今日の全校集会では「夢」の話をしました。最初に、「夢」をもっている人と聞くと、数名しか手が挙がりませんでした。暗い世相からなかなか夢をもてなくなっているのかもしれません。でも、時代は確実に変化しています。20年前には「夢」のような話でも、今では現実となっているようなこともあります。3次元テレビやテレビ電話などがそうですし、医療器具も格段に進歩しました。その陰には、夢を抱いて果敢に挑戦した人がたくさんおられたはずです。
生徒の皆さんにも、具体的な「夢」をもってもらいたいということで、「宇宙エレベーター」と「iPS細胞」の話をしました。「宇宙エレベーター」は、NHKの番組『10年先も君に恋して』でチラッと出てきましたが、地球の上空10数万kmのかなたにあるおもりの衛星と地球をケーブルで結び、そのケーブルに昇降機を取り付けて宇宙空間に行こうという壮大な計画です。昔は本当に夢物語でしたが、日本で発見されたカーボンナノチューブの登場で現実味を帯びてきているそうです。実際にそれを研究されている学者もおられ、日本にも「宇宙エレベータ協会」なるものができました。この方法だと今の宇宙飛行士のように、特別な訓練を受けない一般の人でも宇宙に行くことが可能になります。また、ロケットより遙かに安全だと言われています。
「iPS細胞」は生命の神秘に関わるものです。これまで人間は腕や足などを失うと再生することは不可能だと考えられてきました。この万能細胞は、人の皮膚の細胞でも、魔法の薬のような遺伝子情報の入った液体を混ぜてやるとリセットされて何にでも変わる細胞になるのだそうです。卵細胞や精子などに変化させれば、人工的に受精卵も作ることができるそうです。また、失われた臓器や手や足など作ることができるようになるのかもしれません。現在、難病治療の新薬の開発や患者の細胞から拒否反応の少ない臓器が作れないかと再生医療にも開発が進んでいるそうです。
10年先、20年先、この世の中はどうなっているのでしょう。そのことを考えながら取り組んでいけば、今は夢のような話でも現実の話となっているかもしれません。「夢」についてご家庭でも話題にされてはいかがでしょうか。