無責任の極み

2011-12-27 14:44:38 | 法科大学院関連
法科大学院制度の再検討について,ロー進学希望の人は,全然気にする必要はないと思います。新しい制度を作るのも大変ですが,既存の制度を壊すのは遥かに大変です(既存の勢力の利益保護の問題も出てくるからです。激しい抵抗が想定されます)。2,3年で結論が出るような問題ではないですし,もはや「死に体」の民主党に利害調整する力なんて,はなからありません。余計なことに気を遣って,チャンスを失う方が現時点では損失が大きい。

更に言えば,法曹になるために使えるチャンスは全て使うべきであり,予備試験制度と法科大学院制度の双方を共に使うべきです。悩んで「何もしない」,というのでは何も生み出しません。「悩んだらGO!」が成功の原則です。

しかし,よく分からないのが,「合格率が低迷しているので」という理由付けが良く使われている点です。では,合格率さえ高ければ,現行制度でも良いということなのか。単純にそういう問題なんだろうか。ならば法科大学院の定員を減らして,合格率を上げればそれで十分なんだろうか。

弁護士会などが反対する理由と,制度の再改革を目指す勢力は,同床異夢のような気がします。弁護士会はとにかく合格者数を減らしたくて仕方がない。法科大学院制度は,3000人合格と密接に関連しているので,法科大学院制度を崩壊させたいというのが弁護士会の狙いになってきていると思う。しかしマスコミ等の「合格率の低迷」を理由に再改革を言う人たちは,そうではないように思える。むしろ増員路線維持派である。

法科大学院が養成機関として当初の期待に応え切れていないという問題(だから合格者数を減らせ)と,法科大学院に入れば高い合格率が期待できるはずなのに現状そうではないという問題(だから合格率を上げるようにしろ)では,制度改革を主張する出発点がかなり違うと思う。おまけに増員路線については,「就職難」という外部的要因も弁護士会が強く主張しており,正直,問題点の指摘から理由付けから,何から何までがゴチャゴチャである。

高い合格率が何よりも大事なのか(そしてその達成方法は様々考えられる),人数の問題なのか(多いほうが良いのか,とにかく減らしたいのか),拠って立つ立場によって問題に対する意識の度合いが全然違うように思える。一致しているのは「現状よろしくない」という抽象的な総論だけであり,その「よろしくない」の中身すら既に違う。まとまるとはとても思えない。
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