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機動戦士ガンダムOO(ダブルオー) 第12話 「教義の果てに」 感想

2007-12-23 00:26:34 | ガンダム00(ダブルオー)
ついにアザディスタン王国内戦突入?という、誰かが仕組んだ絵の中で物事が進みながら、それでもその中にいる登場人物たちはそれぞれの思いを胸に秘める、みたいな第12話。
第11話でアレルヤの過去へ、そしてこのアザディスタン編では間違いなく刹那の過去との対峙が描かれると思う&(ガンダムマイスターたち(トレミークルー含む)を除いた)ソレスタルビーイングの本当の狙いの一端くらいは見えてくるんじゃないかと思わせますよね。

とにかく、今回は主人公・刹那とヒロイン・マリナさんの二人が徹底的に落とされ、これは二人で上を向くしかないじゃないか、と思わせる描き方に今後を凄く期待させられました。
落とし方とか、そういう演出の仕方って本当に上手いですよね、このダブルオーは。
マジで感心しちゃうなぁ。


■世界観
今回は冒頭から現在の世界がおかれている状況について語ってくれていたのでふむふむなるほど、なんて思いながら観ていました。

アザディスタンとクルジスの紛争はそういうことだったのね&その紛争の終結と新生国家を樹立するための象徴として双方にとって「無害」な人であるマリナ・イスマイール姫が選ばれた&本人も象徴という扱いを理解して即位した、ということだったと。

また化石燃料の輸出制限がかかったことによって持てる者から持たざる者に転落してしまったことから、ここに根付く感情(パラダイムシフトに対する拒絶感、現在の状況に対する絶望と嫉妬等)は結構深いかもしれない、ということ。
#現在でもオイルマネーの流出なんかは国際政治でもかなり気を使っている部分だし、そういう意味では化石燃料を必要としなくなったことで(燃料輸入国からの)その感情の反動なんかもあるかもしれないよね。

経済の困窮が招いたのは、小国同士の併合と、それによって引き起こされる武力衝突。
#たぶんそこには宗教上の対立なんかも絡んじゃう。
#この辺は企業の合併、M&A合戦なんかが今だと想像しやすいかな?潰されないようにするには他を吸収するしかない、みたいな。
#特に鉄鋼業界は凄いですね。最近ビックリ。ミッ○ル、リオ・ティン○とか凄い勢いだし、○日鉄とかポス○とか大変だよな。

で、異なる国家が一つになったところですぐに一緒になるわけがなく、刹那が歩いているだけでも過去の遺恨を知ってる人からみれば、クルジス人が歩いているだけでも許せない、みたいなそんな雰囲気。
#この辺は中東じゃなくコソボとかを題材にした方が良いのでは?なんて思ったりもするのですが、いずれにせよ難しい問題満載です、世界情勢。


で、今回のお話。


基本的に旧来の化石燃料に頼らずパラダイムシフトを受け入れ変化しないといけないと思っている改革派(マリナさまが一応の筆頭)と、化石燃料の輸出制限までされるのはおかしい、旧来のスタイルの復活を願う保守派、そしてその保守派の中でも武力行使も辞さないのが超保守派、という構図が今のアザディスタンにはある、と。

その保守派を押さえてきた(指導してきた)のが、今回拉致されてしまったマスード・ラフマディさん。

何故、そういう状況になったかというと、マリナさんが推し進めた太陽光エネルギーの技術支援が上手くいってしまうと、旧態復古を願う人々には都合が非常に悪く(化石燃料の復活もなくなる)、さらにそういう状況に宗教的にも排他傾向にあると思われるので、外国の勢力が入ってくる=いろんな意味で追い込まれた状況になっている、というのが保守派の状況だった、というわけですね。

真偽はともかく、作中でも保守派のマッチポンプなんじゃないの?つまり、マスードさんを拉致したのは改革派とみせかけて、殺されようものなら保守派の武力蜂起までいってしまうわけで、自分でマッチで火をつけて、自分でポンプで消化する、という形になるという意味ね。

ここは本当はどうなの?というのは上手く伏せられてますが、サーシェスさんが絡んでいるあたり意図的に武力蜂起を仕組んだ勢力があるという感じですよね。

ここから超・妄想だけど、その遠因を作ったのはアレハンドロ・コーナーさんですよね?
何故、数ある中東国家の中からアザディスタンに技術支援すると決めたのか?
技術支援したら改革派と保守派の緊張状態は高まるよね。
そこにマスードさん拉致とかいうイベントが加わったらクーデターになっちゃう、というのは完全に誰かの筋書き通りだよね。

サーシェスさんのバックにはテロ支援組織・国家がいると思うけど、実はそれがアレハンドロ・コーナーとかだと面白いよね。
それって究極のマッチポンプだ(笑)。

ソレスタル・ビーイングの介入理由を作る、というのもあるかもしれないし、またそれ以外の狙いがあるかもしれない。

プトレイマオスクルー以外のソレスタル・ビーイングが何を考えているのか?何をしたいのか?この辺、まだまだ謎ですね。
ただ、エイフマン教授が言っていた、イオニア・シュヘンベルグは紛争の火種を抱えたまま宇宙に出ようとする人類に対する警告を与えているのではないか?というのは一つヒントになりそう。

つまるところガンダムという物語である以上、決着の場所は「宇宙」になるわけなんで、刹那たちガンダムマイスター、マリナさんたちがどうやって宇宙に上がっていくか?というのが一つポイントだよね。
#作中でもマリナさんが「いつかは宇宙にいける」と人々に語っていたこともあるので、何となくマリナさんの描かれ方が見えたかも、なんて。

長々と書いちゃったけど(最後は除いて)、個人的な頭の整理は完了。
#もちっと歴史の勉強しようかな。

■刹那とマリナさん

今回はやっぱりここがメイン。

特に刹那。

今回のお話でようやく刹那という人間が少し見えたというか、実は素直に純粋だったということが判明。


俺は……、ガンダムになれない


俺がガンダムだ、と言った刹那が、故郷の惨劇を止められず、目の前で(自分と同じ)少年兵が死んでいき、過去に自分はガンダムに助けられた。

ガンダムは得たけれども、(あのとき自分を助けてくれた"神"とも呼べる)ガンダムにはなれてなかった。

彼は純粋に助けたかった&紛争を憎んでいて、本気で紛争を根絶したいと思っている、それはガンダムという力を手に入れればできるはずだった……。

というのが今回のポイント。

マリナさんも今回は完全に落とされまくり。

良かれと思ってやったことが(たぶん利用されていることもあるけど)裏目に出て、緊張状態を生むどころか紛争突入へ。

主人公とヒロイン、完全に落とされました。

面白過ぎる。

つまり、これで二人とも落とされるということは、二人じゃないと上がれない、というのが物語を面白く勧めるポイントじゃないの?なんて思ってしまうから。

個人的には落とされまくるマリナさん(の表情)も好きなんだけど(笑)、シンデレラカーブの描き方としては、刹那とマリナさん、混ざり合うことの無さそうだった二人が、どこかで心を通じ合わせて上昇する、というのがやはり見たいところでしょう。

やはりガンダムという物語の特性上、宇宙へ上がることは必定。

ならば、この二人じゃないと宇宙に上がれない、くらいの物語になってほしいかも。

今回はやっぱり国を思う二人が落とされまくる、というところがポイントですね。


■超・妄想

これまでソレスタル・ビーイングの目的は人類を宇宙に出すことかなぁとか思ってましたが、今回を見て逆かもって思いました。
エイフマン教授の言葉も気になっていたし。

刹那とマリナさんが落とされる=二人で上昇することを期待されるとするならば、それを阻むものが必要で、それが実はソレスタル・ビーイング自体になるのでは?とも思える。

ティエリアは重力嫌いって言ってたし、これって宇宙にいたいってことだよなぁ。
つまり、天上人は宇宙に、地上の人は地上に。宇宙に出てくんな、みたいな。

軌道エレベータの破壊とか、これも有りうるよなぁ。

おっと、妄想が過ぎましたね(笑)。


■グラハム・エーカー(笑)

ファースト・ガンダムを意識した名台詞の数々、堪能させて頂きました(笑)。

フラッグ・ファイターって呼び名がなかなかにカッコイイ。

そして何よりデュナメスとのバトルは中々に見応えありました。

彼は何らかの形で刹那たちを支援することになったりするんじゃないか、と思ったり思わなかったり。


■次週

先週はアレルヤが自分の過去と向き合ったように、次週は刹那が過去と向き合う番。

ガンダムになれなかった、と落ち込む刹那が過去と向き合うにはサーシェスとの対峙は必須。

また墜ちに墜ちたマリナさんもどうやって上を向くのか。

刹那とマリナさん、この二つの視点で超・楽しみです。

ガンダム OO(ダブルオー) DVD第1巻


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅ればせながら (こばやし)
2008-01-08 19:54:54
実家から一人暮らしのアパートに戻り、ようやく観ることができました。
化石燃料の枯渇ではなく、化石燃料の輸出規制という話にびっくりしました。300年後でも石油があるのか!
中東があんなことになっていて、大学でイスラーム関係の歴史をやったものとしては、複雑です。ありえそうなだけに、いやなものです。

今回はスメラギさんが戻ってこれないということで、ちょっと残念。また、次回。
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300年後 (燕。(管理人))
2008-01-09 23:18:34
■こばやしさんへ
確かに化石燃料が枯渇していたら保守派自体存在しない、ということになるんですよね。
輸出規制に動いたのは、これまでのオイルマネーに対する反感的・制裁的措置なんかもあったりして。
ただ、化石燃料の枯渇、代替エネルギーの開発は確実に時間が迫ってきているので、300年後かどうかは別としても、中東のそういった情勢というのは結構現実味を帯びる話になりそうです。
ただ、300年後も構造は同じで、化石燃料の代わりに太陽光発電を牛耳ったところにシフトしただけ、という皮肉さも描かれている気がしますね。
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