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蓮池薫氏=拉致未遂犯説に好意的な荒木和博

2006-12-27 23:59:14 | 珍妙な人々
 『週刊現代』の蓮池薫氏=拉致未遂犯報道について、特定失踪者問題調査会の荒木和博会長が、同調査会のニュースとして見解を発表したと自分のブログで述べている。
 私の見るところ、やや『週刊現代』や横井邦彦氏に好意的過ぎるように思う。拉致被害者の支援者的立場の人物からこのような見解が出てくるのは大変意外だ。
 同調査会での荒木の活動に特に異を唱えるつもりはないが、金完燮『親日派のための弁明』の訳者としての解説や、近著『内なる敵をのりこえて、戦う日本へ』に見られる感覚には、危ういものを覚えていた。

 荒木は、拉致被害者が日本に戻っていた可能性はあるかという問いには、あると答えざるを得ないとしている。その例として、よど号グループの1人の妻にさせられた女性が日本に一時帰国していたことを挙げている。
 その点には私も異論はない。拉致ではないが、洗脳されてやはりよど号グループの妻となった八尾恵も、同様に日本に帰国して活動していた。

 しかし、次のように述べている点には同意できない。

《ご本人のブログなどを見る限り、横井氏の証言に妄想と思われるようなところはありません。左翼は左翼ですので、私自身は思想的に相容れないところがありますが、北朝鮮に対しては非常に厳しい見方をしており、見解の違いは別にして冷静な分析であるように思います。蓮池氏には政府(対策本部事務局)を盾にするのではなく、やはり本人がマスコミの前に出て可能な限り真実を明らかにする必要があるのではないでしょうか。》

 私は、横井氏の話は妄想か創作の産物だと思うし、冷静な分析などとはとても思えない。
 荒木は、横井氏が言うように、北朝鮮が、86年という時期に、社労党などという新左翼の残党の一個人を招いて、田宮高麿に代えて、100人にのぼるという在朝日本人のリーダーに据えようとしたなどと、本気で考えているのだろうか。
 もしそうだとしたら、特定失踪者問題調査会への見方も、改める必要がありそうだ。

 横井氏や『週刊現代』や荒木が言う、蓮池氏に真実を語れという主張が悪質なのは、たとえ蓮池氏がマスコミの取材を受けたとしても、そうした事実がなかったということを蓮池氏が証明するのは極めて困難だからだ。
 やっていないということを証明するのは大変難しい。だから、普通は「やった」と主張する側に挙証責任がある。
 しかし、横井氏は自分のブログの「証明はできません」という記事(この記事は現在読めなくなっている)で、自ら証明はできないことを明らかにしていた。
 横井氏に証明を求めずに一方的に信頼を寄せ、蓮池氏に真実を語れと迫る『週刊現代』や荒木の論法は大変卑劣である。

 横井氏は自分のブログホームページで「われわれ赤星マルクス研究会」と名乗る。赤星マルクス研究会は、ブントの流れを組む、社労党(社会主義労働者党)のさらに後身である、林紘義らの「マルクス主義同志会」とたもとを分かって独立したのだという。しかし、「現在は一人で会を自称しています」ともホームページで述べている。ならば、「われわれ」とは一体何なのか。ハッタリか。ホームページには「マルクス主義同志会」に対する愚にも付かない批判がウダウダと。
 彼のホームページやブログの文章を読む限り、左翼とかそういったこと以前に、「冷静な分析」が可能な人物だとはとても思えないのだが。

 思うに、横井氏の主張は、革マル派による97年の神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)が冤罪であるという主張や、最近では植草一秀教授が痴漢で逮捕されたのが権力の陰謀であるといった主張と同様の、珍左翼(注)の珍説にすぎないのではないか。


珍左翼・・・たしか呉智英の造語。出典は失念。旧左翼から新左翼が生まれ、さらにそのなれの果てが珍説を開陳するしか能がない珍左翼、という話だったかな。呉自身の主張からも最近は聞かない。


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