小ネタ。ムービーに字幕テロップ(しゃべり追いテロップ)を入れることってよくある。テレビでもよく見る。僕が作るようなVP系の映像においてもインタビューにしゃべりテロップが入る。最近とみに増えてきたのはネッツ視聴を想定して音なしでも分かるようにテロップを入れる作業。そんな増え続ける字幕テロップ作業で最も便利なのがAfter Effectsだ。
こういうテロップ入れる作業、増えてません?
僕がよくやる作業手順
1)文字起こし
まずはインタビューやナレーションの文字起こし。たいていはテロップを入れようが入れまいが、クライアント確認用に紙の台本に反映しなければならないので、書き起こさないといけない場合が多いだろう。
文字起こしは紙資料(台本)に反映させるために必要
2)テキストアプリにコピー
起こしたテキストをパワポなどの台本用ソフトから、テキストアプリにコピーする。
さらに1画面に入れるテロップごとに改行していく。
文字数を計算しながらメモ帳で整理していく。
ここでポイントは1画面に入れる分量を予め決めておくことだ。
僕の場合、たいてい1行最大25文字くらい。原稿用紙が縦書きで20文字だから横書きでそれよりちょっと多いくらいを最大にしている。仕事によってはもっと多い文字をいれることもある。
行数は1行もしくは2行。3行は避ける。
僕はできるだけ長い時間表示させてテロップの枚数を減らすほうが見やすいと思うので文字数は多くなる。クライアントさんによっては文字数を減らしテロップの枚数を増やすほうが好みの人もいるのでそれは相談だ。
2) AEのコンポに一括でコピペしてレイヤーに分解
文字起こしとテキストアプリでの改行を終えたら、全テキストを丸々コピーをし、AEのテキストレイヤーにペースト。
AEのコンポジションにまんまコピペ
つぎにAEscriptで売ってる「DecomposeText」というスクリプトを使い、各行をレイヤーに分解する。1クリック。
VIDEO
これが超絶便利で、僕がしゃべりテロップをAEで作ることをおすすめする理由の一つがこれだ。
DecomposeをLineごとにするとレイヤーに分けてくれる。
3)テロップのデザインを整える
全レイヤーを選択し、コンポのセンターに移動。さらに下位置へ全体を移動させる。
位置をテロップ表示位置に移動させる。
つぎに、全レイヤーを1フレにし、Sequence Layerで階段状に並べる。1フレームにテロップ1枚ということ。
全レイヤーを1フレにしシーケンスレイヤーをかける。
テキストの大きさ、カーニング、フォントを選択し、ドロップシャドウや線などのデザインを設定していく。
同じコンプなのでテロップのデザインを一括で変更できる。
4)一つひとつのテロップの改行を設定
テキストアプリは「1行で1枚のテロップ」として整えていったので、テロップとして2行に変えていかないといけないものがある。
これは自分の手でやらないといけないのが若干めんどくさいが、機械的にやっていくしかない。
テロップとしての読みやすさと表示される時間を考慮しながら整えていく。
これは手でやらないといけないめんどくさい作業。。
5)再度、テロップの位置を設定
すべて終わったら、全レイヤーを選択し、また位置を決める。こうすることによって、すべてのテロップの位置が一定になる。
後からの調整も全テロップ一気にできるので楽ちん
6)アルファチャンネル付きの連番で出力
レンダリングはアルファチャンネルつきの連番。僕はPNGで出力するが、TIFFでもPSDでもなんでもいいと思う。この際「フォルダ名/コンポ名_連番」となるように設定するのが一番。
連番で出力
7)編集ソフトでならべる
出力が終わったら連番ファイルを連番としてではなく各ファイルを一つのフッテージとして編集ソフトに取り込み、音のタイミングに合わせて並べていく。
出来上がった連番ファイルを編集ソフトで並べていく
このやり方のメリット
このやり方、編集ソフトとは別ソフトで作るので一見面倒だと思われるかもしれないが、僕がなぜここに行き着いたかというと、、、
「修正が異常に楽」
この一点に尽きる。
一旦作って設定さえしてしまえば修正が一発で終わるのだ。
例えば
・エッジを赤ではなく青に変えて欲しい
というクライアントさんからの注文が来ても、1つのコンポジションの中にまとまっているので、全レイヤーを選択して色を変更し、また連番で出力すればいい。
一発で全テロップのデザインを変更できる
・フォントを変更して欲しい
これも同様に一発で変更できる。
・「下さい」を「ください」に開いて欲しい
という修正を食らっても、レイヤー検索で「下さい」を検索して片っ端から修正していけばいい。
テロップの一覧性が高く、検索も可能
などなどとにかく後からの修正が、この方法が最もかんたんなのだ。
超地味技
というわけで、ファンシーなAEモーショングラフィックスとはかけ離れた、じみーーーーーーーな作業だけど、長年のノウハウの蓄積で、「これは時短でおすすめだよ!」という作業方法を書いてみた。地味すぎて誰も書かないと思ったので(笑
いかがでしょう!
ちなみに今回の例に使ったテキストは、弊ブログの初エントリーの文章で、特に意味はありません。。。
※追記 (2020.06.19)
このシリーズには続きがあります。こちらも合わせてご覧ください!!
動画に字幕テロップを入れるのはAfter Effectsを! Part 2
動画に字幕テロップを入れるのはAfter Effectsを! Part 3
楽になりましたねえ字幕入れ。
私はTMPGEnc4X~VMW6を使っています。テロップにもエフェクトが掛けられるようになるなど、進歩を実感していますね。
あまりにも酷くて的外れな字幕翻訳を目にする機会も増えましたが、内々の視聴用にマイ字幕版を作ろうとして市販ディスクからリッピングするのは違法なのだなあ。じゃあ正規の手続きで文句の付けようが無い物作ってよぉという心の声も少しずつ膨らんでいます。
各動画共有サイトでは、アップされた動画に非プロが付けた字幕の、言ってもいない意訳・誤訳が原因でタレントが叩かれるという、英語力の無さを露呈する恥ずかしい例も実際にある。
お手軽になるとこういう弊害も起こって来ますね。
丸ゴシック系フォントで良いものがなかなか手に入らない。こういうのは有料になるのでしょうか。3RD EYEさんは有料フォントを使っておられますか?
追伸。こちらで昨年採り上げておられたクボちゃんアニメは11月公開だそうです。本国でDVD/Blu-ray3D化されたのが昨年11月。ファンは随分待ったでしょう。今海外盤ソフトを買っても、日本語音声も字幕も入っていません。
ついでに。見当違いな邦題で揉めた"Hidden Figures"は4月に本国でソフト化。4K含むリージョンフリー盤には日本語字幕・吹替が収録されています。日本公開はやっとやっと始まったものの吹替上映は無く、映画会社も「吹替版は作られていません」と答える…あれれ~?
昔、テレビ番組の制作をしていたとき、テロップはほんとうに大変でした。僕が入った時がマックでテロップを作る黎明期で、ギリギリ「テロップ屋さんに原稿を持っていって印刷してもらって~」みたいな時期でした。
テロップを紙に印刷して、紙を四角くハサミで切って、編集機で映写で取り込んで、みたいな作業はずーーーーっとやってました。1本編集が終わって完パケたら、編集室が紙くずだらけになるという、、、って話をしても今の人達には全くわからないと思いますが(笑
僕はテロップ作成の担当をしていましたので、効率化は命題でした。「いかに楽するか」を常に考えるという癖は今も残ってます(笑
> 有料フォントを使って
英語フォントは無料フォントを使うことはありますが、日本語は有料フォントを買ってます。
ヒラギノとか新ゴを使うことが多いですね。丸ゴシックはあまり使わないのでわかんないですが、映画の字幕であれば、しねきゃぷしょん、という無料で公開されてらっしゃるフォントが雰囲気がでてよいと思います。
> 意訳・誤訳
僕は英語字幕で見るようにしています。流石に字幕なしでは聞き取れないのですが、字幕があればなんとかわかるので、、、、
ただ字幕って絵を邪魔するんで本当は英語字幕もナシで理解できるようになりたいんですけどね、、、
何度も見ている映画は字幕ナシで見るようにしてます。
> 見当違いな邦題で揉めた
邦題は、あくまで邦題なんで僕は気にしないようにしています。原題こそが重要なので、、、
僕が一番最初に「最近の邦題は酷すぎるから無視するべきだ」と思ったのがミシェル・ゴンドリー監督のBe Kind Rewindでした。僕らのミライへ逆回転ってふざけすぎてる。
> クボちゃんアニメは11月公開
いやあ、あれ、日本ではウケないと思います。。。あの吊り目はのキャラ造形はキツイっす。だれかアドバイスしてあげられなかったのかなあ、、と思います。
西洋人から見たらアジア人は一様にあの吊り目なんでしょうけど、けっこう我々が見ると辛い。。。
情報ありがとうございます。速攻で買います。
Prのタイトルは、新旧ともに日本語のカーニングがクソなので、個人的にはほぼ使えず、デザインという意味では、圧倒的にAEだった、というのも理由の一つです。
あと、ウチではテキストレイヤーの「位置」をエクスプレッションで打ってます。そうすることで、1行であれ2行であれ位置を完全に統一できます。
この方法の場合、アンカーポイントは常にテキスト真ん中に持ってくる必要があるので、「Ctrl + Alt + Home」で、アンカーポイントをセンター移動、という手間は発生しますが、かならず同じ位置にくるので便利です^^ 文字を修正して業や長さが変わった時も「Ctrl + Alt + Home」で定位置に来ます。
コメントありがとうございます!
エクスプレッションで位置情報を決めちゃうのは確かに便利ですね。
実はテロップを左右センターに持ってくる作業はテロップ1枚毎にやらないといけないのでめんどくさいかったんです。
エクスプレッションを仕込んで、アニメーションプリセットにしちゃえば一括処理できそう。
上下位置はエクスプレッションで決めちゃうとあとの修正が大変そうなのでそれはAlignで動かしたほうがよさそうですね。
やってみます!ありがとうございます!
> DecomposeText
弱点がいくつかあるんですが、大きな弱点は「レイヤー名にテキストを反映してくれない」なのです。
一旦分解したテキストは、たぶんスクリプトの都合上、レイヤー名が上書きされちゃうんだと思います。なので、あとで修正が出てテキストを変更してもレイヤー名が変わらないんです。
それが鬱陶しいです。
なのであとで修正食らった場合は、各レイヤーのレイヤー名をenter→削除で初期化しないといけないことです。。。
これ、回避の方法ないのかなあと探っているのですが、、、
情報ありがとうございました!!!!
長尺のインタビュー、対談系のテロップ付けは本当に辛い作業で悩みのタネでした。
テロップ付けだけ外注するか検討していたところですが、お陰様で工数が1/3になりました。
ありがとうございました!
コメントありがとうございます!
ほんと、こういうつまんない作業はできるだけ省力化したいですよね。そのための試行錯誤は常に続けないと時間がもったいなすぎる。。。
いや、実はこの稿を書いてから皆さんからいろんなことを教えていただき、さらに知見が増えているので、また改めてエントリーを書きたいと思ってます。
上のコメントにも書きましたがこのやり方にも弱点があり、それが克服できそうなので、、、
またお訪ねください!
https://pgmemo.tokyo/data/archives/1166.html
この手法に気づかせていただいて大感謝です!
photoshopならレイヤー名に本文が反映されますし、作業効率上がりまくりです!
超遅レスすみません!!しばしブログを見ておらず、、、そして※&情報ありがとうございます。
なるほどーーフォトショでも同じことができるんですね。確かにAEでは複雑な装飾のテロップは作れないので、フォトショでも行ごとのレイヤーわけができるのは便利ですね。。
早速スクリプト入れてみます!!
それで、挿入テロップをメモ帳で編集し、紹介されたようにAEに貼り付けたのですが、「Paragraph text is not supported.」とエラーメッセージが表示されてしまいます。
改行できない?ってことですかね。
何か操作に問題があるとは思うのですが、アドバイスをいただければ……と思いコメントさせていただきました。
コメントありがとうございます!
田中さんの問題はよくわからないのですが、このシリーズには続きがありまして、、
この後のパート2とパート3をご覧いただければ解決するかも!コメント欄もご覧ください。
コメントを書いたあと、本文の方にリンクを追記しておきます!!!