3RD EYE STUDiOS
街角の映像制作下請け零細業者のブログ




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仕事の成果物を見せるときに緊張する……どんな仕事でも同じだと思うのですが、我々映像業界では試写がその緊張の瞬間だ。自信を持って試写に挑んだら酷評された。テキトーにつないで(※編集のことを「つなぐ」と言います)持っていったら「すばらしい!」と誉められる。映像には客観的な評価はありえないから、試写の結果はまったく分からないものだ。

企業VPを作っていると制作過程で口を挟まれることはないし、映像表現・演出について文句を言われることはない。商品特性を意図どおりに表現できているかの形式的なチェックは入るがそれ以上の演出的なことまで指示されることはない。企業VPの楽しいところだ。なまじ周囲が全員プロであるTV制作現場とはそこが違う。企業VPだと相手は素人しかいないのだから的を外してさえいなければ自由にやらせてもらえる。専門家がいないところで取る相撲ほど楽しいものはない。しかも自分が一番強いのだ。

ところが相手がプロでないと困ることはある。たいていの人は完成するまでどんな映像ができるか想像ができないから、完成間近になって突拍子もない文句を言われるのだ。例えば「感性が合わない」とかいう具体性のないツッコミだ。ではあなたの「感性」とやらをお伺いしたい、とはもちろん口が裂けても言えない。制作を始める段階、例えば企画書や台本を提出している時に「オレの映像の感性はこうだからこう作って欲しい」と注文を受ければそのとおりに作るのだが、いかんせんそんな具体的な指令があることは滅多にない。極端な話、そういう最終決定権を持つ人に試写まで会わないことすらある。たいていは担当者レベルで制作作業は進んで行くからだ。ワンマン社長の鶴の一声、みたいなことを想像していただくと分かりやすいかも知れない。しかもそのワンマン社長の映像に関する「感性」なんて、社員すら知らないのに、こっちは知る由もない。

試写とはクライアントとの一騎打ちのとき。誉められた時の帰り道に飲むビールほど美味いものはない。酷評され修正が多いときの帰り道は駅のホームで自殺したくなる。

こんなことを書くのは、今日クライアントに酷評されたからです。

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