Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Ashford&Simpson@Blue Note Tokyo 11/21 2nd

2009-11-22 09:28:42 | その他のライブ
今年、最高のライブ、2009年度 Best 1 showだった。
(エリック・ベネイ、フランキー・ビバリー、金子三勇士は評価外です)

まず始めにとんでもない勘違いをしていた。
2ndショウ、いつものように9:30からだと思い込んでいたのだ。
ブルーノートの近くの行き付けの店で和食を摘もうと予約なしで行ったら、
貸切で入れなかった。

そこでとりあえず、ブルーノートの様子を覗く事にする。
入り口付近の階段で会ったスタッフに「後、10分で受付開始ですよ。」と言われる。
「えっ、今日の開場、開演は?」と尋ねると、
「開場は8時、開演は8:45です。」
危ない所でした・・・
そのまま、受付を待つ。
整理番号、13をゲット。

盛夏以来のブルーノート。
ロビーにバーもできていて、コーヒーやビール、ウィスキーなどが戴ける。
しかし、この場所で1時間はきついなぁと思い外に出ることにする。

ブルーノート隣の「アディングブルー」行ってみたいと思いつつ、
1stの後は、満席だったり、こちらがお腹が一杯で入る機会を逸していた。
キャルソンに「ブルーノート、セカンドショウまでに食事を軽くしたい。」
と話すと「セカンドショウ前のクイックなご馳走」
ムニュ・エクスプレスなるメニューが存在した。
昨日は自家製スモークサーモン、キッシュ、ラタテューユ、もち豚のソテー、
焼きたてのパンと飲み物はスパークリング、赤白ワインから選択可。
念のため、いつもよりセカンドの開始時間が早いことも告げる。
スピーディーにワンプレートで出てきて、時間を気にせず、美味しい食事を楽しむことができた。

ブルーノートに戻ると、先ほどのスタッフとまた階段で会い、「お帰りなさいませ。」(笑)
ほどなく、点呼が始る。
順番が来て、階段を降りると、掛かっていた曲はEric Benet"Hurricane"の"My Prayer"だった。
ビルボードのクリセット・ミシェルに続き、
ブルーノートのアシュフォード&シンプソンのライブでもエリックの曲で迎えて貰えるとは!

席はステージ前、2列目、向かって右角を選択。
室内の音楽は違うアーティストの曲に変わっている。
そしてまた、Eric Benet"Still With You"、そしてスクリーンでは、エリックベネイ、
クリスマスライブのプロモーション。
"Love&Life"のミルウォーキーで撮影されたプロモ、"You're The Only One"
そしてChocolate Legs"も掛かる。

こういう状態だったので、私の高揚感はAshford&Simpsonが登場する以前に、マックスに達していた。

バックコーラス、男性一人(パパイヤ鈴木風)ベース、ギター、ドラムス、キーボード、
そしてグランドピアノの前にピアノ奏者も登場。
バックボーカルのアナウンスでアシュフォード&シンプソンの入場。

その瞬間、私は立ち上がって踊り始めていた。
ニコラス、ヴァレリーともアイコンタクト、ビシバシ!
しかし、さすがに後半、我に返り、二列目でスタンディングしたら、
後方の観客は私のお尻を見ることになり、気分悪いかなと後ろの人に気が引けて着席する。
場内で立ち上がっていたのは私一人のようだった。
1曲目の終盤でこちらを見たヴァレリー「あら、座っちゃったの?」という表情(!?)

思っていた通りの曲を思ってた通りに、そして想像以上の迫力で歌い上げてくれた。
ダイアナ・ロス"The Boss"、やはり座っては居られない。
立ち上がり、踊りながら一緒に歌う。
ヴァレリーに向かい、「あなたがボスよ!」とシャウト。
シャカ・カーン"I'm Every Woman"「これはすべての女性達のための歌だからね。」とヴァレリー。
場内もスタンディングが増え始めた。

もちろん、自作自演の曲、"Solid""Have You Ever Tried It"。
そしてパントマイム風の演出もあり。
アップテンポな曲もいいが、スローな曲、聴いていて二人の息の合ったデュエット、
何回かウルウルしてしまった。
「なんと、初来日なんだよね。でも僕たち、日本が大好きだよ。」
「私だって、あなた達のこと、大好きよ!」と叫ぶ。

そして、モータウンのベリー・ゴーディーとの経緯。
ヴァレリーはピアノの前に座り、ニコラスがミュージカル仕立てで語る。
「レイ・チャールズの曲を聴いた彼は(その前にレイの曲"Let's Go Get Stoned"を
レイの物真似も挟み、歌っている)
デトロイトまで来いって直に電話してきて、ファーストクラスのチケットを送ってくれたんだ。
でも、行ってみたら、ちょっと違うってことになって、帰りのエアチケットは自分で買って帰ったんだよ。
その後、モータウンらしい曲を考えて、もう一度、会いに行った。
なかなか会ってくれないんで、ヴァレリーが勝手にピアノで曲を歌いだしたんだ。
そしたら、彼が出てきて・・・」
そこから、マーヴィン&タミーのメドレー。
ここからの歌詞は私もすべて暗唱している。

"Ain't Nothing Like The Real Thing"では、「みんなの声が聴きたいな。」
と客席、左側にマイクを向ける。
右手にもニコラスがやってきた。
思いっきり、"Ain't Nothing Like The Real Thing, Baby~"と3回絶唱。

"You're All I Need To Get By"
ニコラスはマーヴィンとは違うが、オチャメでとても親しみがある。

"Ain't No Mountain High Enough"は、ダイアナ・ロスヴァージョンで始る。
アップテンポで聴きたいと思っていたら、
ヴァレリーがピアノを離れ、二人で踊りながらマーヴィン&タミー版で歌い始めてくれた。
この辺りは鳥肌ものだった。
この時、ヴァレリーの中に私は24歳のタミー・テレルを見た。
「どんな高い山もどんな深い谷も大きな川も君が僕が必要なら越えてみせる
冬の寒さも、風も雨も関係ない。
ただ名前さえ呼んでくれれば、駆けつけてみせるから。」
私もしょっぱなから、そして"The Boss"で、凄まじいテンションになっていたが、
この曲で更に最高潮、ハイテンションでありつつ、マイナスイオンもたっぷり浴びた。
かなりの観客もスタンディング。
ニコラスはほんとに嬉しそうに「いいねぇ、みんな彼らのこと、好きなんだねぇ」
名曲は永遠に残る。
それを歌った歌手の姿も色褪せることはない。
そして、それをこのステージで蘇らせているのは、この曲を作った本人達だ。

とにかく、飽きさせない。
オーディエンスへの目配りが素晴らしい。
ヴァレリーは客席も回り、私の隣にも来て一緒に踊ってくれた。
そして2ショウ続けて見てお花もプレゼントしたというファンを紹介、
楽しそうに歌っていた男性を「彼は私の歌のパートナーね。」と指差す。
私もニコラスを見つめて、ポイントアウト仕合ながら歌ってしまった。

ステージトークも観客全員に配慮して、「長年僕達も連れ添ってきて、いろいろあったけど、
今日、来ている人でそういうカップルもいるでしょ?」
とか、「独身の人はどれくらい来ている?手を挙げて!」
「これはあなた達のための曲よ。」と"Stay Free"

ニコラスも「もっといい曲が書きたい。もっとディープな曲、もっとディープにって思ってきた。
書いても書いても描き足りない。もっと・・・」
と言うと、客席から"Deep!!!"と掛け声。

ルーサーと組んでいたギタリスト、日本に何度も来ているドラムス、
バックボーカルはアシュフォード&シンプソンのニューヨークの店に毎週水曜日に出演しているそうだ。
「いい店だから、ぜひNYに来たら寄ってね。」
「みんな、私達のCD持っている?」
前列の観客たちが見せる。「それもいいけど、新しいのも出したのよ。」とプロモーション。

アンコールは「みんな、スローとファーストどっちがいい?」
ほとんどの人が「ファースト!」と叫ぶが、ニコラスが「スローって言ってる人が
そこにいるんだよね。両方やろうか?」
アンコールはクインシーの"Stuff Like That"だった。
ステージ中央で歌う二人。
ギターとベースとバックボーカルの三人は寄り添ってギグ。
ニコラスがステージからこちらに手を差し伸べてくれたので、伸び上がって握手。

退場の時、私のサイドはA&S以外のメンバー。
バックボーカルのパパイア風の可愛い目をした男性に、「すごく良かった!」
キーボード奏者の女性にも感謝の言葉。
後ろの席の人達もみんな、お礼と賞賛の言葉を掛けている。

とにかく、ファンの観客も、知らないけど来ちゃった観客も全員が心から楽しんでいた。
アーティスト達も最後はハグし合っていたから、彼らにとっても最高のステージだったのに違いない。

もっと聴きたかった、と思っていたら、周りからも「もっとやって欲しかった。」と声が聞こえてきた。
本物のプロ、スタジオミュージシャンのみではない彼ら、
ライブエンターテイナーのショウの真髄を心行くまで味わわせてもらった。
初日に行っていたら、もう一度、行ったと思う。
できれば、最終日の今日も行きたい、そう思わせるライブだった。

ところで、彼らはいくつになるんだろう。
ヴァレイーが60歳くらいでニコラスは65位?
こちらは、2~3曲、バックコーラス(!?)で歌って踊っただけで、息切れするのに、2ショウで4日間。
アーティスト、タフでなければ、やっていけない。
観客に優しくなければ、ファンがついてこない。

意外だったのは、サイン会がなかったことだ。
CDを売り、サインをすれば販売促進にもなる。
ライブで燃え尽きるまで歌い、そしてライブの時のステージの自分達の姿を、
目に刻んでおいて欲しい、そんな彼らの気持ちなのだろうか。