徒然草紙

読書が大好きな行政書士の思索の日々

夜のフロスト

2017-04-27 15:42:42 | 読書

 R・D・ウイングフィールドのフロスト警部シリーズ第3弾。例によって、窃盗、婦女暴行殺人、高齢の女性ばかりを狙う切り裂き魔の横行など、デントン警察署管内では事件が次々と発生。おまけに今回は警察署員のほとんどが流行性感冒にやられてダウン、という最低の状況の中、主人公のフロストは事件解決のため昼夜兼行で駆け回る。

 いつものことながら、タフだなあと思います。ただし、結果が行動に伴わないことが残念ですが。捜査の過程でフロストがたてた推理は尽く外れ、その度に署長の雷は落ち、フロストは窮地に追い込まれていきます。けれども、そんなことでめげないのがフロスト。悩むより行動が信条のこの男は、とにかく前だけを見て突き進みます。良くしたもので、彼が外した推理によって他の事件が解決したり、事件解決のための新たな展開が開けたりすることもある訳です。懸命な行動というのはつきを呼び込むものなのか。読んでいてそんなことをも考えたりします。ただ、残念なのは、そのことでフロストの立場が良くなることがない、ということです。作者はフロストを追い込むことに無上の喜びを感じているようで、このような状況は物語の最後まで続きます。文字通り最後の最後までです。残りわずか3ページ足らずのところでもひょっとしたら、とんでもない状況に陥るのではないか、という不安が読む者の胸をよぎります。それでも結果はめでたく大団円。最後まで読者を飽きさせない、と言えば聞こえはいいのでしょうが、少し疲れます。だけど、面白かったです。早く続編が読みたくなります。