やるとステージのすぐ前で千秋が見ていた。
のだめを見つめるその顔が、あまりも優しくて。
嬉しくて。
くすぐったくて。
のだめも笑った。
←back next
==========================================
物語りも中半に差し掛かりました。
(今後、今考えているストーリーに変更がなければ↓↓)
RUI、ちょっと悪役登場させてしまいました↓↓
本当はここもオリキャラで乗り切ろうかと考えていたのですが、のだめに緊張感を与えられるのって、彩子さんかRUIしか思い浮かばなくて…。
中途半端にキャラの被ったオリキャラを出すよりは、と、RUIを採用してしまいました↓↓
しかも、本当はこんなストーリーは入ってなかったのですが、今日、パソコンの前に座ったら、こんな話になってしまいました…。
これでまた、一話ずつ後ろにずれました…。
今回のお話がこの物語に吉と出るか凶と出るか…。
吉と出てほしいです(泣)
なんだか波乱の予感です…
今後RUIがちあのだにどんな影響を与えるのか気になります!!
「終わることのない夜の調べ」すごく大人な雰囲気のお話ですね。
のだめの不安がとても切ないです。
どうなっていくのか楽しみにしています!
展開、してますか??(笑)
後先考えず、執筆し、UPしてしまったので、今後にどう影響するかまだまだ不安です…↓↓
でも、頑張って次につないでいきたいと思います。
コメントありがとうございました!!
★水城様
ご感想、ありがとうございます!!
RUI、登場させてしまいました。
全国のRUIファンの方々に命を狙われそうで心配です…。
ご想像通り、もしかしたら、次回、何らかの波乱があるかもしれません。ないかもしれません。
まだまだ不安定な(関係の)二人を暖かく見守っていただけたらと思います!!
★ちのや様
こんにちは、お久しぶりです!
またコメント頂けてとても嬉いです!!
今回のお話は、私が本格的に(?)アダルティーな表現を取り入れようと試みた初の作品です。
あんな稚拙な表現で、それを気取っているのはお恥ずかしい限りですが、笑って流していただければ…。
どう流れるるかわからぬ二人ですが、今後もお付き合いただけると嬉しいです!!!
キラリと冴えた表現力で、めくるめく愛のチアノダワールドを堪能させてくださる他のサイト様に比べ、未熟で拙さが目に付くところの多いものだと思います。
ですが、こうしてご感想を寄せてくださる方々の優しさに報いれるよう、精進したいと思います!!!
いつもありがとうございます!!!