2月20日の記事「オオサンショウウオに交雑の恐れというが・・・」
に、昨日猫目石さんという方からコメントをいただいた。
返答を書いていたら長文になってしまったので、新しく記事を立てることにする。
猫目石さん、コメントありがとうございます。
ウォルフィンのことは初めて知りました。そういう事例もあるんですね。
調べてみましたが、これは、昔阪神パークにいたレオポンに近いものですね。自然界ではおそらく滅多に生じないケースでしょう。
奇形というのは、一般に、姿形が異常であることを指します。
交雑種を奇形種と呼ぶことには違和感を覚えます。
おっしゃるように、交配可能であるからといって、生物学的に同じ種であると認められているわけではありません。
ただ、交配可能であるかどうかという点も、種を決めるに当たっての重要な要素の一つでしょう。それに形態や生態や分布といった要素が加わるのでしょう。
で、交雑が可能であるということは、その生物はそういうふうに出来ているわけです。それを人間の妙な観念で、異種間の交配は交雑だ、異常事態だと見ることを、私は疑問に思うわけです。
そもそも、種とは何でしょうか。
生物を分類する上での基本となる単位ですよね。
では、生物の遺伝子上に、「オオサンショウウオ」、「チュウゴクオオサンショウウオ」といったラベルの役割を果たすようなものが存在するのでしょうか。それが両者の交雑種なら「オオサンショウウオ+チュウゴクオオサンショウウオ/2」に変わるとか。
そういうものではありませんよね。
種とは、人間が生物を分類する上で、便宜的に定めたものにすぎません。
だから、人間の考え方次第で、別々の種だと考えられていたものが同一種になったり、またはその逆になったり、亜種が種になったり、属や科が統合されたり新設されたりする。生物の個体自体は変わらないのに。
そんなものにこだわることにどれほどの意味があるのか、と思うわけです。
オオサンショウウオについて言えば、おそらくはもともと同種だったものが、中国と日本とで隔離された結果、それぞれ独自の形質を備えるに至り、DNAも多少は変化したのでしょう。
しかし、もとは同種で、近縁だから、交雑が可能なのでしょう。
私が先の記事で、
《交雑が可能ということは、遺伝的に同種だということではないのかな?》
と書いたのは、そういう意味です。
ニホンザルとタイワンザルについても、同様のことが言えるでしょう。
交雑種があまりにも強い種になりすぎて、他の生物への影響が懸念されるといった話ならわかりますし、そうした面での注意は必要でしょう。
しかし、既存の分類による種が生物のあるべき姿で、交雑種はあってはならない存在であり排除すべきだという考え方に、私は違和感を覚えるのです。
例えば、「大阪サンショウウオの会」という団体のホームページを見ると、このチュウゴクオオサンショウウオの問題について、
《生態が似ており、互いに駆逐しあったり交尾したりする危険性がある。西日本各地の川でも見つかっており、専門家は京都府などに対し、駆除などの対策を早急に取るべきだと訴えている。》
《松井教授は「日本のオオサンショウウオと交尾すれば特別天然記念物に遺伝子汚染が広まる危険性が極めて高い。行政は責任を持ってチュウゴクオオサンショウウオの実態を早急に把握し駆除する必要がある」と訴える。》
とあります。
日本のオオサンショウウオは固有種であり特別天然記念物であるから保護しなければならないが、チュウゴクオオサンショウウオは「遺伝子汚染」をもたらすから早急に駆除せよというのです。
しかし、チュウゴクオオサンショウウオは日本のオオサンショウウオに外見はかなり似ていますし、生態もおそらく同様だと思われます。そのような似通ったものを、一方は保護し、一方は駆除するという。自然保護を訴える人々からそうした意見が出ること自体、私には不可解です。
また、実際に駆除が容易とも思えません。正確に区別できるものでしょうか。一体一体DNA鑑定しろとでもいうのでしょうか。
そんなことよりは、日本産であれ中国産であれ、オオサンショウウオが生息していける環境を維持していくことに力を入れる方が、よほど建設的だと思います。
に、昨日猫目石さんという方からコメントをいただいた。
返答を書いていたら長文になってしまったので、新しく記事を立てることにする。
猫目石さん、コメントありがとうございます。
ウォルフィンのことは初めて知りました。そういう事例もあるんですね。
調べてみましたが、これは、昔阪神パークにいたレオポンに近いものですね。自然界ではおそらく滅多に生じないケースでしょう。
奇形というのは、一般に、姿形が異常であることを指します。
交雑種を奇形種と呼ぶことには違和感を覚えます。
おっしゃるように、交配可能であるからといって、生物学的に同じ種であると認められているわけではありません。
ただ、交配可能であるかどうかという点も、種を決めるに当たっての重要な要素の一つでしょう。それに形態や生態や分布といった要素が加わるのでしょう。
で、交雑が可能であるということは、その生物はそういうふうに出来ているわけです。それを人間の妙な観念で、異種間の交配は交雑だ、異常事態だと見ることを、私は疑問に思うわけです。
そもそも、種とは何でしょうか。
生物を分類する上での基本となる単位ですよね。
では、生物の遺伝子上に、「オオサンショウウオ」、「チュウゴクオオサンショウウオ」といったラベルの役割を果たすようなものが存在するのでしょうか。それが両者の交雑種なら「オオサンショウウオ+チュウゴクオオサンショウウオ/2」に変わるとか。
そういうものではありませんよね。
種とは、人間が生物を分類する上で、便宜的に定めたものにすぎません。
だから、人間の考え方次第で、別々の種だと考えられていたものが同一種になったり、またはその逆になったり、亜種が種になったり、属や科が統合されたり新設されたりする。生物の個体自体は変わらないのに。
そんなものにこだわることにどれほどの意味があるのか、と思うわけです。
オオサンショウウオについて言えば、おそらくはもともと同種だったものが、中国と日本とで隔離された結果、それぞれ独自の形質を備えるに至り、DNAも多少は変化したのでしょう。
しかし、もとは同種で、近縁だから、交雑が可能なのでしょう。
私が先の記事で、
《交雑が可能ということは、遺伝的に同種だということではないのかな?》
と書いたのは、そういう意味です。
ニホンザルとタイワンザルについても、同様のことが言えるでしょう。
交雑種があまりにも強い種になりすぎて、他の生物への影響が懸念されるといった話ならわかりますし、そうした面での注意は必要でしょう。
しかし、既存の分類による種が生物のあるべき姿で、交雑種はあってはならない存在であり排除すべきだという考え方に、私は違和感を覚えるのです。
例えば、「大阪サンショウウオの会」という団体のホームページを見ると、このチュウゴクオオサンショウウオの問題について、
《生態が似ており、互いに駆逐しあったり交尾したりする危険性がある。西日本各地の川でも見つかっており、専門家は京都府などに対し、駆除などの対策を早急に取るべきだと訴えている。》
《松井教授は「日本のオオサンショウウオと交尾すれば特別天然記念物に遺伝子汚染が広まる危険性が極めて高い。行政は責任を持ってチュウゴクオオサンショウウオの実態を早急に把握し駆除する必要がある」と訴える。》
とあります。
日本のオオサンショウウオは固有種であり特別天然記念物であるから保護しなければならないが、チュウゴクオオサンショウウオは「遺伝子汚染」をもたらすから早急に駆除せよというのです。
しかし、チュウゴクオオサンショウウオは日本のオオサンショウウオに外見はかなり似ていますし、生態もおそらく同様だと思われます。そのような似通ったものを、一方は保護し、一方は駆除するという。自然保護を訴える人々からそうした意見が出ること自体、私には不可解です。
また、実際に駆除が容易とも思えません。正確に区別できるものでしょうか。一体一体DNA鑑定しろとでもいうのでしょうか。
そんなことよりは、日本産であれ中国産であれ、オオサンショウウオが生息していける環境を維持していくことに力を入れる方が、よほど建設的だと思います。
野生生物や生息環境を守る事を第一に考える人と、その地域の元々の生態系を守る人との考え方の違いです。
生態系を第一に考えている人にとっては、元々の生態系を破壊する存在と考える傾向があります。
外来種や交雑種が生態系に、好悪関係無く影響をもたらさないなら放置。
影響有りなら生態系を守るために、駆除を考えるわけです。
後、どこにどんな影響が出るか分からないので問題が起こる前に駆除という事もあります。
似てると同じは、違います。
実際、近い種類だからと考えると問題が起こるケースがあります。
タイワンリスなんかがいい例です。
冬場、餌として木の皮を剥ぎ取って食べるために木が枯れれしまい結果として森を破壊してしまいます。
http://7island.dip.jp/info22.html
またニホンリスより体が大きいので、二ホンリスが絶滅する原因になるかもしれないと考えられています。
また遺伝子的のも生物学的にも完全に同一の種でも、地域によって別の生物にしか見え無い事もあります。
かなり極端ですが鮎を例に取ります。
http://www.kurisan.jp/koramu/ayu.htm
このページを見ると大鮎とコアユが同じ生物だと判りますが、地域格差により異なる点もあります。
鮎の稚魚は、海である程度成長してから川に戻りますが琵琶湖産のコアユの稚魚は、海に入ると死にます。
交雑種は、なにが起こるか分からない点があります。
ホンハブとタイワンハブの交雑種は、個体差が大きくコブラより毒性が強いものも確認されています。オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオが交雑してもここまで危険な生物になるとは思いませんが。
少数の個体が各地域に分散しますと
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E4%BA%A4%E4%BF%82%E6%95%B0
近交係数が破滅的に悪化します。
http://www.tajima-portal.com/kounotori/yaseifukki/index.html
コウノトリの破滅などが適切な例と考えます
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2592887/4035719
同じようなケースは人間でも発生します。
残念ながら、日本のオオサンショウウオでは地域によっては近交係数が破滅的に悪化している恐れがありますので。
交雑種の増加はむしろ有意義かも知れませんね。
そうですね。トキの絶滅に際しても、国産にこだわらずに外国のトキとの交雑を試みるべきではなかったかとの反省の声があったことを思い出しました。
日本純血種のオオサンショウウオにこだわり続けていては、同じ結果になるかもしれませんね。
「人間でも発生する」点については、わが国にとっても人ごとではないような気も……。
そもそも遺伝学では系統が異なる個体間交雑から得られる子を雑種と呼びます。その場合多くは不妊です。
レオポン(父親ヒョウ、母親ライオン)どうしでは子はできません。ラバ(父親ロバ、母親ウマ)とケッティ(父親ウマ、母親ロバ)は不妊です。
それに対してウォルフィンは子供を作ります。それは生物分類上はイルカとクジラに差はないからです。
実際ウォルフィンは子を作りました(イルカとですが)。
大学への基礎数学-雑記帳2005.4.17の記事より
(http://kisosuu.cocolog-nifty.com/zakki/2005/04/post_0750.html)
>レオポンに近いものですね
と書いたのは、閉鎖された飼育環境の下で生じた特殊なケースであって、自然界では滅多に生じないだろうと考えたからですが、人為的に交配させたレオポンと、偶然の産物であるらしいウォルフィンは確かに別物ですね。
そして、レオポン同士では子はできないが、ウォルフィンは子を作るといった話は今回初めて知りました。ありがとうございます。
ヒョウとライオンよりオキゴンドウとイルカの方が近縁だということなんですかね。
検索してみたら、野生でもクジラとイルカの交雑の可能性が指摘されるケースがあるんですね。
http://www.asahi.com/tech_science/update/0910/OSK201309100006.html