結局、ほとんど眠れないまま朝を迎えた。
鏡に映る充血した目と腫れた瞼が、昨日の傷みを彷彿とさせ、また泣きそうになった。
今日は、千秋と峰が卒業した大学で同窓会的なパーティーがある。
峰の強引なこじつけで、のだめの参加は数週間前から決まっていた。
(千秋センセ、やっぱり来ますよね?…会いたくないデス…)
熱はまだ下がらず、頭も痛んだ。
しかし、無下に断るのも気が引けて、風邪と睡眠不足で軋む体を無理やり動かした。
「も~、のだめ!あんた今日はどぉしたのよ?さっきからボーッとして。」
「あぅ、すいまセン…なんでもないデスw」
真澄の声で、意識を引き戻される。
ざわざわと、にぎやかな会場内を見回してみると少し離れたところに、千秋の横顔を発見した。
峰と、ほかに二、三人の男の人たちと話をしているようだ。
心臓の辺りが、ズキッと傷んだ。
(もう、あきらめるって決めたんデスから…もう、見ません。見ちゃだめデス…。)
視線を無理やり千秋からはずし、真澄に戻す。
「…ねぇ、あんた本当に変よ?変なものでも食べたの??」
「何いってんデスか、真澄ちゃん。のだめはいつもどおりデスよ!」
「まあ、そうね。いつも変だものね。」
「むきーっ!!真澄ちゃんに言われたくありまセン!!」
「何ですって~っ!!!」
千秋としゃべっていたメンバーたちが、ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人に目をむける。
それにつられて千秋もそちらに視線を泳がせた。
「あ、あの子がのだめちゃんか?確か、高校生だっけ?」
「あ~、そうそう、かわい~なぁ。いいねぇ、女子高生。」
「俺、声かけてこようかな。」
俺も、俺も、と同級生たちは峰と千秋を残し、のだめに近づいていく。
それを見送りながら、峰が不満そうに声をかけてきた。
「おい、千秋いいのか?」
「なにがだ。」
「のだめだよ。お前ら、なんかあったんだろ。」
「…なんでそう思う。」
「だって今日あいつ、一度もお前に近づかないじゃねぇか。むしろ避けてるみたいだし。」
「何もねぇよ。」
「…ならいいけど。言っとくけどあいつ結構モテるぞ。気づいたときには他の奴に取られたりしてても知らないからな。」
そう言って、峰もどこかへ行ってしまった。
手に持っていたワインに口をつけながら、のだめの方に目を戻す。
のだめは、千秋の同級生たちに囲まれて少し照れた様に頬を染めて、楽しそうにしゃべっていた。
「いや~、でものだめちゃん、ほんとかわいいね~。」
「いやんw口がお上手デスね~w」
「いやいや、本心だよw」
「そういえば、のだめちゃんはお酒飲まないの?」
「のだめ、未成年ですカラ…。」
「わぁ、まじめだねぇ。でも、せっかくだし、今日はいいんじゃない?」
「え、でも…。」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。お兄さんたちが許可するから。」
「あの、でも…。」
勝手に盛り上がる周りの男たちに少したじろぐ。
そのとき、聞きなれた声が割り込んできた。
「おい、お前ら、教師の前で生徒に酒飲ますな。」
「え~、千秋ぃ、そんな固いコト言うなよ~。」
「だめだ。のだめ、お前も熱まだ下がってないんだろ。帰るぞ。」
そういって千秋はのだめの腕を掴んだ。
のだめは半ば引きずられるように会場を出た。
(…なんで?!なんでデスか?!)
突然の千秋の行動に頭の中が真っ白になってしまい、なすがままののだめだったが駐車場の入り口付近でようやく我に返った。
「…っ!放してくだサイ!!」
懇親の力で千秋の手を振り払う。
手を放した千秋の背中も、のだめの数歩前で立ち止まった。
のだめの心の中は、嵐のようにひどく荒れていた。
もう、何がなんだかわからない。
胸の中で渦巻く思いを感情の高ぶるままに、千秋の背中に向かって吐き出した。
「何なんデスか?!今は教師の勤務時間外でショッ!!!優しくなんて、しなくていいデス!!のだめは平気デス!!!!」
昨日あんなに流したはずの涙が、また溢れてきた。
「……俺が優しくしたいんだよ。」
「……何言ってんデスかっ。のだめをからかうのがそんなに面白いデスか?!のだめは千秋センセのおもちゃじゃないってんデスよ!」
涙で鼻が詰まって苦しかった。
気を抜けば、すぐにでもさっきの甘い言葉を信じてしまいそうになる。
でも、それがまたのだめを利用するためだったら、今度こそ耐えられない。
「俺が、優しくしたいんだ。悪いか。」
そう言って振り向いた千秋は迷子になった子供のようで、また胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
(ああ、ダメだ…この人には勝てまセン……)
その顔を見た瞬間、のだめは自分の負けを悟った。
「っ…千秋…センセ、のだめ、いい子になります…っ。ピアノも頑張るし、もうセンセに迷惑かけません。だから…、…っだから、これからも好きでいても良いデスか…っ?」
(利用されても、何でもいい。側にいたいデス…)
千秋はのだめの前まで戻ってくるとのだめの手を引っ張った。
その勢いで千秋の胸に抱きつくような状態になる。
そのまま、逃がさない、というように抱きしめられた。
「お前が、俺を好きかどうかなんて関係ねぇ。俺は、自分が気に入ったものは手元に置いておかないと気がすまないんだよ。」
「…ふっ…、カズオ…デス。」
「何とでも言え。」
(千秋センセ、大きな子供みたいデス。)
腕の中でくすくす笑うのだめの涙の跡をぬぐってくれる大きな手に安心感を覚える。
―ああ、のだめはまた、報われない片思いを繰り返そうとしているのでショウか。
(…それでも、良いデス。)
「千秋センセ、もう、諦めてあげまセンから。」
その誓いを込めて、千秋の頬に口付けた。
―――――――――――――――――――
…すいませんでしたぁっ(泣)
身の程知らずな挑戦でした↓↓↓
もし、ここまで読んでくださった方がいましたら、本当に、ありがとうございます!!!!
そして、一言でも感想やアドバイスを頂けたらさらに、嬉しいですっ!!!
重ね重ね、本当すいません…。
ほとんど自己満的なこのサィトですが、時々でも覗きに来ていただけたら、至極光栄ですっっ!!!
鏡に映る充血した目と腫れた瞼が、昨日の傷みを彷彿とさせ、また泣きそうになった。
今日は、千秋と峰が卒業した大学で同窓会的なパーティーがある。
峰の強引なこじつけで、のだめの参加は数週間前から決まっていた。
(千秋センセ、やっぱり来ますよね?…会いたくないデス…)
熱はまだ下がらず、頭も痛んだ。
しかし、無下に断るのも気が引けて、風邪と睡眠不足で軋む体を無理やり動かした。
「も~、のだめ!あんた今日はどぉしたのよ?さっきからボーッとして。」
「あぅ、すいまセン…なんでもないデスw」
真澄の声で、意識を引き戻される。
ざわざわと、にぎやかな会場内を見回してみると少し離れたところに、千秋の横顔を発見した。
峰と、ほかに二、三人の男の人たちと話をしているようだ。
心臓の辺りが、ズキッと傷んだ。
(もう、あきらめるって決めたんデスから…もう、見ません。見ちゃだめデス…。)
視線を無理やり千秋からはずし、真澄に戻す。
「…ねぇ、あんた本当に変よ?変なものでも食べたの??」
「何いってんデスか、真澄ちゃん。のだめはいつもどおりデスよ!」
「まあ、そうね。いつも変だものね。」
「むきーっ!!真澄ちゃんに言われたくありまセン!!」
「何ですって~っ!!!」
千秋としゃべっていたメンバーたちが、ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人に目をむける。
それにつられて千秋もそちらに視線を泳がせた。
「あ、あの子がのだめちゃんか?確か、高校生だっけ?」
「あ~、そうそう、かわい~なぁ。いいねぇ、女子高生。」
「俺、声かけてこようかな。」
俺も、俺も、と同級生たちは峰と千秋を残し、のだめに近づいていく。
それを見送りながら、峰が不満そうに声をかけてきた。
「おい、千秋いいのか?」
「なにがだ。」
「のだめだよ。お前ら、なんかあったんだろ。」
「…なんでそう思う。」
「だって今日あいつ、一度もお前に近づかないじゃねぇか。むしろ避けてるみたいだし。」
「何もねぇよ。」
「…ならいいけど。言っとくけどあいつ結構モテるぞ。気づいたときには他の奴に取られたりしてても知らないからな。」
そう言って、峰もどこかへ行ってしまった。
手に持っていたワインに口をつけながら、のだめの方に目を戻す。
のだめは、千秋の同級生たちに囲まれて少し照れた様に頬を染めて、楽しそうにしゃべっていた。
「いや~、でものだめちゃん、ほんとかわいいね~。」
「いやんw口がお上手デスね~w」
「いやいや、本心だよw」
「そういえば、のだめちゃんはお酒飲まないの?」
「のだめ、未成年ですカラ…。」
「わぁ、まじめだねぇ。でも、せっかくだし、今日はいいんじゃない?」
「え、でも…。」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。お兄さんたちが許可するから。」
「あの、でも…。」
勝手に盛り上がる周りの男たちに少したじろぐ。
そのとき、聞きなれた声が割り込んできた。
「おい、お前ら、教師の前で生徒に酒飲ますな。」
「え~、千秋ぃ、そんな固いコト言うなよ~。」
「だめだ。のだめ、お前も熱まだ下がってないんだろ。帰るぞ。」
そういって千秋はのだめの腕を掴んだ。
のだめは半ば引きずられるように会場を出た。
(…なんで?!なんでデスか?!)
突然の千秋の行動に頭の中が真っ白になってしまい、なすがままののだめだったが駐車場の入り口付近でようやく我に返った。
「…っ!放してくだサイ!!」
懇親の力で千秋の手を振り払う。
手を放した千秋の背中も、のだめの数歩前で立ち止まった。
のだめの心の中は、嵐のようにひどく荒れていた。
もう、何がなんだかわからない。
胸の中で渦巻く思いを感情の高ぶるままに、千秋の背中に向かって吐き出した。
「何なんデスか?!今は教師の勤務時間外でショッ!!!優しくなんて、しなくていいデス!!のだめは平気デス!!!!」
昨日あんなに流したはずの涙が、また溢れてきた。
「……俺が優しくしたいんだよ。」
「……何言ってんデスかっ。のだめをからかうのがそんなに面白いデスか?!のだめは千秋センセのおもちゃじゃないってんデスよ!」
涙で鼻が詰まって苦しかった。
気を抜けば、すぐにでもさっきの甘い言葉を信じてしまいそうになる。
でも、それがまたのだめを利用するためだったら、今度こそ耐えられない。
「俺が、優しくしたいんだ。悪いか。」
そう言って振り向いた千秋は迷子になった子供のようで、また胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
(ああ、ダメだ…この人には勝てまセン……)
その顔を見た瞬間、のだめは自分の負けを悟った。
「っ…千秋…センセ、のだめ、いい子になります…っ。ピアノも頑張るし、もうセンセに迷惑かけません。だから…、…っだから、これからも好きでいても良いデスか…っ?」
(利用されても、何でもいい。側にいたいデス…)
千秋はのだめの前まで戻ってくるとのだめの手を引っ張った。
その勢いで千秋の胸に抱きつくような状態になる。
そのまま、逃がさない、というように抱きしめられた。
「お前が、俺を好きかどうかなんて関係ねぇ。俺は、自分が気に入ったものは手元に置いておかないと気がすまないんだよ。」
「…ふっ…、カズオ…デス。」
「何とでも言え。」
(千秋センセ、大きな子供みたいデス。)
腕の中でくすくす笑うのだめの涙の跡をぬぐってくれる大きな手に安心感を覚える。
―ああ、のだめはまた、報われない片思いを繰り返そうとしているのでショウか。
(…それでも、良いデス。)
「千秋センセ、もう、諦めてあげまセンから。」
その誓いを込めて、千秋の頬に口付けた。
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