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ある化学工学系大学教員の大学とあまり関係ないブログ.twitterやFacebookに載りきらない長文の置き場.

発表要旨の書き方アドバイスをしてみる

2011年01月26日 | 研究室
今年も卒論発表会と修論公聴会の時季に.
研究室の学生さんの発表要旨の原稿をチェックするのだけど,毎年言っていることが多いのでメールで前もって周知しておくことに.果たして効果のほどは如何に.


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要旨執筆に際しては下記の点に留意し,私に提出する前に各自でチェックして下さい.


■論文では詳細に記述することでも,要旨では簡潔に.

- 個々の実験器具名は,その器具以外では代用できない本質的な役割がその器具にある場合は書くべきだが,そうでない場合は不要.実験条件のみを書く.
《例》「ガラスシャーレに溶液を入れパラフィルムで密閉し,これをインキュベータに入れ40℃で5h保存」
⇒「密閉容器中で40℃,5h保存」で十分.

- 分析・測定方法については一般的なものであれば不要.
《例》実験結果でSEM写真が提示されていればSEM観察したことは自明なので実験方法の記述では省略.


■実験者の都合や主観を排し,結論を客観的に.

- 試行錯誤の過程に沿って書くのではなく,成否にかかわらず各条件と結果を並列的に書く.
《例》「従来は○○したが今回は△△した」「○○したら亀裂が出たので△△した」
⇒「○○の条件では●となったのに対し△△の条件では▲となった」

- 結果について「○○が確認できる/見られた/観察された」等の多用を避ける.誰が見ても普通に確認できるのならそれは客観的事実として断定表現する.実験者の認識や主観の問題ではない.
《例》「Fig.Xの顕微鏡画像からは(a)ではマクロ孔構造の形成が確認できる」
⇒「顕微鏡画像をFig.Xに示す.(a)ではマクロ孔構造が形成された」
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