新・エンゲル係数

肥満と痛風に悩まされながらも新鮮な食ネタを捜し求めて・・・

日経ヘイキンズの戦いぶりを“解説”

2017年02月11日 | 気になるネタ

     

3月開幕の野球の世界一決定戦・WBCを前に、日米をはじめとする各国の人気選手の調整具合に注目が集まっているが、投資家たちは、ちょっと趣の違う“球団同士”の戦いぶりに注目していた──。

◆下位打線に世界最大手

 日本の投資家の間で“13チーム目の人気球団”が生まれたのは1年ほど前のことだ。その球団名は「日経ヘイキンズ」。

 日経平均が年初から5営業日連続で下落した2016年1月8日、あるネットユーザーが〈日経ヘイキンズ 開幕5連敗〉とつぶやいたのがきっかけで、球団が“創設”された。以来、日経平均株価が前日終値より上昇すれば「勝ち」、下落すれば「負け」──といった具合に日経平均の値動きを野球にたとえるネット上の書き込みが相次ぐようになったのだ。

 2017年の日経ヘイキンズは、開幕戦(大発会)を479円高というこの20年なかった大勝で白星スタート。しかし、その後は勝率5割をキープするのがやっと。ファン待望の2万円突破を前に足踏み状態が1か月続いている──。

 こんなふうに表現すると、株価上昇を願う投資家たちは応援により熱が入るし、景気動向が“とっつきやすい言葉”に変換できる。その手法に倣って本誌・週刊ポストは今回、米国の「ダウ平均株価」でチーム結成を試みた。専門家の助けを借りながら「NYダウズ」と日経ヘイキンズの戦いぶりを“解説”することで、世界経済の先行きがよりわかりやすく見えてくるのではないか──という仮説である。

 まず、NYダウズの強さの理由をフィスコの株式・為替アナリストの田代昌之氏が解説する。

「日経ヘイキンズは225人の選手(銘柄)のいる大所帯ですが、ダウズは支配下選手がわずか30人の少数精鋭チーム。しかも波に乗っている選手をトレードやFAで集め、どんどん選手を入れ替えるのが強さの秘訣です。最近では、2015年に年俸(時価総額)世界最高のアップルを加入させる大型補強が話題となりました。堅調な経済情勢などを背景に、連戦連勝を続けています」

 最近のダウズの好調の背景には、新オーナーであるドナルド・トランプ大統領の経済政策への期待がある。オーナー着任5日後の1月25日には史上初となる2万ドルを突破した。

 そんなダウズのスタメンを選ぶとしたら、どんな顔ぶれになるのか。日経平均やダウ平均などの株価指数は、構成銘柄の「寄与度(構成率)」に差がある。その値動きがチームの勝敗に直結する寄与度の高い銘柄を中心に、オーダーを組んでみた。

不動の4番は金融大手のゴールドマン・サックスだ。

「球団への貢献度(寄与度)はナンバーワン。トランプ大統領の就任以来株価は上昇し、230ドルを超えている。金融の規制緩和とアメリカの金利正常化による利ザヤ確保など“甘い球”がどんどん投げ込まれそうで、ホームラン量産も期待できます」(カブ知恵代表・藤井英敏氏)

 背景としては、トランプ氏の“組閣”で財務長官に元ゴールドマン・サックスのスティーブン・ムニューチン氏が指名されたことが大きい。ダウズの牽引役である。

 3番としてクリーンアップの一角を担うのは、2015年に大物ベテラン選手・AT&Tとのトレードでダウズ入りしたアップル。若さとスマートさで若者を中心に世界中にファンを持つ。ただし、オーナーのトランプ氏に中国工場での製造を批判され、一時株価が下落するなど、好不調の波がありそう。今後、ワンマンオーナーと折り合いをつけられるかが活躍のカギだ。

 長打力と勝負強さが求められる5番には航空機メーカー世界最大手のボーイングが座る。トランプ氏がライバル社・ロッキード製「F-35」の調達見直しに言及。ボーイングにもチャンスが回ってきそうだ。

「新興国を中心に飛行機の需要が爆発的に伸びることが予想されます。ベテラン選手ですが、まだまだ衰えは見えません」(藤井氏)

 1番は俊足のナイキ。世界最大のスポーツ用品メーカーもベテランながら成長途上。今年のテニスの全豪オープン(1月16~29日開催)決勝がフェデラー対ナダルの“ナイキ対決”になるなど、存在感は抜群だ。

 2番を打つのはウォルト・ディズニー。『スター・ウォーズ』シリーズなど確実にヒットを打つ堅実さに加え、時に『アナと雪の女王』のような特大ホームランも放つから怖い。

「変幻自在の曲者で、相手投手は気が抜けない。こうした独創性があってユニークな選手がいるのもダウズの強さでしょう」(田代氏)

 藤井氏もディズニーをこう高く評価する。

「動画配信チャンネルが伸びていて、傘下であるアメリカのスポーツ専門チャンネルであるESPNの登録者が増えている。業績の柱が増え、足腰はさらに強くなって株価は上げ潮です」

6番を打つ石油メジャー最大手のエクソンモービルは、元会長のレックス・ティラーソン氏がトランプ政権の国務長官に抜擢されたことも、強力なバックアップになりそうだ。

「オーナーのトランプ氏は原油などエネルギー関連を成長産業に位置づけているので、エクソンモービルにとっては大きな追い風です」(田代氏)

 下位打線に入っても、原発から金融事業まで手がける世界最大のコングロマリット(巨大企業複合体)であるゼネラル・エレクトリック(GE)が7番に控えているのだから、ダウズの層の厚さは凄まじい。

「唯一残る、チーム発足時(1896年)からの生え抜きメンバー。かつて4番を張っていた頃の力はありませんが、手広い事業領域のなかで広角に打ち分ける技術の安定感は健在です。

 一方、オーナーの“IT嫌い”ゆえ、マイクロソフトは8番に降格。場合によってはスタメン落ちの可能性もあります」(田代氏)

 恐怖の9番打者は、ベテランの業師・IBMが入る。

「研究熱心さには定評があり、昨年1年間のアメリカでの特許取得数は過去最高。AIで先行し、マーケットでも評価は高い」(藤井氏)

 投手陣に目を向けてもマクドナルド、コカ・コーラ、ファイザーといった各業界の“エース級”が居並ぶ超豪華メンバー。たしかにNYダウズの戦力は本家(?)のヤンキース以上に強大だ。

◆「対トランプ相場シフト」での4番は?

 このメンバーを見ると、日米の株価について“米国がくしゃみすると、日本が風邪を引く”と評されたことに説得力がありそうに思えるが、日経ヘイキンズにも「トランプ相場」のなかで対抗の余地はあるという。

“対トランプ相場シフト”での4番はソフトバンクだ。

「ドコモやauとは違い、ソフトバンクは国際的な通信会社として“世界に通用する選手”です。しかも孫正義社長がいち早くトランプ氏と会談して米国企業への投資をぶち上げるなど、ソフトバンクはトランプノミクスのど真ん中銘柄。今年の活躍に期待大です」(ケイ・アセット代表の平野憲一氏)

 寄与度ナンバーワンで本来なら4番を打つはずのファーストリテイリングは、5番という位置づけ。

「小売業は不調が続いている。不振が続くとチーム成績に直結するので、浮沈のカギを握る存在」(平野氏)

 3番には今シーズンの飛躍への期待から、三菱UFJフィナンシャルグループを推す。

「アメリカで利上げの方向性が強くなるのが好材料になる。今年は日本の金融セクターは折に触れて買われると思います」(平野氏)

 1番は安定した打撃と守備が定評の信越化学工業。

「塩化ビニールの米国でのシェアが非常に高いので、アメリカ経済の恩恵も受けやすい。地味ですが、今年はチームを引っ張ってくれる存在になる」(平野氏)

 2番には「アメーバ経営」と呼ばれるほど技が多彩で、コンスタントに数字を残す京セラを置く。

「中国のスマホ向け電子部品メーカーから引き合いが強く、業績底入れへの期待が高まっている」(田代氏)

下位打線に目を移すと、販売台数でドイツのフォルクスワーゲンに世界一の座を譲ったトヨタが6番に座る。トランプ氏のツイッターでメキシコでの工場建設を強いトーンで批判されるなど、ビーンボールまがいの内角攻めに遭っているが、その打棒への期待はやはり大きい。ヘイキンズの精神的支柱でもある。

「批判に対しては、アメリカでの大型設備投資を発表してトランプ氏のご機嫌を取るなど、際どいボールをうまくよけている。為替が円安に動けば一気に利益が増大するトヨタのような輸出企業の“長打力”には陰りは見えない」(藤井氏)

 7番のファナックは、高度なロボット打法で世界に名を知られている選手だ。

「トランプ政権が移民排除政策を行なうと、工場ロボット化の動きが加速する可能性が高い。その意味ではファナックもトランプノミクス銘柄です」(藤井氏)

 8番は好不調の波はあるものの、一発長打のある野村ホールディングス。

「証券会社は企業努力よりも市況に大きな影響を受けます。業績は相場次第で不安定なところがあるので上位打線には入れられませんが、トランプノミクスで株式相場が一段と上がる展開になれば、大幅上昇が期待できそうです」(藤井氏)

 藤井氏は9番に“影の1番”としての期待も込めて、デンソーを抜擢する。

「デンソーは車の自動運転時代に備えて、先進自動運転システムやミラーレスの開発に力を入れている。業績に寄与するのはもう少し先でしょうが、いずれ日経ヘイキンズを牽引する選手になる可能性は大です」

 日経ヘイキンズも粒揃いだが、気になるのは、スタメン起用の理由の多くがダウズオーナーのトランプ氏の政策にあるという点だ。田代氏が指摘する。

◆日経ヘイキンズ、カギは秋の大型補強

「日経ヘイキンズには、もともと外圧の影響を受けやすいチームカラーがある。昨年は3月まで外国人投資家の容赦ない売り圧力に屈して1万5000円を割り込んだ。年末はトランプ氏の政策に対する期待から、外国人買いを材料に株価が上昇しました」

 それでは結局、ダウズとのゲーム差は縮まらないように思えるが、実は日経ヘイキンズにはNYダウズにはない強みもある。

「NYダウズの攻撃力はすごいが、誰かが絶不調になればチームの勝敗に直結する不安定さがある。その点、日経ヘイキンズは225銘柄と選手層も厚いので、戦績は安定している」(平野氏)

 さらに今シーズンのダウズは、首脳陣の不和がある。

「オーナーのトランプ氏と監督であるジャネット・イエレンFRB議長の間にはすきま風が吹いている。イエレン氏は今年、政策金利を4回上げるかもしれない。アメリカが政策金利を上げればドルが上昇し、トランプ氏の目指すドル安とは正反対の方向に向かう。そうするとNYダウは鈍り、日経平均は円安の追い風を受けて上昇する。今年の日経ヘイキンズは、ダウズが2万ドル近辺にいる間に、2万6000円超えも夢ではない」(藤井氏)

 カギとなるのは秋の大型補強だ。日経ヘイキンズは毎年、10月に銘柄の定期入れ替えを行なう。加入が噂されるのが任天堂だ。

「『ポケモン』で世界のゲーム市場を席巻するなどインパクト面では期待の新戦力です」(田代氏)

 ダウズに開幕ダッシュは許したが、秋からのプレーオフシーズンにヘイキンズが圧倒――そんなシナリオも現実味がある。


一安心

2017年02月11日 | 気になるネタ

10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。終値は前日比96ドル97セント(0.5%)高の2万0269ドル37セントと、連日で過去最高値を更新した。トランプ米政権下で減税など経済政策が進展するとの期待から買いが続いた。日米首脳会談で通商・外交について両国が友好関係を保ったことも買い安心感につながった。

 トランプ米大統領は近く税制に関する発表をすると明らかにしており、法人減税など米景気を刺激する経済対策が具体的に進むとの期待が投資家心理を強気に傾けている。10日は建機のキャタピラーや航空機のボーイングといった景気敏感株に買いが集まった。原油先物相場の上昇でエネルギーなど資源関連株が買われたことも相場全体を押し上げた。

 ダウ平均は午後に上げ幅を125ドルまで広げる場面があった。安倍晋三首相とトランプ大統領は10日、初の首脳会談と共同記者会見に臨んだ。「日米が通商・外交で友好関係を維持したのは投資家のリスク選好姿勢を強めた」(スウォーズモア・グループのカート・ブランナー氏)という。トランプ氏が会見で税制改革の協議を議会共和党と進めていると話したことも好感された。

 トランプ氏は中国の習近平国家主席との電話協議で、中国大陸と台湾が1つの国に属するという「1つの中国」政策を尊重すると伝えた。米中関係を巡る不透明感がいったん後退したことも米株式相場を支えた。