INSIGHT

ある化学工学系大学教員の大学とあまり関係ないブログ.twitterやFacebookに載りきらない長文の置き場.

雑魚にすらなれない

2008年12月05日 | 研究活動
夏に投稿した論文がmajor rivision(査読者から大幅修正を求められること)となり、いろいろ考えた末、追加実験をすることにして一旦取り下げた。まだ論文化していない実験データがほかにもあったので、それをまとめて先日投稿した。分量はあまり多くなかったのでレター(速報的な位置づけのもので、普通の論文よりも短めのもの)にしてみた。

ところが半日も経たないうちにreject(掲載拒否)の返事。There are no scientific novelties(科学的に目新しいことが何もない)のでreviewer(査読者)に回すまでもなくediter(編集者)の段階で却下するとのこと。これ以上ない痛烈で的確な批判だ。反論するだけの力もない。かつてここでエラそうなことを書いたけど、「雑魚論文」すら書けない。これが今の自分の実力だ。10年経って、ほとんどゼロだ。

10年間、特にこの1,2年は、研究費を稼ぐことだけではく、むしろそれ以上に論文を雑誌に投稿し博士論文を仕上げることに集中するよう努めてきた。でもそうすればするほど書くこと自体が自己目的化してきて、研究という知的活動からますます遠ざかったように感じられる。形式的な忙しさとは裏腹に、何も産み出していない空虚感だけが増していく。

この仕事が向いていないのだと言われればそうかもしれない。もっと優れた人にポストを譲るべきだと言われれば反論する術もない。博士号が取れたからと言ってこの情況がそんなに好転するとは思えないけれど、とりあえず今はただ、自分が飯を食わんがため、自己保身のために仕事にしがみつかざるを得ないのである。

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