とことん青春!

愛は憎しみより高く、理解は怒りより高く、平和は戦争より気高い。

BLOOD+ 20話感想 『シュヴァリエ』

2006-02-26 12:02:42 | BLOOD+
ソロモンは「変化」を望むシュヴァリエなのかもしれない。
20話感想。

◆なぜハジは黙秘するのか?
小夜の過去についてかたくなに黙秘するハジですが本当は彼女に「昔の小夜」に戻って欲しいと願っているのかもしれない。
ただ、今、(例の“約束”も含めて)全てを話してしまうと小夜の精神を崩壊させ得るだけの衝撃を与えてしまいかねないので黙秘し続けているのでしょうね。
彼が小夜に『戦って』と促すのも彼女が戦う事によって昔の記憶を呼び起こす可能性があると考えているからなのでは、と思う次第です。

◆カイの心境の変化や如何に?
注目なのがジョエルの日記を読み、渋い表情を浮かべたカイ。
今まで家族だと信じて止まなかった小夜との間に溝が出来つつある事は否めない模様。
やはり、現状、擬似家族の絆は崩れる寸前まで来ているのではないかと。

個人的には終盤に向けて崩壊した擬似家族の絆が再構築される過程を見たい所です。
この人間関係の再構築の過程を描き切れなかったのが某種作品だっただけに血+では丹念に描いて欲しいという想いがありますw

◆アンシェルの望む世界
「動物園」って私の所属する部署の別名じゃん(笑)、と突っ込みを入れておりましたw

アンシェルは同族殺しをする人間よりも同族殺しをしない動物の方が高等な生き物であると考えているのではないかと。
ゆえに、【始まりの場所】を「動物園」と名付けているのではないかと。
同族殺しをしない自分達も人間ではなくて動物の仲間である、と。

もしかしたらアンシェル達は人間を排除した翼手だけの世界を築こうとしているのかもしれない。
だから、人間を翼手に変える実験を続けているのでは、と(←米軍はその為の資金を調達する駒に過ぎないと見なしているのかもしれない)。
ゆえに、現状ではD67投与の翼手が見境無く同族も襲うので「失敗作」と位置付けられていると思う次第です。

◆花嫁 花婿
小夜がアンシェル達の花嫁でハジがディーヴァの花婿でありながらお互い敵対しているという皮肉な現実。

これは妄想ですが、この花嫁,花婿の関係は(何かしらの遺伝子的要因によって)小夜やディーヴァやシュヴァリエが生まれた時から定められた関係なのかもしれない。
普通に考えると花嫁を守るのは花婿のはずなのに、この関係では花婿が花嫁を殺そうとしていますからね(汗)。
この様な矛盾が生じた背景には小夜&ハジと(同族愛を遵守し人間等の他種族の存在を受け入れようとしない)ディーヴァ&シュヴァリエとの間で意思のすれ違いがあったからなのではないかと思う次第です。

そして、「翼手」という定められたカテゴリーからの脱却を図ったのが小夜とハジだったのではないかと。
そのタイミングで上手く小夜とハジを味方サイドに引き込んだのが赤い盾だったというオチなんじゃないかな。
そう考えると、人間と翼手の戦いの歴史は赤い盾+小夜&ハジとシュヴァリエ&ディーヴァの確執に端を発したのではないかと思う次第です。

◆同族殺しをするシフ
あっけなくソロモンに殺されたシフ。
彼らは同族である翼手殺しを平気でやってのけている事を考えてもアンシェル達にとっては邪魔な存在なのでしょう。

シフの考え方は生きる為には(同属殺しもする等の)「変化」を辞さないとする考え方なのでシュヴァリエではなくて人間寄りの考えです。
この点でシュヴァリエとシフとの間に対立軸が生じている感があります。

◆悩めるソロモン
兄さんの言葉は僕の意思でもあります

この台詞と共に苦渋の表情を浮かべたソロモン。
彼は本当は小夜を討ちたくないと思っているのでしょう。
その証拠に

僕は小夜に会いに行きます

と小夜に実際に会ってから、彼女を生かすか殺すかの決断を下したいと考えている訳なのです。

一つの意思を五つの体で分かち合うシュヴァリエにとってはチームワークを乱す様な勝手な行動は許されない。
チームワークを乱す様な事をすればカールの二の舞いですから。
しかし、小夜を討つ事に深い疑念を抱くソロモンは今後の展開次第でハジ同様に「シュヴァリエ」というカテゴリーからの離脱も有り得ると妄想する次第です。

以上、物語の外枠が固まりつつあると感じた20話感想でした。

BLOOD+ 19話感想 『折れたココロ』

2006-02-19 14:41:54 | BLOOD+
とうとうぶちキレましたね。
19話感想。

◆折れた小夜の決意
以前から小夜は必ずぶちキレる時が来ると思っていたのですが、ついにその時が来ましたね。
決意や覚悟は不安定で揺らぎやすいものだからこそ、それを支える土台となるコミュニティーがしっかりしていなければならない。
しかし、赤い盾の人間は他力本願で『お前にしかできない』と小夜に翼手との戦いをほぼ丸投げ状態。
そして、家族を守る為にディーヴァを討つ事を決意したにも拘らず、そのディーヴァが本物の家族であったという非情な現実。
その事を黙秘し続けた赤い盾とハジ。
信頼していた人間に裏切られた彼女の衝撃たるや計り知れないものでしょう。
今まで自分を犠牲にしてまで守りたいものを守る為に「兵器」として戦ってきた彼女の信念が「折れてしまった」かと。

それに加えて、リーザに化けたアンシェルが言葉巧みに小夜の戦う意義を問い正しましたからねぇ。
今まで漠然と翼手と戦い、ディーヴァを討ったあかつきにはカイやリクと元の生活を送れると信じていた彼女の心を支配するのは絶望感のみなのでしょうね。
これで小夜は完全に孤独な状態に陥った訳なのです。
「人間」でありたいと「変化」を望んでいた彼女は再び一人孤独に「兵器(翼手)」としての道を突き進まざるを得なくなる瀬戸際に立たされた、と。
ゆえに、小夜と仲間達との確執は物語上大きな転機になる出来事だと思う次第です。

◆試すアンシェル
許さない?
その気になればいつでもあなたの命を奪う事ができたこの私を
あなたが?

アンシェルは小夜を生かすべきか殺すべきかの判断に悩んでいるのでしょうね。

では、なぜシュヴァリエ達はディーヴァを狩ろうとする小夜を生かしているのか?
考えられる事は(前回の感想でも書いた様に)彼女の血が翼手を生み出し得るからという事。
シュヴァリエ達はディーヴァの血からD67を造っていたので小夜の血も何かしらの研究に利用できると考えているのではないかと。
ここら辺は今回登場したシフの存在にも関わってくるのでしょう。

◆小夜とディーヴァ
今回、小夜とディーヴァが姉妹であった事が明らかになった訳なのですが、最大の疑問はなぜシュヴァリエ達は小夜ではなくてディーヴァを守るべき対象としているのかという事。

以前、ソロモンがシュヴァリエを【一つの意思を五つの体で分かち合う】と称した事からも、シュヴァリエ達の意思を統率しているのがディーヴァであると考えられます。
つまり、シュヴァリエ達はディーヴァの命令通りに動く駒である、と。
ゆえに、ディーヴァを失ったら彼女の命令通りに動いてきたシュヴァリエ達は辿るべき道を失ってしまう。
よって、ディーヴァを失う事は彼らにとって事実上の「死」を意味するのでしょう。
だから、彼らは必死になってディーヴァを守ろうとしているのではないかと。
正に彼らはディーヴァによって「生かされている」状態であると言えるでしょうね。

これと対照的なのが【一つの意思を一つの体で有する】ハジ。
彼は自らの意思でシュヴァリエとしての道を外れ小夜の従者となる事を決意したのです。
彼は度々『それがあなたの望みなら』と口にしますが、己の意思で道を選んで来た彼だからこそ言える台詞なのではないかと思う次第です。

さしずめ、シュヴァリエの体内にはディーヴァの血が流れており小夜の体内にはディーヴァの血に反作用を起こす血が流れているのではないかと妄想する次第ですが(←だから小夜の血はディーヴァの血を秘めるシュヴァリエや翼手を結晶化させられるのではないかと)。

◆シフ
小夜を追い求める新勢力シフ。
彼らは小夜を殺そうとしているのではなくて生きる為に小夜の血を欲しているのかもしれない。
アンシェルが『翼手も生きる為に人間の血を吸っている』と言った事が印象的だったのですが、シフも生きる為に小夜を求めているんじゃないかと。
さしずめ、シュヴァリエがディーヴァの血を秘めていると思われる翼手であるならばシフは小夜の血を秘める翼手なのではないかと妄想する次第です(笑)。

◆変化を求めたハジ
アンシェルから【道を外れたシュヴァリエ】と揶喩されたハジ。
道を外れたという事は本来シュヴァリエが通るべき定められた道とは違う道を進んでいるという事。
つまり、ハジはシュヴァリエとしての力を持ちながらもディーヴァを守るという使命を果たさず小夜を守る事を使命であると位置付けているという事なのでしょう。
それは他のシュヴァリエから見れば愚かな事かもしれないが、ハジ自身が望んだ「変化」ですからね。
定められた道を辿り「変化」に対して否定的なシュヴァリエの中にあって「変化」を望んだハジは異質な存在なのでしょう。
ハジがディーヴァではなく小夜を選んだ経緯は後々明かされる事になると思う次第。

◆うそつき…
赤い盾とハジに向けられた言葉であると共に全てを知っていながら黙秘してきた父ジョージに向けられた言葉でもあったんじゃないかと。
ゆえに、彼女の中の擬似家族の絆は脆弱極まり無いものになってしまった事でしょう。
前回の話でデヴィッドとカイが歩み寄りを見せただけに小夜と仲間達との確執は一行にとっては大きな痛手となるでしょうね。

今後の小夜の共同戦線復帰はカイとリクに掛っていると思う次第。
壊れかけている家族の絆をどこまで再構築できるかがポイントになりそうです。

以上、徐々に謎が解き明かされてきたと感じ得た19話感想でした。

BLOOD+ 18話感想 『エカテリンブルグの月』

2006-02-12 14:55:23 | BLOOD+
デヴィッド渋いわ。
18話感想。

◆デヴィッドの親心
お前に分かるのか?
この銃の重みが…


一度銃を手にすると「戦い」という修羅の道を進まなければならなくなる。
彼は『小夜を守る』 と言い切るカイに仲間を守れなかった過去の自分を重ねているのかもしれない。
だから、5話では戦いを甘く見ているカイに手を下したりもしたのでは、と。

そして、カイが手にする銃は亡き父ジョージの銃。
その形見の銃で敵を撃つとなればもう後には退けなくなる。
死んでいった仲間の分まで戦う使命を背負うデヴィッドはその事を理解しているのでしょう。
もしかしたら、彼はジョージの代わりにカイ達の親役を買って出ようとしているのかもしれない。
それが死んでいったジョージに対する葬けである、と。

彼が何の力も持たないカイとリクの同行を認めたのも、彼らを側に置いて「守りたい」,「成長を見守りたい」という親心ゆえかと。
そう考えると、ビジネスよりハートの男デヴィッドはジョージの遺志を継ぐ熱い男とも言えるかもしれない。
今回の話でカイとデヴィッドの距離も縮まったでしょうから疑似家族の新しい父親役がデヴィッドになるという事も考えられない話ではないと思う次第です。

◆デヴィッドを受け入れたカイ
お前は何の為にロシアへ来た?
それを優先させろ


カイがロシアに来た最大の目的は小夜を守る為であって身を危険に晒す事では無いとするデヴィッド。
無鉄砲なカイにとっては頭を冷やす良い機会になったのではないかと。
そして、カイは今回初めてデヴィッドの言葉を受け入れ彼に従いました。
今まで事ある毎にデヴィッドに反発してきたカイの心境にデヴィッドを認めるという「変化」が訪れたのではないかと思う次第。

その証拠に彼は形見の銃を見つめながら

親父…

と呟いていますからね。
軽く考えていた「戦い」がデヴィッドとのやり取りを通じて【重みのあるモノ】に変わったのでしょう。
少しずつではありますが彼の中に冷静さが生まれてきたのではないかと思いますよ。

◆ディーヴァ
今回の話で明らかになったディーヴァに関する情報をまとめると

①ディーヴァは少女
②D67はディーヴァの血を元にして造られた
③ディーヴァの血は3人の男(恐らくシュヴァリエ)によってテッドに渡された

前回の話で名前が出てきたアナスタシアがディーヴァである可能が高いと思う訳ですが。
さしずめ、ディーヴァの血がD67の原料なので翼手はディーヴァの歌声に反応していたのではないかと。
そして、小夜はその血に反応(と言うよりは反発)する血を秘めているのでしょうね。
17話でディーヴァの気配を感じ取った小夜が覚醒したのもその為かと。

ソロモンが『小夜を殺してはならない』と言ったのも小夜の血がディーヴァと関わりを持つのでD67の研究を進める上での実験材料になるからかと妄想する次第。
ソロモンは小夜の血から進化した翼手(=分別のつく翼手)を造れる可能性もあると考えているのかもしれません。
ゆえに、捕獲最優先で小夜の下に刺客を送り込んでいるのでは、と。

◆デヴィッドの背中
それがこいつの背負っている運命なんだとさ

デヴィッドが背負ったモノの重みを知ったカイ。
今までデヴィッドを目の上のたんこぶとしか考えていなかったカイも傷だらけのデヴィッドの背中を見て思う事もあるでしょう。
彼の背中はカイに形見の銃を手にして戦う事の重みを教えてくれたのではないかと。
カイとデヴィッドの距離は着実に縮まりつつあると思いますよ。

以上、デヴィッドが最重要キャラに為り得ると感じた18話感想でした。

デュランダル議長には共感できるよ

2006-02-08 12:31:58 | ガンダムSEED DESTINY
題名通りですが、議長には共感できる部分もあるという事。
彼はタリアとの理不尽な別れという哀しい過去を抱えており、そんな理不尽な事が起こり得る世界を変えようとした。
その「変えようとする」心意気には共感できるものがあるという訳なのです。

彼がプラント最高評議会議長の座まで上り詰めたのも「理不尽な世界を変えたい」とする彼の強い願望ゆえなのでしょう。
そう考えると、彼は非常にエネルギッシュな人物であると言えると思います。
ネガティブな人間ならば「この世が憎い」などと愚痴をたれるだけで自分から行動を起こさない所なんですけどね。

彼は29話で

ならば私が変える
戻れぬと言うのなら初めから正しい道を


と言っている様に、タリアとの別れという不幸な過去を受け入れられずに抗い続けているんですよね。
ここが過去を受け入れ未来に目を向けようとするキラ達との違いかと。
ゆえに、議長とキラ達との行動の違いは過去を受け入れられたか否かに尽きると思う次第です。
でも、なぜか共感できるのはキラではなくて議長なんですよねw

BLOOD+ 17話感想 『約束おぼえてる?』

2006-02-06 12:08:40 | BLOOD+
ディーヴァを討つという使命を全うしたら自らの命を絶ちたい。
小夜とハジの交した約束も100年の歳月を経た現在では…。
17話感想。

◆ロシア革命時代
簡単にこの時代の主要人物をまとめると

≪グレゴリー・エヒモヴィッチ・ラスプーチン≫
当時のロシア王室の実質的支配者でありシュヴァリエ。
ラスプーチンの名で歴史上に名を刻む有名人物。
ロシア革命時に死亡したと見られていたが、翼手の研究者ヘンリの娘ソーニャに化けて生まれ故郷付近の村に潜伏しディーヴァをかくまっていた。

≪アナスタシア≫
恐らくディーヴァであると思われる人物。
グレゴリーがかくまっていたがアンシェルに託される。

≪アンシェル≫
シュヴァリエの長兄。
リーダー格と思われる。
ディーヴァを守る為には手段を選ばない。

一つ疑問なのが、ソロモンは『小夜を殺してはならない』と言っていたのにグレゴリーとアンシェルは小夜を殺る気満々だったという事。
もしかしたら、ロシア革命以降に小夜を殺してはならない出来事が起こったのかもしれませんね。

◆小夜の望み
人が人を造って何がいけないの?

造り出されたものは何も望んでいない
きっと望むのは…


最強の「兵器」として造り出された小夜自身の本音。
小夜は自覚しているのでしょう。
最強の「兵器」として戦わなければならない事を本当は望んでいないという事を。
そして、彼女はディーヴァやシュヴァリエと戦う事が自身の使命でありその役割を全うする事を自身の宿命であると認識しているのでしょう。
ゆえに、その役割を終えた暁には生きる意味は無くなるので「死」を望みたい、と(←『きっと望むのは…』の後に続く言葉は「死」なのでしょう)。

最強の「兵器」として生きる事にアイデンティティを見い出さざるを得ない小夜の苦しい心境を表していると思う次第。
ただ、現在の彼女は100年以上生きて初めて「兵器」ではなくて「人間」として生きるという選択肢もある事に気付いたのです。
それを彼女に気付かせたのはカイやリク達なのですが。
ゆえに、現状の彼女は最強の「兵器」として戦わなければならないという宿命に振り回されるのではなくて、「人間」として生きるという運命を切り開こうとしている状態であると言えるかと。

「変化」を望まなかった彼女が100年経った現在になって初めて「変化」を望もうとしている。
これはかなり熱いと思いますよ。

◆シュバリエの自負
時の流れと取り巻く環境が獣には牙と爪を
花には棘を与えたわ
でも人間は自らそれを放棄した
自然と共に歩む事を拒絶したの
そして代わりに何を得たと思う?


武器無しではうさぎ一匹も殺せない人間とは違い自分達は自らの持つ力で自らを守り戦う事ができると言うグレゴリー。
自分がシュバリエであるという虚栄心,自負心が垣間見える台詞かと。
しかし、結局、シュバリエはシュバリエたるままで「変化」を望んでいないんですよね。
この点が人間とシュバリエの決定的な違いかと。

確かに、人間は自分達独自の文明を築き上げた為に自然と完全に適合する事は無かった。
しかし、人間は常に「変わろう」としてきた。
豊かになりたいから働き賃金という対価を得たり、国を変えようと革命を起こしたりもした。
それは人間の欲望,欲求に起因する事かもしれない。
しかし、「変化」に立ち向かおうとしている事は事実である。
この点で「変化」を望まないシュバリエと対比関係にある訳なのです。
最強の力を備えているシュバリエ達は「変わる」必要が無いですし「変わりたい」とも思わないでしょうから「変わろう」とする人間達が不自然に思えて仕方無いのでしょう。
だったら、なぜ最強の力を手にする事を拒むのか?最強の力を持った人を生み出す事を拒絶するのか?と。

(前述の様に)小夜もこの当時はシュバリエ同様、「変化」に対して否定的だったのでしょうが、現在では「変化」に立ち向かおうとしていますからね。
ここの所は物語のテーマに触れる部分なのではないかとも思う訳ですが。

◆小夜が眠りにつく時
今回、分かった事は小夜が眠りと目覚めを繰り返しているという事。
彼女は眠りにつく事によって目覚めていた時に消費した急激なエネルギーを補填しているのかもしれない。
そして、現在、(不完全な状態とは言え)目覚めの状態にある小夜はいつか必ず眠りの状態に陥る時が来るのでしょうね。
その時のカイとリクのアクションが楽しみではあります。
次に小夜が眠りにつくのはディーヴァを狩る時なのでは、と妄想する次第。

◆約束
約束覚えてる?
私がディーヴァを狩ったら…


(口の動きから考えても)『殺してね』『死なせてね』が後に続く言葉としては妥当でしょうね。
何せ(前述した様に)当時の小夜はディーヴァやシュヴァリエと戦う事を生きる上での目的にしていた訳ですから。
ゆえに、その使命を全うしたとなると彼女の生きる意味は無くなるのです。
彼女はディーヴァを討ち最強の「兵器」としての自分が不要になれば自身の存在意義も無くなると考えていたのではないかと。
つまり、闇雲に死なないままただ生きていても意味は無い、と。

しかし、現状の彼女には「人間」になるという選択肢も生まれたのです。
ゆえに、ハジとの約束が反故になる可能性も十分考えられます。
勿論、それは彼女の意思次第という事になりますが。

◆ハジは今のカイ
私はあなたをずっと見守ります
例えあなたが別の何かに変わっていたとしても
あなたと離れ離れになろうとも
私は必ずあなたを見つけます


この時期のハジは今のカイと全く同じ事を言っています。
それだけ小夜にとってハジは大きな存在だったのかな、と。
今回の話で小夜とハジの本来の関係が理解できましたね。

以上、血+は今回の様なファンタジックかつミステリアス路線で進めればかなり面白い作品になるのでは、と感じ得た17話感想でした。

機動戦士Zガンダム 7話感想  『サイド1の脱出』

2006-02-03 21:56:32 | その他アニメ
カミーユの「怒り」について言及された回でしたね。

◆◆カミーユの「怒り」の理由◆◆
カミーユの「怒り」は自己嫌悪に起因しているのでしょうね。
彼がジェリドを毛嫌いしているのも【あの様な子どもじみた大人にはなりたくない】という意識の表れかと。
何せ、ジェリドは1話でカミーユを小馬鹿にして殴りかかれらておきながら4話では自分を小馬鹿にしたカミーユに殴りかかろうとしていましたからね。
カミーユはそんなジェリドを「子ども」の自分と同レベルの「大人」であると考えているのではないかと思う次第。

つまり、彼は「大人」に為りきれていないジェリドに同じく「子ども」のままでいたいとする自分自身を重ねる事でジェリドに対して嫌悪感を抱いているのではないかと。
彼が自分の名前に対して嫌悪感を抱いているのも自己嫌悪の表れだと思う訳ですが。
以下、この点に絞って考察レッツ・ラ・ゴー♪

◆◆カミーユにとっての理想の大人像◆◆
僕の勘が当たった
できる人だ


カミーユにとっての理想の大人像はライラみたいなタイプの人間なのかもしれない。
彼がここで言う「できる人」とは理想の大人の事を指しているのでは、と思う次第。
カミーユは自分とは違うタイプの子どもじみていない大人を理想の大人であると捉えているのでは、と。
ジェリドの師匠たるライラはそれに該当したと思う訳ですが。

◆◆ぼかす「大人」クワトロ◆◆
大尉はなぜ軍人なんですか?

他に食べる方法を知らんからさ
だから未だに嫁さんも貰えん


民間人から軍人になるという決意をするに当たってシャアの本音を聞こうとしたカミーユにとっては余りにもそっけない答えに聞こえた事でしょう。
同時にカミーユの中に「この程度の答えしかできない大人は自分と同レベル」という感覚が芽生えたのではないかと。
ラストシーンの『もう少しこのままで居たい』という彼の台詞も「例え軍人になったとしても理想の大人になれる訳ではない」という失望に似た気持ちゆえかと。
シャアはカミーユにとって理想の大人ではないという事でしょうね。

◆◆理想の「大人」ライラ◆◆
あんな子どもに…
あんな子どもなのに!
私は正規のパイロットだ
あんな子どもに負けられない!


大尉、あなたは逆上しすぎている!

「逆上しすぎている」という事は逆上していない状態ではまともな人間であるという事。
正にカミーユがライラを理想の大人だと考えているという事が端的に理解できます。

そして、
そうか…
私が今あの子の事をただ者じゃないと言った
この感覚が無意識の内に反感となる
これがオールドタイプという事なのか!


死の瞬間、彼女はオールドタイプとニュータイプとの差を悟った。
【あんな子ども】と称したカミーユが【ただ者ではない存在】に変わった訳なのです。
逆上していたライラがいつもの冷静な「大人」に戻った瞬間だったかと。

そして、そんな理想の大人を自らの手で討つ事になったカミーユの心境は複雑でしょうね。
これがラストシーンの彼の台詞につながってくるのでしょう。

◆◆自己嫌悪◆◆
自身の名前への嫌悪。
その名前を付けた両親への嫌悪。
しかし、その嫌悪感は同時に受け入れるべきものを受け入れられないカミーユの自分に対する嫌悪感でもあったんじゃないかな、と。
なぜなら、彼が衝動的になりエゥーゴに参加したせいで両親は命を落とす事になってしまったから。
ゆえに、彼は「自分さえ居なければ両親が命を落とす事も無かった」という自己嫌悪に苦悩しているのでは、と思う次第。

彼は5話で父親を失った時、『お前らが居なければこんな事にはならなかったんだ!』と叫びました。
正に「自分が居なければ」という自己嫌悪が「お前らが居なければ」という他者への怒りに変化している事が端的に分かりますね。

自己嫌悪を他者への怒りに変える彼がジェリドを嫌悪しているのも、ジェリドの存在のせいで両親を失ってしまったからかと。
そして、自分が軍隊に参加してしまったせいで両親を殺してしまったという罪悪感と焦燥感ゆえの自己嫌悪が彼の怒りを生んでいるのでしょうね。

駄目です
僕はまだ軍人になるって決めた訳じゃありません
もう少しこのままの方が良いんです
もう少し…


カミーユがこの台詞を吐いたのも軍隊に入ったせいで両親を殺してしまったという自己嫌悪に陥っている自分自身の心情を理解しているからであり、そういった大人の世界に入り込む事で自己嫌悪の感情が強まる事を恐れているからかと。
ゆえに、彼はもう少し【民間人である自分】,【大人に為り切れていない自分】のままでいたいのでしょう。

彼は本当は自分の事をもっと好きになりたいと思っているのかもしれない。
名前を馬鹿にしたジェリドに殴りかかったのも自分自身を愛したいという彼の想いの表れなんじゃないかな。
カミーユは一筋縄ではいかないキャラだと思いますよ(笑)。

以上、カミーユの怒りの理由が理解できた7話感想でした。