全日本コシャリ研究所 略称「コシャリ研」

コシャリに関する簡易HP.
カイロのコシャリ店評価、コシャリ考など。

●日本 浅草  コシャリ店 KIMET    

2011年03月27日 | 日本におけるコシャリ
●日本 浅草  コシャリ店 KIMET    


ネット情報によれば、開業は2010年4月。

コシャリの価格は、2010,7月データで、500円とのこと。

http://r.gnavi.co.jp/gabu600/

http://palestine02.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/kimet-4cbb.html

http://r.tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13111286/dtlrvwlst/


朝日新聞07,07,24夕刊における、四谷エル・サラーヤのコシャリ。

2007年07月24日 | 日本におけるコシャリ
朝日新聞07,07,24夕刊における、四谷エル・サラーヤのコシャリ。

カイロにて某ルートより入手した、07,07,24付朝日新聞夕刊内のコラム、
「味の地球儀」に、
コシャリが取り上げられているのを発見。
取材先は、東京 四谷のエル・サラーヤであった。

考えてみると、私の日本の実家では朝日新聞と日刊スポーツを購読していたが、
夕刊は取っておらず、
私が日本にいては、「情報過多の情報不足」により、気がつかなかったであろう記事である。
{私が夕刊紙を買う場合は、日刊ゲンダイか東京スポーツを選択する。}
私がカイロ生活を継続している理由の一つは、限定的ながら、
「日本にいるよりも、日本の諸事情を知ることがある。」
という、知的好奇心の楽しみであり、これもその例と言える。

さて、その記事の内容であるが、
私は、やや首を傾げざるを得なかったのが、率直な感想であった。

カイロの旅行会社に勤め、観光旅行でやってきた日本人女性と縁あって結婚し、
苦労して東京に店を開いたという、
「エル・サラーヤ」
の経営者、
「マゲド・シャラビィさん{45}」
は、文中に使われたコメントにおいて、

●「コシャリは日本のラーメンみたいなものですね」

●「給料日前によく食べるんですよ」
と、あり、

最後は、

●「ピラミッドやスフィンクスのように、エジプトといえばコシャリ、
と言われるような日が来ればいいですね」。

《そんな夢を持っている》と、〆られていた。

{ラーメンみたいなもの}の表現に関しては、私も、完全ではないが、ほぼ同感である。

{給料日前によく食べる}に関しては、
エジプトにおけるミドルアッパー層以上の感覚であろう。

ちょっと話がそれるが、
外貨でのチップや土産物屋からのバックマージンを得られる、
外国人ツアー観光客向け旅行代理店の観光ガイド職に登録し、
仕事を安定して斡旋されるような人々は、
エジプトの一民間人としては、
収入・労働環境・食事・
外国人女性との出会い
→結婚する必要のない性交渉のチャンス、あるいは結婚による先進国への査証取得、
などに関して、非常に有利な環境にいる層である。

{この、エジプト民間人にとって、
「おいしい仕事」
であるツアーガイド職に、コネや語学力・業界適応能力の欠如、
外国人客からのクレーム多数などの理由で仕事からあぶれた者や、
予備軍の英語使い・日本語使いが、
タハリール広場近辺や外国人観光客行動エリアなどに、
外国人カモ客狙いで立っているわけである。}

日本に置きかえて考えてほしいのだが、
現代の日本の平均的月給の生活者が、「給料日前」だからといって、
ラーメンや吉野家・松屋の牛丼ばかりを食べるであろうか?
日々の昼食・中間食のセレクションは、
大概は個人の生活レベルと嗜好でパターン化するものである。

専門店におけるエジプトのコシャリや日本のラーメンは、
確かにそれぞれ庶民的な食べ物ではあるが、
価格はその地の最低の最低という食べ物ではない。
本当にカネがない、生活に困窮しているという層においての、
もっと安い日々の昼食・中間食は、
エジプトならば、
アエーシ
{アラブパン。
エジプトの場合、政府から小麦粉に補助金が出ているので、現代カイロで一枚10PTから。}
による野菜やタアメイヤ・フールなどの食事、
日本ならば、土地・人件費・野菜が高い国なので自炊による簡易食、
自前の弁当、ホカ弁のノリ弁、コンビニおにぎり、かけうどん、学食・社食の安い定食、
大量生産品のパン単品、インスタント・レトルト食品、
さらにはパンの耳、といったところになるだろう。

よって、コシャリを「給料日前によく食べる」という、
コシャリを金欠時の代名詞のように表現しているコメントは、
通常はそれ以上のものを食べている高所得者層ということになる。
{貧富の差が激しいわけだが、
現代エジプトにおける、多くの労働者は日給20LE程度以下であり、
エジプト庶民にとって外食での肉の食事は、大変なご馳走である。
ちなみに、生牛肉は1kg35LE超。
そのほか、
カイロの各種物価に関しては拙簡易HP「アモーレ塾」カイロの物価を参照されたい。
07,07月31日 1ドル→5,64LE. 100円→4,69LE。}

さて、私がやや首を傾げてしまったのは、
コシャリを日本のラーメンに例え、
エジプトの庶民食であることを強調して述べるとともに、

「エジプトといえばコシャリ、と言われる日がくればいいですね」。

と、
日本におけるコシャリの知名度アップ、
普及を望んでいるかのようなコメントでありながら、
本人の写真下にある店の住所、メニュー紹介欄を見ると、
自店でのコシャリを、
日本におけるラーメン専門店の標準的なラーメン価格の倍である、

「1300円」

という価格設定にしているという、
言行の不一致性である。

勿論、飲食店における店の雰囲気づくりや対象客層と客の回転率、
客単価・メニューの価格設定・原価率などは、
経営者自身の経営感覚と裁量であり、
「エル・サラーヤ」
が地価の高い東京の都心部にあり店のランニングコストが高く、
かつ日本では原材料であるトマトやひよこ豆、レンズ豆は安くなく、
また、コシャリ専門店というわけではないため、
一食あたりの手間暇とコストが増大する、
あるいは客単価設定のため、他のメニューとのバランスを取らなければならない、
という背景があるわけだが、
この1300円というコシャリは、
ネット上でも値段が高い高いと不評であった愛知博覧会エジプト館のコシャリや、
目黒のエジプトレストラン 「ネフェルティティ」をも上回る価格設定である。

本場のコシャリを知らない多くの日本人にとって、コシャリは、
「スパゲティの変形版のシロモノ」
と映る筈であり、
その場合の価格イメージは、
現代日本のファミレスや、パスタ店での、
トマトソースのスパゲッティやマカロニ、ドリアなどと同等のものとなる筈である。

私は、エジプトの庶民食、コシャリを愛する者であるが、
それでも正直に言って、使用している食材からも、コシャリは、
「目が飛び出るほど美味い。」
という程のものではない。

私が、
日本で500円を持って店に座って食事をするのなら、
吉野家か松屋で牛丼や納豆定食+缶の野菜ジュース、
1000円ならば、流行りの近代ラーメン専門店やカレー専門店を選択するであろう。
1300円なら、
店にもよるが、ランチでハンバーグセットはおろか、
ステーキセットまで選択可能圏になる。

忌憚なき意見を申すならば、現代日本人の嗜好と感覚において、
1300円のコシャリでは、
まず、
「話のタネに一回食べてみるか。」
の域を出ず、
「主役級の炭水化物のオンパレードに一瞬たじろぐ」{朝日新聞本文}
ことになり、そして、
他の食べものと比較し、
コシャリのコストパフォーマンスの悪さだけが印象に残ってしまい、
コシャリの普及は、まず難しいものと思われる。

以下は、
「エル・サラーヤ」
だけの評判ではないが、
現在のところ、日本に帰国した日本人カイロ経験者間で、

「カイロ時代を思い出し、日本にあるエジプトレストランに行き、
美味いコシャリ食べたさに、何度も通っている。」

といった話を、私はいままで聞いたことがない。

カイロ経験者はコシャリの現地価格とそのポジションを知っている、
ということもあろうが、
日本でのいくつかのエジプトレストラン、
あるいはイベント会場などでのコシャリ再食者の言葉は、

「とにかく、高い。」
「日本人をなめている。」
「ふざけんな。」
「量が少ない」
「なんだありゃ」
「エジプトのコシャリと全然違った。」
「シャッタがラー油だった。」

といった、ネガティブなものばかりなのが、
エジプトの大衆食コシャリを愛する者として、非常に残念なところである。