ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。
ハーメルンとマルチ投稿しています。

暁美ほむら その四

2015年11月15日 23時21分03秒 | 小説

四周目

 ワルプルギスの夜に敗北した私はあいつを倒す方法を考えていたが、正直言って陽電子砲が効かなかったのは想定外だった。

 しかし、それが分かればその理由は推測できる。

 考えられる可能性は二つ。一つは単純に火力が足りなかった事、もう一つはワルプルギスの夜が純粋な科学兵器ではダメージを与えられないという特性を持っている事だ。

 前者は恐らくないだろう。あの陽電子砲は第五使徒のA.T.フィールドを超長距離からぶち抜けるほどの物だ。それをあんな至近距離からくらってただで済むわけがない。

 そうなると、科学兵器では倒せない可能性が高い。これは別に珍しい事ではない。下位世界の中には神秘や概念などのオカルトの力でないとキズを付けられないという存在はゴロゴロしているし、ワルプルギスの夜はオカルトの塊といっていい魔女だ。それは十分に考えられる。ならば、オカルト系の力を持って攻撃するべきだろうが、残念ながら私はそんな力は持っていない。

 そこで私は無ければ余所から貰えばいいと思いついた。確か監察軍に所属するトリッパーの中には同じトリッパーを助ける為に様々な能力を与えてくれている姫神みこというトリッパーがいると聞いたことがある。彼女に頭を下げて頼むとしよう。

「…というわけでお願いします」
「それは大変ですね。カリンはどう思う?」
「そうですね。確かにそれなら何らかの能力は確かに必要でしょう」

 私は件の姫神みこと、その友人カリン・エレメントとあっていた。二人とも監察軍に所属するトリッパーだ。

「それでどんな能力が必要なの?」
「ランスロット(Fate/Zero)の騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)が必要なのですが、大丈夫でしょうか?」
「騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)か。それぐらいなら問題ないよ。はい、これでその宝具は使えるよ」

 みこの言葉通り私に新しい能力が宿った事がこの身で感じられた。

「どうもありがとうございます」
 と、私はみこにお礼を言っておいた。

 いくら同じトリッパーといえど、世話になったのなら礼ぐらい言うべきですから。

 こうしてワルプルギスの夜を倒す能力は手に入ったが、前回の敗北を繰り返さない為にも念のために保険を掛けておくべきでしょうね。

「この一件で助っ人を頼みたくはなかったのですが、背に腹は代えられないわね」

 

 こうして様々な準備を整えて、私はワルプルギスの夜との戦いを迎えた。これまでの流れは前回と全く同じであった。ワルプルギスの夜が現れると、私は前回と同じように封時結界を展開して陽電子砲を取り出した。ここまでは前回と同じだ。

 しかし、私は騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)で陽電子砲に宝具としての属性を与えた。

 私は前回ワルプルギスの夜に敗北してから神秘を代表する武器として宝具に目を付けたが、残念ながら私は宝具の担い手ではなかった。おまけにワルプルギスの夜のような巨大魔女を相手にするとなると、対人宝具ではなく対城宝具、最低でも対軍宝具が必要になるだろう。

 そこで私は騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)に目を付けた。それはランスロット(Fete/Zero)の宝具で、およそ武器と認識できる物(戦闘機などの現代兵器からただの鉄パイプなど幅広い)を己の宝具として支配下に置くことができる。

 原作ではランスロットは現代兵器であるジェット戦闘機を己に宝具として支配しており、更にその戦闘機に搭載されていたミサイルも遠隔的に宝具化できていた。

 つまりこの能力は神秘の象徴たる宝具でありながら現代兵器と極めて相性がよく、科学が発達してより強力な兵器が開発されるほど、より強力な力を発揮するある意味チートな能力なのだ。

 この能力で陽電子砲を己の宝具にして、ワルプルギスの夜を撃破する

「発射!」

 私の宝具となった陽電子砲から荷電粒子ビームが放たれて、それは見事にワルプルギスの夜の胴体を貫いた。私は会心の笑みを浮かべるが、すぐに表情が固まる。

 どうやら一撃では仕留めきれなかったようで、ワルプルギスの夜はまだ死んではいなかった。やはり、そう上手くはいかないか。

 そのワルプルギスの夜がビルで攻撃を仕掛けてきたので、私は陽電子砲を置いてその場から退避した。当然ながら陽電子砲は破壊されてしまったが、この備えはしていた。

 私やワルプルギスの夜から離れた場所から封時結界内に凄まじい風が吹き荒れた。その中心にいたのは一人の少女だった。青いドレスの上に甲冑を身に纏い、金色に光り輝く剣を持つ少女。

 彼女の名はアルトリア。ほむらと同じ三千世界監察軍に所属するトリッパーだ。そして彼女の持つ黄金の剣こそが、数多の聖剣の中でも最高位に位置する星の鍛えた聖剣。

「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」

 真名解放と共に放たれるすさまじい光の斬撃。それはワルプルギスの夜の全身を包み込み、それを容易く消滅させた。

「これがエクスカリバーですか。A++ランクの対城宝具なのは知っていましたが、本当にすごいですね」

 そう、今回の私は陽電子砲でワルプルギスの夜を仕留めきれなかったときに備えて、アルトリアに助太刀を依頼していたのだ。正直言ってあくまで念のためにすぎなかったのだが、本当に役に立つとはね。まさに備えあれば憂いなしだよ。

「じゃ、ほむら私はこれで失礼するよ」
「はい、ありがとうございます」

 用が終わったアルトリアはその場から転移して引き揚げた。この封時結界内部ならばキュゥべえにもバレないとは思うが、長居は無用なのだ。

 

 戦闘が終わったので、私は封時結界を解除して通常空間に戻った。強敵であるワルプルギスの夜を倒して、後は私の事を心配しているまどかを安心させてやるだけと、心を軽くする。

「ほむらちゃん、無事だったんだね」

 そんな私にまどかが声をかけてくれた。

「ええ、まど…」
 
 私はまどかと言いかけた所で言葉に詰まった。それだけ目の前の光景が信じられなかった。まどかが魔法少女に変身していたのだ。

「あっ、ほむらちゃん私ね、魔法少女になったんだよ」
 と、微笑むまどかに私は表情が固まってしまった。

 そんな私にキュゥべえが近寄ってきて、
「へぇ、まさかあのワルプルギスの夜に勝つとは思わなかったよ。あの正体不明の結界といい本当に興味深いね」
 と、ぬけぬけと言って来た。

 甘かった。ワルプルギスの夜との対決に集中するあまり、こいつから注意をそらしてしまった。どうせ、こいつはいつもの様に言葉巧みにまどかを騙したのだ。いつもそうだ。こいつの所為で…。

 私が手に入れた暁美ほむらの記憶でも、こいつの所為でまどかは散々な目にあっている。

「キュゥべえーー!!」

 私は怒りのあまりブラスター(レーザー式の拳銃)の引き金をキュゥべえに向けて引いた。

 


4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
駄文 (ADONIS)
2013-08-31 21:39:49
ほむらが必死に頑張ってワルプルギスの夜を撃破しましたがKYなキュゥべえによって台無しになりました(汗)。
後、この時代は第一次ベヅァー戦争の百年以上前で、この時期の姫神みこは監察軍に所属して他のトリッパー達と親しくしていました。
返信する
Unknown (yamamon)
2013-08-31 23:33:56
乙です。

途中まではうまくいっていたんですがねえ。
またループか。
アルトリアさんの助けを何度も借りるわけにもいかないし、
どうしましょ?

いっそのこと、フラグーンの移植とか、魔法少女を人間に戻す技術の開発でもできれば楽なんですが。
返信する
感想 (目玉)
2013-09-01 09:21:22
もうこうなったら、まどかを観察軍に拉致監禁でもすればいいんじゃないかな。そのあと地球上にいるきゅうべえを何らかの方法で皆殺しにすればいい。
返信する
返信 (ADONIS)
2013-09-02 00:37:14
>yamamonさんへ
ほむらは次もアルトリアの力を借ります。
それとフラグーンの移植は機密保持の関係で無理ですね。

>目玉さんへ
今回の失敗から次回のほむらは手段を選ばなくなります。
返信する

コメントを投稿