NHKの「日本のこれから」で食の問題をとりあげていた。時間がなくて、書けなかったことを書いておく。この番組では、とりわけ食料自給率が問題とされていたように思うのだが、そもそも食料自給率を上げると国の安全保障上効果があるのだろうか。
余丁町氏が以前書いていた記事にも似たような記述があったが、戦時中でも、終戦間際には、食料不足が心配されていた。戦前は食料自給率は100%に近かったのではないかと思うがどうだろうか。今、日本が戦争その他の要因で、石油などのエネルギー資源、その他の基本的物資が入ってこなくなったとき、農家の人はトラクターなどの農業用の機械を動かすことができるのだろうか、また、輸入に頼る原料から作られる化学肥料などを使わずに食料を生産することができるのだろうか。この辺りはあまり問われていない根本的な疑問である。
もしそういった状態で食料の生産が通常のようにできないとしたら、むしろ食料の備蓄などに力を入れたほうがよいのではないか。スイスでは、小麦の備蓄を確保するため古い小麦でパンを作るらしい。日本でもそういった施策が考えられてしかるべきだと思う。
日本の農業の最大の問題は、一部の例外を除き、国際的に競争力を持たないような産業になってしまったことだろう。(一部では、日本の高品質の米などが海外でも支持されているらしいが、そういった部分がのびていく環境整備も重要かもしれない。)遅まきながら、農家の規模を拡大するような政策がとられているらしいが、こういったことは、農家の人口構成などを見ても、もっと早く取られるべき政策ではなかったかという印象がある。
番組では、農村や農業は日本の文化の基盤の一部だといった発言もあったが、もし文化の保存・振興のため零細な農業を保護していくのであれば、一般の農業予算ではなく、文化予算のようなものでコストをしかっりと国民に示した上でその政策を国民に問うべきだと思う。(もっとも、巨額の財政赤字の存在する国にそんな余裕があるのか、大いに疑問ではあるが・・・)
米の問題がとりあげられると、よく米をもっと食べなさいといった論調になりがちなのだが、これもどうかと思う議論だ。確かに、若者は米を食わなくなっているようだ。焼肉などに行っても、肉だけ食べていれば太らないという若者の話を聞いたことがある。でも、これを他の産業に置き換えてみて、自分の製品を買わないから批判するなどという会社があったら、どう受け止められるか考えるだけ無駄だとおもうがどうだろうか。そういった議論が、競争力のない産業の存在の口実になっていないことを望む。
日本のこれからのサイト:
http://www.nhk.or.jp/korekara/
以前の当サイトの記事:
http://blog.goo.ne.jp/aiubis/e/0af00c57cdedd59c270b27a8745f8533
余丁町氏の関連記事:
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C1310380191/E20051129210703/index.html