本日午後のスポーツビジネス関連報道で大きな話題になっているのが
NPBによる「侍ジャパン」を核とした事業会社の設立。
この報道、日本のプロ野球界のあり方を大きく変える可能性をプンプン感じさせるものです。
⇒こちら(日本経済新聞)
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侍ジャパン関連以外では、これまで残念ながらNPBのあり方に関しては期待感が膨らむものが少なかったように感じます。
例えば、
・球界再編問題以降遅々として進まぬ根本的な構造改革
※パリーグマーケティングの動きは別として
・3.11後の対応のまずさ
・ポスティング制度を巡るゴタゴタ
・統一球問題
などが代表的なものです。
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早い話がMLBの台頭を横目にしながらも、リーグ全体の発展に向けた改革や、その音頭を取るリーダーの不在、
統一球問題に代表されるガバナンスの不透明さに触れるたびにスポーツビジネス関係者は「ガックリ」し続けてきた訳です。
そして、パリーグマーケティングという希望の光が見えつつも、それがNPB全体に広がらない「もどかしさ」も抱き続けてきました。
「もっとさあ、リーグが音頭を取ってさ、各球団が協力し合うようにすればいいのに!」
という声があちこちから聞こえる状態だった訳です(今もそうですが。。。)。
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そんな中、「侍ジャパン」を核にして、いよいよ12球団が合同で収益会社を作るとの報道は、
「いよいよきたか!」
という期待を一気に高めてくれた訳です。
もちろん、この会社ができたからといって、一気にプロ野球界が変わるとは思いません。
(そんなに簡単だったらもう既に変わっているはずなので。。。)
しかし、この報道、具体的には下記のようなNPBにおける仕組みの変化が期待できます。
①各球団の利益ではなく、球界全体の発展に向けた意思統一と組織の誕生
⇒球界全体の方向性の統一が可能に
②収益会社(つまり12球団)をまとめるリーダーシップを持ったトップの誕生
③巨額の収益分配ができれば、各球団よりも統一組織の力の方が大きくなる
つまり、「球団主権」から「リーグ主権」への移行が進みやすくなる事が期待される訳です。
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まあ、そこまで行くには野球協約の改訂とか、NPBの定款変更とか、かなり根本的な土台を再編する必要があるため
まだまだ時間がかかるでしょう。
でも、着実に「大きな一歩」を踏み出した事に間違いはありません。
今回の決定が日本プロ野球の未来を良い方向へと導くためのものになることを切に願っています。
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追伸:そもそも、「NPBはなぜ球団主権になり、コミッショナーのリーダーシップが利かない組織になったのか?」という疑問については
この組織の成り立ちについて書かれた拙稿をお読み下さい。
⇒こちら(福田拓哉(2011)「わが国のプロ野球におけるマネジメントの特徴とその成立要因の研究」立命館経営学第49巻6号, pp.135-159, ※PDF)
また、「じゃあNPBとJリーグだったらマネジメントの仕方がどう違うの?」という疑問については
これまた拙稿で恐縮ですが、下記論文をお読み下さい。
⇒こちら(福田拓哉(2013)「Jリーグのマネジメントに関する研究」立命館経営学第51巻6号, pp.115-134, ※PDF)