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機動戦士ガンダムOO(ダブルオー) 第7話 「報われぬ魂」 感想

2007-11-19 01:37:23 | ガンダム00(ダブルオー)
刹那の過去を知る人物との戦いや、今回のモラリアでの戦いの裏・表、世界同時多発テロとそれを受けとめるガンダムマイスターたちの反応、とポイントがたくさんあって、どこから書くかと悩むくらいに、複雑化して物語が進行していきます。

これが一通り情勢+ソレスタルビーイングの成り立ち+ガンダムマイスターの過去くらいまで描ききると、今まで複数あったピントが徐々に徐々に合っていく、そんな感じになるんじゃないかと思うし、それがまた楽しみです。

個人的にはこの物語の進行、凄く好きですね。
#世界情勢の難しい裏の部分についてはきちんと登場人物たちから解説が入っているのが親切ポイントです。

今回はいくつもポイントがあったので、どれから書こうか迷ったんですが、物語の順番に。


■アリー・アル・サーシェスと刹那・F・セイエイ

今回のシーンを見るに、刹那が少年兵として戦場に立つ直接のきっかけとなった人物と見てまず間違いない感じですよね。
しかもその際に、「神のために戦う」という名のもとに、刹那は自分に近しい人を殺している。
そこに至る経緯は分からないけれども、アリー・アル・サーシェスに感化され、そこで人を撃ち、戦場に立ち、神のためにと思って立った戦場に「神はいない」と悟り、そこに現われたガンダムに神を見る、いや、もしかしたら神はいないと真に悟ったか。

そして現在ガンダムマイスターとしてガンダム・エクシアを駆る。

これが刹那・F・セイエイの現時点で判明していること。

アリー・アル・サーシェスは刹那を戦場へ引きずり込んだ張本人なのか。
刹那の回想シーンとその際の表情をみるに、(最初の殺人ゆえに)トラウマに近い後悔があるのか。
報われぬ魂とは彼のことなのか?

そのアリー・アル・サーシェスが何故PMCにいるのか?
「神のために」と謳い、刹那を泥沼へ誘った男が何故「神」とは程遠い戦闘を生業とする民間軍事会社にいるのか?

直感的に思うのは、アリー・アル・サーシェスは今回の描写を見るにPMCとも実は別の階層というか組織に本来属しているっぽく見えるし、彼は職業テロリストなんではないか?という感じ。

これは後述しようと思うんだけど、同時多発テロの情報をいち早く知っていた(ニュースに流れるより早く、つまり発生より早く知っていた)ことから考えて、それを仕掛けた組織に連なるもの、と考えるべきか…。

そうすると、刹那の疑問、「奴の神は?」という問いに対する答え、それは「そもそもいない」という結論になる?

職業テロリストとして、紛争地域に必ず出没し、刹那のような少年兵を生んでいる、そのためには「神」をも騙る。

そんな感じ?
#するとソレスタル・ビーイングの真の敵?とも合致する?

……まだ、大分直感的妄想だなぁ。


■ガンダムの圧倒的武力と世論操作

今回のモラリア支援、AEUでは端からモラリア自体を支援することだけを狙いにしていたわけじゃなく、あわよくばガンダムを鹵獲したい、もしくはモラリアとの交戦によってガンダムの戦力を予測する、というのはプランにあったかもしれないにせよ、最悪でも、ソレスタルビーイングという「テロ組織」はこれほどまでに強大な武力を持っているのだから、我々AEUとしては太陽光エネルギーを守るためにも、軍備拡張路線に(残念ながら)走らざるを得ない、という大義名分を得ることができる、というのを想定していた、というわけですね。

戦争根絶というのをヒロイズムとして扱うのではなく、テロリズムとしてみなし、世論を色んな意味で見方につける、というのが今回のAEU側の(最悪でもそういう)シナリオだった、というわけですね。

この辺はきちんと第3者たるユニオンサイドから語られているので、解説としても分かりやすいですね。
報われぬ魂とは、果たしてここにかかるのか?
#そしてあのエイフマン教授は何気にモラリストなのか?

でもって、このダブルオーの作り方で上手いなと思うのが、沙慈・クロスロードとルイス・ハレヴィの使い方。
彼ら日本の高校生とAEUからの留学生という視点を持つことが、視聴者視点として上手く生きてますよね。

ソレスタルビーイングに対する一般印象+命を助けられた。
けれども、今回のモラリアの一件、AEUからの留学生であるルイスにしても、大変なことだとは理解していても、実際行ったこともない国なんだから現実味がない。

そこに目の前で起きるバス爆発。

同時多発テロ。

一気に身近な、他人事ではない出来事へ。

この引き込み方、凄いですね。


■同時多発テロ

沙慈くんとルイスの目の前で起きたバス爆発。

同時多発テロ。

他人事ではなくなる瞬間。

そしてこのテロは、ソレスタルビーイングの武力介入に対する報復だと言う。
#これで一気に世論もソレスタルビーイングバッシング???
#あくまでヒロイズムではなくテロリズムへ。

でも、このテロってちょっとおかしいと思った。

というのも、戦争が外交の手段の極論であるのに対し、テロというものは本質的に違っている。
戦争で積もった恨み、追い詰められた人たちの怨念、その他いろんな感情を持ってテロは行われるのであり、憎しみの連鎖が切れないように、テロにも終わりが無い。

つまり、憎しみの対象がなければテロ対象を作り出すことが難しい。
#ちょっと言い方難しくて伝わりづらいかもしれないけど。

もっと簡単に言うと、実態の判明しない(どうやってテロ対象とするか分からない)ソレスタルビーイングに対してテロは現時点で仕掛けることが難しく、同時多発テロで爆破した都市の人が憎くて、恨みを晴らしたくてテロを起こす、ということに直結しないから。
#そういう関係の無い(憎しみの連鎖が希薄な)テロは違和感があった?そんな直感。

じゃあ、このテロを仕掛けたのは誰か?

ここも直感大妄想大会なんだけれども、テロ支援組織、みたいなのがあるのかもしれない。
例えばアリー・アル・サーシェス。

冒頭にも書いたけれども、彼はPMCとは(多分)違うし、今回のテロも事前に知っていた。
そして彼の過去と「神」に対する刹那の疑問。

テロ支援組織か戦争支援組織かは分からないけれども、そういう組織があるならば、ソレスタルビーイングというのは正論を真っ向から吐いており、戦争自体が無くなっては困る人たちになるわけで、そういう人たちにとっては同時多発テロを起こすことも恨みではなくて、宣戦布告として起こすこともできる、(テロが起きた国に対する)恨みが無くてもテロを起こせる、という感じ。
#もちろんテロ支援組織なら、各国のテログループに指示を出したか、そそのかしたか、というのはあるかもしれないけど。

冲方丁さんの「シュピーゲル・シリーズ」ではまさにウィーン改めミリオポリスという都市で、テロ支援組織を黒幕とする部隊と絶望的な戦いを繰り広げていくんです。
この直感はこれを丁度「オイレン」「スプライト」ともに3巻まで読んだ直後だから、というのもあるんですが、この本は個人的には超・お勧めです。


こういう中で、それぞれのガンダムマイスターたちの立ち位置もはっきりしてくる。

刹那は自分の存在自体がガンダムマイスターに選ばれた理由だという。
生きているから。
#もしくは生き残ってしまったから?贖罪?

ロックオンはテロを激しく憎んでいる。
いつもは飄々としているのにも関わらず。

アレルヤは超兵プロトタイプの生き残り?
戦争によるモラルハザードが生んだ遺児?

そして謎に包まれるティエリア・アーデ。
彼自身、テロとかそんなことすら関係なく、ソレスタルビーイングの目的(戦争根絶とは別にありそうだけど、人類の宇宙解放とか、それくらいのスケールでかそうなやつ)を忠実に遂行するための存在っぽい。
#クローンじゃないけど、あの200年前のイオリア・シュヘンベルグ直系の人とか、兵器として作り出された、とか、そんなこともあるかもね。


ということで、この情勢部分と、登場人物の過去がリンクしてくると、たくさんあったピントが、うおぉぉ、とかいう感じで合ってくるんじゃないでしょうか。
凄く楽しみです。

■おまけ

今週もまたスメラギさんから目が離せませんでした(笑)。

でもスメラギさんって何となく精神的に脆そうというか、実は結構限界で頑張ってたりして…。
酒の表現とかも一つの逃避状態っぽくみえなくもないよね。本来そういうタイプの人じゃない、みたいな。
何よりわざと暗い表情みたいな設定がされてるっぽい気もするんだよなぁ。
それがあの「クジョウ」と呼ばれていた頃の事件と直結してトラウマ化している可能性もあるんだけれども。


それでもスメラギさんから目が離せない(笑)。

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2 コメント

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すごい考察ですね (こばやし)
2007-11-19 20:59:39
毎回毎回、これからの展開をよく想像できますね。私なんかは、これからどうなるのか、見当も付きません。燕。さんのブログを読んで、なるほど、と思うしだいです。

>テロ支援組織か戦争支援組織かは分からないけれども、そういう組織があるならば、ソレスタルビーイングというのは正論を真っ向から吐いており、戦争自体が無くなっては困る人たちになるわけで、そういう人たちにとっては同時多発テロを起こすことも恨みではなくて、宣戦布告として起こすこともできる、(テロが起きた国に対する)恨みが無くてもテロを起こせる、という感じ。
#もちろんテロ支援組織なら、各国のテログループに指示を出したか、そそのかしたか、というのはあるかもしれないけど。

ここの考察は秀逸だと思います。ただ、将来的に、SEED Destiny のように「真の敵はロゴスだ」みたいなのはやめてほしいです。黒幕という設定は分かりやすくていいですけれど、世界はそんなに単純ではないような気がします。

なんにしてもスメラギさんの、洋酒をロックで飲むシーン(おそらくスコッチか?それもシングルモルト?)、いい雰囲気なんですけど。作戦は成功しても多くの犠牲者を出していることをしっかりと理解して、憂鬱で酒に逃げる。悲しさと、大人な感じがにじみでていて好きです。

P.S.「グレンラガン」6話の温泉の話、「お約束」ばかりで、大笑いです。「トップをねらえ2」のキャラが友情出演してました。休職中に「トップをねらえ」も見たのですが、感動しました。プレステで「スーパーロボット大戦α」をやって感動していたのですが、そのメインの話は、まさに、「トップをねらえ」でした。アニメもゲームもお気に入りです。
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それは見たいと思っていたんですよ (燕。(管理人))
2007-11-28 00:58:37
■こばやしさんへ
いやー、僕自身も毎回どうなるんだろーと思いながら楽しみにしていますよ。
今回、既にこのコメントを返信している時点で、テロ支援組織がバックにいるというのは明かされているんですが、まだまだ裏という
か闇というか、続いていそうです。
ロゴス的みたいなのは僕も勘弁ですが、テロ支援組織を支援する国家群とか分かり易すぎない(複雑に絡んだ)世界観が見えるといいで
すね。
で、物語の展開としてはその絡まった糸をほぐすのではなく、全く新しい糸にしてしまおう、くらいの急進的な発想がソレスタルビー
イング(のガンダムマイスターチームじゃないトップの人たちの(含むティエリア))の考え、とかだと面白いかも。
#逆襲のシャアで、シャアが極論に走ってコロニー落としを敢行する、みたいな。
スメラギさんはあの強そうで脆そうな二面性が良いですね~。
グレンラガンの6話はDVD版だとまたちょっと違うんですよ。これは買わないと分からないですが(笑)。
「トップをねらえ」は未見なんですが、時間があれば是非見たいものの筆頭です。みたいなぁ。

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