ADONISの手記

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ザビーネ・クライバー その三

2015年11月15日 23時08分04秒 | 小説

 三千世界監察軍。数多の下位世界を行き来して、各世界の知識を技術を収集している巨大組織。その活動から各世界の情報・知識・技術が伝わっていくのだが、文化なども入ってくる事も多い。例としてはその土地の郷土料理や民族衣装など。それらの中で固有の組織が伝来されるという珍しい例もある。

 MMM。日本語で“もっともっとメイドさん”というコスチューム愛好組織がそれだった。元々はとある世界にトリップしたトリッパーがメイドにハマリ、それを監察軍に広めたのが始まりとされている。

 実はトリッパーには元オタクが多い。それだけにメイドにはまる者もそれなりにいて、MMMは順調に勢力を拡大していった。それは、このTYPE-MOONの世界でも例外ではない。これはメイドを愛した漢の物語である(嘘です。ごめんなさい)。

 

 アルクェイドが目障りな真祖を滅ぼした為に自由に動けるようになったザビーネは、監察軍からの支援を受けて香辛料などを取り扱う商売を大々的にやって商会を作り上げていた(現在でいう大規模な企業グループの様な物)。

 香辛料というのは、この時代の欧州では貴重品な為、売れば言い値で売れるという凄い状況です。勿論、監察軍では香辛料など二束三文で手に入るので、それほど元手が掛からない。

 さて、そうして集めた莫大な財産を使って私がやっていることはヅバリ人身売買です。

 この時期奴隷というのは意外に多く、貧しい農村だと飢饉の際に身売りする者は結構いたので、10歳以下でそれなりに美少女に育ちそうな子供を買い取っていた。10歳以下なのは、教育に掛かる時間も考えて、それぐらいが丁度良いと判断したからだ。

 その他にも孤児院の運営、つまり身寄りの無い子供もしくは親が経済的に子育て出来なくなった子供も養っている。孤児院は福利厚生という意味もあったが、やはりメイドの養成というのが大きい。実際、奴隷として購入した子供だけでなく、孤児として引き取った子供でも美少女メイドの才能が有りそうな者は全て全寮制の家政学校に送っていた。

 この家政学校では徹底したメイドとしての教育(調教)が行われており、MMMに相応しい優秀なメイドを育てていた。こうしてザビーネはある程度纏まった数のメイドを手に入れた。

 ちなみにMMMでも私のこのやり方は賛否両論があります。この世界は貧しい子供が多いから、餓死や娼婦に身を落とさせるぐらいならメイドとして育てた方が良いという賛成派と、職業の自由を侵害しているという否定派だ。

 監察軍で作られたMMMは、メイドロボもメイドと見なすという、これまでの常識を覆る変革をしている。

 前世の地球ではアンドロイドのメイドなど実用化されておらず、サブカルチャーの中だけの存在でしかないため、検討すらされなかったが、このMMMにはメイドロボでいいという者もいれば、人間の娘だからこそ良いのだという者もいる。

 ザビーネは生前メイドがそれなりに好きで、メイドが出てくるエロゲーをやったこともあるが、現世では女性の快楽を楽しむため自慰だけでなく異性同性問わず気に入った相手と色々遊んだ。

 そんな試行錯誤の結果として、相手が男性よりも女性の方が楽しめる事が分かったので、最近は百合にはまっている。複数乱交のメイド天国を堪能しています。

 

 生命の死に絶えた世界。その世界には人間がいたものの、過去に地球上の全生命体が死に絶えてしまった。現在では新たなる神がいるだけの世界。そこに異世界の者達が次々と移り住んでいった。

 そこに住む者達は、全員が白人の外見をしていたが人間ではない。真祖と人間のハーフであるザビーネと、それに仕える百五十人もの死徒だ。

 この土地はこの世界の中でも有数の霊地で、ザビーネはここにクライバー城を空想具現化で建築していた。

「ザビーネ様」
「どうしたのクレア?」

 そこにいたのは十代後半の美少女メイドのクレア。クレアはこの城に配置されたMMM所属の第八装甲猟兵侍女中隊の大尉(ハウスキーパー)。

 ちなみにMMM会員となっているトリッパーでも『まぶらほ』のように中隊単位でメイドを雇っている者は稀で、大半の者が数人程度のメイドしか雇っていないが、ザビーネはその数少ない例外の一人である。

「管理者の方が此方に訪ねられています」
「また彼が? まぁいいでしょう」

 ザビーネは面倒だが、一応“彼”に会うことにした。

「ザビーネさん、お久しぶりです」

 14歳ほどの気弱そうな少年が私に話しかけてきていた。

「碇、昨日あったばかりだよ」

 実際この少年碇シンジは毎日会っている。というよりも毎日私達の所に訪ねてくるのだ。

「そうだね」
「まあ、いいですけどね」

 毎日のように訪ねてくるのはちょっと困るけど、彼の事情を考えるとあまり強く言えない。碇はサードインパクトで生命の死に絶えたこの世界で神となった。サードインパクト直後にアスカがL.C.L.になってしまったので一人だけで過ごしていた。

 そんな状況で私達がこの世界にやってきたから孤独を辛く思っていた彼が私達に関わってくるのも仕方がない。

 監察軍は様々な異世界に干渉できる。そんな中でザビーネがこの世界を本拠地に選んだ理由は、魔術基盤があり魔術を問題なく使用できること、天敵がいないこと、食料の調達が容易であること等だった。

 調査の結果、この世界に沢山あるL.C.L.は人間の血の代用品になることがわかった。『新世紀エヴァンゲリオン』のL.C.L.は生命のスープなのでそれも納得出来る。死徒にはこの上なく良い環境だったから、この世界に移住していたのだ。

 元々MMMの中でも、ザビーネは不老長寿のメイドを好んていた。これは今の自分が馬鹿みたいに長く生きられるから、普通の人間だとすぐに老いてメイドとして使えなくなるからだ。それにザビーネにとってメイドは十代前半~二十代前半までが許容範囲というのもあった。

 他のMMMの会員は人並みの寿命しかない者が多いから、メイドの老いには気にしない者が多い。メイドは歳を取ればメイドを引退するし、そうなれば新しいメイドが補充される。

 しかし、ザビーネは気に入ったメイドが歳を取るのが我慢ならなかった。だから片っ端から死徒にしていった。

 並の死徒の場合、吸血しても余程の才能がない限りそう簡単に相手が死徒にはならないが、真祖でもあるザビーネが吸血すると確実に死徒になる。この辺りは普通の死徒とはスペックが違う。

 ザビーネは大体メイドを十代後半で死徒にするので、ザビーネに仕えるメイドは歳を取らず長き時をザビーネに仕え続けるのだ。

 そんなわけで、この世界はザビーネにとって安住の地となっていた。

 邪魔な聖堂教会も魔術協会も存在せず、私の配下以外の死徒もいない。自分と忠実なメイドたちとの落ち着いた生活。

 唯一の不確定要素が碇シンジだ。シンジは私の部下でもなければ、何の力もないただの人間でもない。

 でも、シンジを排除するわけにもいかない。神となっているし、可能であってもそれをするとこの世界にどんな影響が出るか分からない。だからシンジに関しては不干渉というスタンスを取っているのだが、当のシンジの方から私達にやたらと接触してくる。煩わしいが、蔑ろにするわけにもいかず、適当に付き合っていた。

 因みにシンジには私のメイドに手を出さないようにいっている。こいつって実は結構ムッツリだったりするから釘を刺して置かないと、私のメイドハーレムに悪影響が出かねない。

 まあ、最悪手を出されてもそのメイドにお仕置きする口実になるし、そもそもメイドは全員死徒で、死徒は既に死んでいるので肉体関係になったとしても妊娠しない。だから後腐れはないが、愉快な事でもないのでそれは避けたい。

 折角苦労して作り出した私のメイドハーレム。他人に荒らされたくないし、そもそもハーレムに他の男は無用です。

 そういえばSSとかではスーパーシンジとかが幅をきかせていたけど、このシンジは過去に戻ったりしないらしい。というよりも過去に戻るというのは出来ないとのこと。

 よくSSとかで逆行が多いから錯覚しがちだが、確かに原作には時間移動の能力があるとはされていないからできなくてもおかしくない。SSの影響を受けて本来の設定に先入観を持っていたようだ。

 

「それで今日はなんのようですか?」

 内心の苛立ちを隠して笑顔で対応する。以前シンジはこの城に住みたいという話しをしていたが、私がやんわりと断っている。

「一つ屋根の下で家族でもない男女が一緒にいるのはどうか?」
 と、言うとさすがにシンジも反論できなかった。

 はっきりいって、シンジを私の城に住まわせるなど冗談ではない。とはいえ、よくこの城を訪問してくるからあまり意味がないけどね。城で寝泊まりされないだけマシか。

「うん、ちょっと話しをしにきたんだ」
「そうですか」

 話しといわれても他の人間が死に絶えたこの世界では話題というのは乏しい。何しろ目新しい事などほとんどない。ましてシンジは元々人付き合いが苦手な少年だ。話題には困るだろう。

 退屈か。確かにこの世界は退屈だ。私はメイド達と乱交したり、魔術の研究をしたり、魔術礼装を作ったりして、いろいろと暇つぶしをしているが、それでも退屈を感じる事は多い。

 なまじ人間としての記憶があったから、最初の二百年辺りはそう感じることが多かった。それもある程度時間が経つと逆に開き直るけどね。

「そういえば、最近異世界からこの漫画を仕入れたわ」

 話題がなければ仕入れればいい。異世界のことを話したりして時間を潰すか。この日は異世界から仕入れた漫画を見ながらそれの感想を話し合って時間を潰した。

 

解説

■MMM(もっともっとメイドさん)
【まぶらほ】本編のパラレルワールドであるメイド編で登場するコスチューム愛好組織。何故か監察軍のトリッパーはサブカルチャーが大好きという者が多いので、メイド好きという者もそれなりにいる。というよりも、メイドはサブカルチャーでは萌えのジャンルの一つとして確立している。監察軍やブリタニア帝国に存在するMMMはまぶらほの元祖MMMとは直接関係が無く、あくまでその影響を受けたメイド愛好者達が創立した組織にすぎない。この新たなるMMMは人間のメイドだけでなく吸血鬼などの人外やアンドロイド(通称メイドロボ)なども受け入れられている。MMMの会員はメイド好きという面では同じであるが、細かい好みの違いというのがある。人間のメイド派、人外のメイド派、メイドロボ派などメイド本人の種類。パンティーストッキング派、ガーターストッキング派、ハイソックス派。というようにメイドの細かい好みなどが分かれていてMMM内では議論の対象となっている。ちなみにザビーネは人外メイド派+ガーターストッキング派。

■碇シンジ
『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公。サードインパクトで全ての生命がL.C.L.になってしまった世界で一人孤独に過ごしていたが、ザビーネ達が移住してきたので彼女たちに関わるようになる。このSSでのシンジは時間逆行やら並行世界に対する干渉などはできないので、この世界で大人しく過ごしている。たまにザビーネやメイド達に欲情して胸を見たりするが、相手にされていない。ザビーネとメイド達は百合に染まっているので、唯一の男の筈だがもてる訳ではない。

 


2 コメント

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コメント (目ん玉)
2010-01-11 11:27:43
シンジがウゼー、なんかそのうち問題起こしそう。それはともかくこれからもがんばってください。
Unknown (通りすがり)
2010-01-12 01:23:23
監察軍のこと教えてやればいいのにと思うんですが。そうすりゃそっちのほうにいくかもしれないし。あ、でもそうするとこの世界がどうなるかわからないのかな・

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